同じ皿から、違う未来が**
同じ皿を 囲みながら
同じものを 口にしても
ある人の 体は そよ風
スルリと 通り抜け 軽やかに
ある人の 体は 深い森
じわりと 根を張り 重たく
「意志が弱い」の? 違うんだ
「食べ過ぎた」の? 違うんだ
カロリーの 数字だけが 真実じゃない
タンパク質の 量だけが 答えじゃない
見えない設計図(遺伝子)が 紡ぐ道
小さな生命(腸内細菌)が 奏でるリズム
代謝の川の 流れる速さ
一人ひとり 唯一の 器(うつわ)
受け止める 形 響きが 違う
「平均」という 名の仮面(かめん)を 外そう
「みんな同じ」の 幻想(まぼろし)を 解こう
吸い込む光(栄養)も 漏れる滴(ロス)も
私だけの 物語 刻まれゆく
栄養学は 静かに 進化した
「あなた」という 星を めざして
数値より 深く 体の声を聴け
同じ食卓から 始まる あなただけの栄養学
雨が滲んだトタン屋根
風が泣いた、台風の夜
けれど、バラックの家の中には
笑い声と、湯気と、母の優しさがあった
貧しくても、美しかった
手をつなぎ、肩を寄せ合う日々
壊れそうな家よりも、壊れなかった心
あれは、宝石よりも尊い時間だった
✳︎この詩は私が子どもの頃の実話が元になってます。台風は伊勢湾台風です。