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想い続けることができれば、その想いはいつか成就する

その日その日感じたことを詩、エッセイ、短歌、日記でつづります。野菜も育ててます。

人間らしさとは、何か 記憶を移植する日 その1

2025年02月07日 | 小説
記憶を移植する日

 静かな研究室の片隅で、今川博士は微細な生体チップを顕微鏡で覗き込んでいた。そこには人間の記憶という貴重な情報が詰め込まれている。彼が開発した「メモリー・トランスプラント」と呼ばれる革新的な技術は、人類の未来を大きく変えようとしていた。

 「これで本当にいいのだろうか」と、彼は幾度となく自問自答を繰り返していた。

 人間の記憶を、まるでコンピューターのデータのように保存し、他者の脳に移植することができる。その技術は、重度の認知症患者の記憶を取り戻すことを可能にし、また事故で失われた知識や経験を復元することもできる。しかし、それは同時に人間の本質に深く関わる問題も含んでいた。

 研究室の窓から差し込む夕陽が、チップの表面で揺らめいていた。

続く その2へ

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