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俳優・勝地涼くんのこと。

『亡国のイージス』(2)

2007-01-16 00:28:25 | 亡国のイージス

映画公式サイトの「こんなにしゃべってイージスBLOG」。
ファンの方の書き込みは無論のこと、映画(とその周辺の)スタッフによる裏話がいろいろ聞けるのが貴重でした。
勝地くんに関しても、護衛艦で体験航海してはしゃいでた様子だの、その時お昼のカレーライスをお代わりしてその後士官室で爆睡してた(笑)ことだの、北陸でのキャンペーンの際にお祖父さんが会場に来られたのを見てボロ泣きした話だのが紹介されていて、やんちゃで涙もろい等身大の男の子な部分が垣間見られたのが嬉しかったです。

そしてキャンペーンの告知を見て、訪問先の多さにびっくり。
主演の真田さんの倍くらいあるんじゃないですかね。雑誌の露出も一番多かった気がします。
メインキャストでダントツに若い勝地くんは、体力面でもギャラの面でも使いやすかったんだろうし、6月~8月あたりはほぼ『イージス』キャンペーンに全力投球で他の仕事と掛け持ちしてなかったようなので(2006年1月に放映された環境番組『一秒の世界』の撮影で富士山に登ったくらいかな?)スケジュール的な都合も良かったんでしょうが、それ以上に「この機会にこいつをきっちり売り出してやろう」という製作サイドの思い入れを感じました。
年齢不相応の落ち着きと年齢相応の初々しさをあわせ持ち、丁寧な受け答えのできる勝地くんは、どこに出しても恥ずかしくない人材だったと思いますし。

今月27日公開の映画『幸福な食卓』(勝地くんはヒロインの恋人役で出演)も『イージス』と同じ小滝祥平プロデューサーですね(脚本も同じ長谷川康夫氏)。
主演が同じ事務所の北乃きいちゃんなので事務所的なあれこれもあっての配役だとは思いますが、「また一緒に仕事をしたい」と思ってもらえたのなら嬉しいなあ(余談ですが、上記の「北陸キャンペーンボロ泣き事件(?)」に対する小滝プロデューサーの反応は実に男前でした)。

「イージスBLOG」といえば、スタッフの一人「夜行性ペンギン」さん(彼女の書く文章、可愛くて茶目っ気があってとても好きでした)が、勝地くんにインタビューした時の話も印象的でした。
その日勝地くんは分刻みで各社のインタビューをこなしてたんだそうですが、
「その瞳力(メヂカラ)…………スゴイの一言。10も20も年上のプロのインタビュアー&カメラマンまで、終了後に「吸い込まれるかと思った」と漏らしたほど。」
だったとか。
原作者の福井さんが「彼の目っていうのが、撮り方によって写りざまが違うんです。」と書いていましたが、『イージス』の中だけでも、行の基調である相手を正面から見据える強い目、回想シーンでの仔犬のような黒目がちの幼い目を見ることができます。
さらには素のトークなどで見せる、微笑む時の穏やかな優しい目、笑う時のキラキラと輝く目、真顔で語る時の静かな目。「吸い込まれるかと思った」ときの目はおそらく最後の真顔の目じゃないかと思います。透度の高い湖のような深く澄んだ瞳。 
個人的には、勝地くんはいわゆる「華のある」タイプではないと思うのです。
端整な顔立ちは癖がないだけに地味ともいえるし、演技も大げさなところがなくあくまで自然体。けれど確かな存在感がある。
自分から光を放つ、内から外へオーラを放散するというより、外から内へとベクトルが向かっている感じ。見る者の視線をふっと引きつけてそのまま放さないような。例えるなら恒星じゃなくてブラックホール?(笑)
そしてその吸引力の中心にあるのはやっぱりあの目なのだなと、このエピソードを読みつつ思ったのでした。

1/28追記 『この映画がすごい!』2007年3月号の勝地くんインタビューによると、 小滝プロデューサーから直接出演依頼があった(それ以前に事務所にも話は行っていたものの、まだ確定した話ではないからと勝地くん本人には伝えてなかった)のだそうです。事務所の意向というより、プロデューサー主導のキャスティングだったようですね。『イージス』撮影時に見せた技量と人柄が買われたのだなと思うと、何やら嬉しくなります。


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『亡国のイージス』(1)

2007-01-12 23:07:21 | 亡国のイージス
作品そのものについては以前によそで書いたことがあるので、今回は周辺の話などを。

如月行の配役を決めるにあたってのポイントの一つに、
「固有の色が付いてない人(たとえばいくら演技力はあってもラーメンのCMに出演していたりすると役のイメージ上まずい)」
というのがあったのだとか。

さらになまじキャリアのある人だとメイン4人の存在感に気圧されてしまうからと、オーディションで新人起用という形になったと聞きます。

とはいえ繊細な演技力を要求される難役だけに全くの素人を使うのも冒険に過ぎる。
そう考えると『さとうきび畑の唄』他の好演で演技派の若手としてすでに一定の評価を得つつも、一般的知名度は高くなかった(したがって特定のイメージも出来上がっていない)勝地くんは、まさに最適の人材だったでしょう。

しかしこれだけ「如月行」のイメージにこだわったわりには、キャンペーン中、「イージスか?」のオヤジギャグだのラジオ番組(未聴)の罰ゲームでの赤ちゃん言葉だの、およそ行らしくない台詞をやたら言わされてたような・・・イメージ戦略はどうした?

でもこれ、わかる気がするのです。勝地くんの場合、役と素のギャップが役柄のイメージにも本人のイメージにも全くマイナスに作用しない。
むしろそのギャップにやられた!という人が(私もふくめ)多いように思います。
噂に聞く「お勉強」発言は原作以来の行ファンにももっぱら好意的に受け取られたようですし、のちに『東京フレンドパーク2』に出演した際には如月行にあるまじきヘタレっぷりでかえってファンを増やしていた(笑)。

これは単に「役と素顔のギャップ=全くの別人格を演じ切るその演技力に感動」というだけではないでしょう。
謙虚で礼儀正しい勝地くんがもともと万人受けするキャラクターであること、如月行の強い眼差し・無愛想・哀しさと勝地くん本人の持つ柔らかな雰囲気のコントラストがそれぞれの魅力をより強調する効果をあげていることが、主たる原因なんじゃないかと思います。

宣伝スタッフもそのへんを見切って、彼に如月行らしく振る舞うことを求めず、むしろ生真面目かつ緊張しいの性格のため自分から笑いを取ったりできない勝地くんを適度にいじって微笑ましい天然ぷりを引き出す方向に行ったんでしょう(「イージスか?」については宣伝スタッフではなく真田さんの「親心」かと思いますが)。
まあそんな計算抜きにしてもついついからかいたくなるタイプなんでしょうけど(笑)。

そして今もって彼は「固有の色が付いていない」ように思います。
シリアスな作品、影のある役が多いものの、コメディや明るい性格のキャラも巧みに演じ切る(最近はむしろ明るい役の方が多いかも)。
固有な色を持たないというより「どんな役にも染まれる透明さ」が彼の「色」というべきかもしれません。

そういえば当時勝地くんが雑誌のインタビューで行のことを「壮絶な過去を持っているにもかかわらず真っ直ぐで純粋で、色に例えるなら透明」(概要)と評していました。実は似たもの同士?


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