・苦戦の続く連邦軍。それでも冷静かつ迅速に指揮をとり続けるマネキンが、通信の着信音に「パトリック!」と声音が変わる。珍しく動揺が明らかで彼女がなんだかんだ言ってコーラサワーを愛しているのを感じます。
「いやあ、ドジりました。幸せすぎて不死身じゃなくなっちゃったみたいです」と困ったような笑顔で頭をかくポーズのコーラサワー。「死んでも帰るんだよ。大佐の元に!」と言ってた彼が死を覚悟するんだからいよいよやばいんだろうと思ったら案の定コクピットにはすでにELSが入り込んでるのが見える。
「今すぐ脱出しろ!」と当然マネキンは指示するが、やはり困ったような笑顔で「それが、無理なんです」といううちにもどんどん侵食度が上がってゆく。すでに脱出しようにもハッチが開かないんでしょうね・・・。
・「でも、ただでは死にませんよ」と明るく不敵な笑顔に変わる。「こいつだけでも道連れにして!」と明るい調子で叫ぶコーラサワー。ここで外からの視点に変わり、コーラサワーのMSがMS型のELSと組み合ってるのがわかる。
そしてコーラサワーの機体が赤く光る。トランザムで限界点を超えて自爆するつもりなのが明らかで、マネキンが目をつむり顔を背ける。一連の二人のやりとりは、この変則的な夫婦の深い愛情と信頼を感じてとても好きなシーンです。
・「うわあああー!」と覚悟の叫びをあげたコーラサワーだが、自爆しようとしたタイミングで遠くから粒子ビームが飛来してELSを撃ち抜き爆発、その勢いで開いたハッチからコーラサワーは投げ出され、間抜けな叫び声とともに飛ばされてゆく。不死身伝説ふたたび。やっぱりコーラサワーはこうでないと。
そのあとロックオンの戦闘シーンが映るのでコーラサワーを救ったのは彼か?と思いかけたが「来たか!」と振り向きざまに言うロックオン、続いて画面に映るハルート内でハレルヤが「遅えんだよ!」と嬉しそうに不敵な笑顔で叫んでいるので、やっぱり刹那のクアンタですね。モビルスーツモードで戦っていたグラハムも「待ちかねたぞ、少年ー!」と嬉しそうな笑顔でアップで叫んでいる。まさに真打登場の趣き。
・いつものクールな表情で飛んで行く刹那。目の前に浮かぶティエリアが「対話のために、ELSの中枢に向かう必要がある」という。会話が共有されているのか「俺に任せな!」と頼もしくロックオンの声が割り込んでくる。
クアンタの背後からあらわれたサバーニャが派手に盾を展開。両手に銃を構え、「行くぜ、ハロ!」と声をかけ二体のハロが「了解了解」と羽をぱたぱたさせて答える。
ロックオンはモニター状で複数の標的に狙いをつけ「乱れ撃つぜー!」の声とともに派手に撃ちまくる。ビームの数もELSが爆発する火球の数も多数。迫力ある戦闘。先の見えない戦いに力が尽きかけているように見えたロックオンとサバーニャの完全復活シーン。
・その後ろを飛んで行く飛行形態のハルート。「いいか、反射と思考の融合だあ!」悪い笑顔で叫ぶハレルヤは一瞬後に真顔で「わかっている」とこたえる。ハレルヤとアレルヤが激しく入れ替わっているというか共闘しているのはわかるんだが、忙しいなあと思わず笑ってしまう。
マリーも真顔で「了解!」と答える。次の瞬間モニターの「HARUTE」の文字が「MARUT」に変わり赤く発光する。「行くぜええー!」とのハレルヤの叫びとともに今度はマルート・モードに入ったハルートの無双シーン。
MSの姿に変わったハルートが、大量のミサイルを飛ばしながら戦場を駆け抜け次々ELSを屠っていく。その爆発の眩しさに巡洋艦内の人?が目を覆うほど。
「これが超兵の力だ!」「ちがう、未来を切り開く力だ!」とハレルヤとアレルヤ。ハレルヤとアレルヤ、マリーも加わった超兵三人の圧倒的な強さに魅了されます。
・ハルートの圧倒的な攻撃と、防壁を展開しつつ攻撃を加えるサバーニャ。巨大ELSの前面にELSがほぼいなくなったのを見てロックオンが「刹那!」と叫ぶ。
刹那が前に出て巨大ELSに向かっていこうとするが脳量子波の波動を受けて呻く。ティエリアが「刹那!」と声をかける。ELSからの攻撃に対し防壁を出して防ぎながら、「俺は戦うために来たわけでは・・・」と釈明しようとする刹那。あきらかに仲間とわかる連中がELSを撃ちまくってる状況で言っても、とちょっとツっこみたくなりました。
・そこへ無数のビームを撃ち刹那周囲のELSを倒しながら現れたのはグラハム。「何を躊躇している!生きるために戦えといったのは君のはずだ!」「たとえ矛盾をはらんでも存在し続ける!それが生きることだと!」
グラハムの言葉にうなる刹那。右足に被弾しながらも敵に向かっていくグラハム。この二人ががっつり共闘する日が来るとはなあ。
グラハムはトランザムモードになって巨大ELSに向かっていく。他にも数機トランザム状態でELSに向かっていく機体があるのはソル・ブレイヴス隊のみなさんだろうか。
・「行け、少年!生きて未来を切り開け!」刹那は決意したように巨大ELSに向かって突っ込んでゆく。火星周辺での戦闘の時もそうでしたが、最後に駆け付けて刹那のピンチを救うのはグラハムなんですよね。
グラハムはこの後もう一度、最後の最後でも刹那を救い、彼の背中を押す役割を果たします。
・スメラギは「頼むわね、刹那、ティエリア」と呟いたあと、ミレイナに汚染状況を確認する。「15%!」 やはりプトレマイオスも無傷ではすんでないか。
プトレマイオスは援護のためか緑に発光しながら光線ビームを撃ち続けている。「連邦艦隊の損失55%!」とフェルトの報告が入ったところでその連邦から通信が入る。
「クジョウ」と呼びかけたのはマネキン。「カティ、もう少しだけ持ちこたえて」というスメラギに「勝機があるというのか?」とマネキンは驚きの声をあげる。「いいえ、ないわ」「何だと?!」「でも、希望はある!」
この言葉にマネキンは押し黙る。彼女は何のために通信してきたんだろ。人類を救えなかった残念だ的なお別れでも言うつもりだったのだろうか。勝機はないが希望はあるというのも戦術予報士にあるまじきいいかげんな言いぐさだが、確かなことが言える状況でもないですしね。
・左腕を失ったサバーニャはそれでもあきらめずトランザムモードに。再び多数の目標に向けて花火のように乱れ撃つロックオン。アレルヤはMS型のELSに取りつかれかけていたMSを見て助けに向かう。
もう間に合わないというハレルヤにそれでも行くさと答えるアレルヤ。アレルヤがELSを攻撃したおかげでパイロットは身一つで宇宙に投げ出されひとまず命拾い。「てめえの行為は偽善だ!」「それでも善だ!ぼくはもう命を見捨てたりしない!」
ファーストシーズンでもソレスタルビーイングとして初めて武力介入でない純粋な人助けをしたのはアレルヤでしたね。彼らもまたトランザムで巨大ELSに向かっていく。
・また脳量子波をくらいたじろぐ刹那をティエリアが叱咤。トランザムでELSの中枢へ侵入するという刹那を、トランザムは対話のための切り札だとティエリアが止める。
しかし相手の攻撃をかわすのが精一杯、防戦一方の状況に焦れた刹那はついにトランザム。ティエリアが叱るが巨大なビームをクアンタは放出し、ビームを剣のようにして「このまま表面を切り裂く!」と宣言、超巨大な球体ELSの体表に斬りつける。
メメントモリ攻略戦(2回目)でもダブルオーライザーのビームを巨大剣のようにして攻撃していた。今回は映画「ソレスタルビーイング」のライザーソードを地で行くような。しかしまさに未来を切り開くための大技、という感じなのに完全には成功しないのもメメントモリの時と同じなんですよね・・・。
・クアンタのビームソードは超巨大ELSを途中まで切り裂きかけるが、剣が表面を上っ滑りし、表面に大き目の亀裂を作るに留まる。これはELSが攻撃を受け流したためだった様子。
刹那とティエリアがともに愕然としかけたところに「少年!」の声が響く。再びグラハム・エーカー。ELSにコクピットまで侵食され、さらにMS形態のELSにのしかかられながら、グラハムの機体は赤い彗星のようにその亀裂にまっすぐに向かっていく。
「未来への水先案内人は、このグラハム・エーカーが引き受けた!」。格好いいなあグラハム。
・「これは死ではない!人類が生きるための・・・!」と叫びながら疑似太陽炉を臨界突破させるグラハム。そしてまさに閉じようとしていた亀裂の隙間に飛び込み、一瞬後に超巨大ELSの内側表面近くが爆発を起こす。
「あの男・・・」とつぶやく刹那。いいシーンなのに思わず笑っちゃいました。グラハムもずっと「少年」呼びだったけど、「あの男」はひどいだろう(笑)。
まあグラハムが刹那を名前呼びしても違和感あるように、刹那がグラハムをここでいきなり名前で呼んでもそれはそれで変な感じですが。
・「刹那!」とティエリアに促されて爆炎の跡を見るとグラハムが飛び込んだ箇所に綺麗に侵入口程度の穴が開いている。「突入する!」とクアンタは穴の中へと潜入。
内部は赤っぽい空間が続く。ELSは金属異性体で飛び交うファングのような小型ELSも、MSや巡洋艦に擬態したELSもみな銀色をしていた。なのに超巨大ELSの内部は色も形も金属っぽくない。まあ人間だって表皮の色と体内の色は違いますけど。
・フェルトはクアンタが超巨大ELS内部に突入したことを報告。艦の汚染状況は44%を超える。その時振動が艦を揺るがす。GNフィールド再展開不能に。
「総員、退艦準備をして」と沈んだ声でいうスメラギにフェルトが「いやです!」と即座に反発する。「クリスの時のように、またのけものにする気ですか?」「今度こそ、全員で生き残るんです!」
これだと自分だけでなく他のメンバーも艦長であるスメラギを残して退艦するのは認めないという言い回し。フェルト自身のことはともかくまだ十代だろうミレイナまで残らせるのはいかがなものか。と思ったらミレイナ自身が「ミレイナも残るです!」と意志表明。
スメラギも含め一人残らず退艦、全員で助かるという選択肢はないのかなあ。実際ここで退艦しなかったためにサブブリッジのイアンとリンダはELSに飲み込まれる寸前までいったし。確かに艦を捨てたから生き残れるとは限らないけれど。
・若い二人の言葉にスメラギは正面を向く。ラッセも不敵に笑ってみせる。「そうだ、あきらめるのはまだ早い!」「最後の最後まで信じましょう!」男女の声がするのはイアンとリンダ。「その通り!」と答えたのはロックオン。
「俺たちは、ソレスタルビーイング!」力強く叫びつつ戦うロックオン。アレルヤ「切り開くんだ」マリー「未来を!」ハレルヤ「明日を!」。なんとハレルヤがまともな台詞を。なにやら感慨深いものがあります。
彼らの言葉を受けてスメラギは「そうね、信じるわ、刹那を」。結局退艦しようがしまいが、できることは自分たちの身を守りながら刹那がELSと対話を成功させるまで生き延びることだけなんですよね。
・ELS内部のクアンタは青や赤の光の奔流のような空間を進んでゆく。一方連邦軍は「汚染状況70%と少しです!」報告したそばから連邦軍の旗艦のモニターが結晶化したELSに破壊され、ついに司令室にELS侵食。
叫び声をあげる軍人たち。マネキンも思わず立ち上がる。もうほとんど詰んでますね。
・さらに侵入しつづける刹那は「あれだ!」というティエリアの声に目の前の巨大なピンクの球体を見つめる。「これがELSの中枢・・・」中枢から丸っこい小さめの球体(クラゲっぽい感じ)がいくつか近寄ってくるが攻撃の意思は見られない。
「我々を迎え入れるのか」と呟くティエリア。実際クアンタが巨大ELSの内部に入ってから一切攻撃がない。刹那が斬りつけ巨大ELS表面の傷が閉じたスピードを思えば、グラハムが開けた穴だってその気になればすぐ修復してそのまま刹那たちを飲み込むこともできたでしょうがそれをしていない。外での攻防の激しさ、人間側の追い詰められっぷりとの落差がすごい。
彼らが戦いのためではなく対話のために来たというのが(表面切り裂いたり穴開けたりしたにもかかわらず)伝わったということでしょうか。
・刹那はクアンタムシステムを作動。「クアンタムバースト!」の声とともに機体が緑色に発光。刹那「これがラストミッション!」ティエリア「人類の存亡をかけた、対話の始まり!」。
ELSの側も中枢部分がラッパのように膨らんで光を放つ。流れ出す大量の情報。そこに「わかりたい、わかりあいたい」というマリナの声と王宮にいる彼女の姿が重なる。
人類の命運を決するのは戦いではなく話し合い。せっかく映画仕様の新しい機体が出たのにほとんど戦闘せず意思疎通のために機体が光ったり脳量子波のやりとりだったり。大きなスクリーンで格好いい戦闘場面を見たかったという観客的には不満が多かったろうことは想像に難くない。
そうした不満が寄せられることは覚悟のうえで監督他制作陣が(その分刹那以外の戦闘シーンを充実させることでバランスを取りながら)〈相互理解による終戦〉を描ききった心意気に痺れます。
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