小学校教員OBとして、定年退職して、痛烈に感じたことがあります。それは、人間でありながら、私たちは、いかに人体の事について知識がなかったかと言うことです。
何かあると何も考えずに薬を服用する。医者にすぐ行く。医者は医者で問診、診察はほどほどで、すぐ、薬を勧めて患者は薬漬けになってしまう。医者はまず、薬の点数を考えながら治療する。
今の医療を制度の根本から考え直していかないと、医療という尊厳ある行為も経済活動になってしまう。
患者は患者で医学知識がない為、どうしていいかわからない。そこで、治療は全て医者の言いなりになる。なぜなら、患者は医療に対する知識がないから。
だから、教科「人体」を特設して、ある程度までは知識をつけさせたい。基本的に自分の体の事を1番身に染みて体感しているのは、その患者自身であるはずだ。
医者にとっては、患者は医療に対して知識が無い方が治療をやりやすい。自分の思う様にできるからだ。今は、医療に対しても、情報が飛びかわっている時代だ。もっと、患者と対話しながら、医療を進めていいはずだ。そういう時代に近づいて来ている時代だ。プロシューマーという言葉もある。プロとアマの差がなくなって来ている時代、これからの医療はもっと患者と対話しながら進めていく時代である。但し、患者の力量にもよるので、その辺は医者のリーダーシップで進めて行けばいいのだが、もっと、医者が患者に寄り添って治療する医療になって欲しい。私の願いである。
そこで、ある筋から反対があるかもしれないが、今後は、義務教育で小学生から「人体」を教科として特設し、消化器から神経、筋肉、骨、痛み、栄養、内分泌、心等を人体として総合的に把握出来る知識を誰もが身に付ける事ができないか。年を追って順に義務教育終了迄にはある程度、医者にかかる前の自分の状態がどうであるかを自分なりに理解できる様な力を身に付けさせることが、できないかと考えている。
また、必要以上に医者と薬に頼らない新しい制度の創設や現在の保険制度の見直しも進めたらと思っている。
医療と教育は両輪である。心の問題を薬で治そうとする風潮を憂う。やはり、心の治療は根本が人のアナログ的な発想がまずもって、大事な気がする。
特別支援教育の中でも、手っ取り早いのか薬を服用している子も最近はたるくさんいる。それも、心療内科でも沢山の薬が出ている様である。心の問題は詰まる所、人のたゆまない愛情から解決の先が見えてくるものだと思う。今後は医療を効率な便利から解放し、全人的アプローチで当たって欲しいと願っている。そのためにも、西洋医学一辺倒となっている医師免許に東洋医学も大いに加えたらどうかと思う。