読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

別府→湯平湯けむり紀行(その1) 雨にも新型コロナにも負けず、別府の熱〜い温泉と美食を堪能

2020-02-25 23:05:00 | 旅のお噂
全般的に暖冬傾向となったこの冬ですが、それでもまだまだ、朝晩はひんやりとする日が続いております。
こんな時期にはやっぱり温泉!ということで、2月22日(土曜日)から24日(月曜日)にかけての三連休を使って、〝日本一のおんせん県〟である大分県を旅行しました。毎年出かけている別府温泉でまず一泊し、2日目には湯布院から少し大分市寄りの湯平温泉へと移動して一泊する・・・という行程でした。
折しも、新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる報道が連日、大々的に続いていたこともあり、おちおち旅行もできないような気にさせられる状況ではありました。しかし、それを過剰に不安視して旅行を取りやめるなんて、実につまらないことでしょう。新型コロナパニックには構うことなく出かけるぞ!と意気込みつつ、出発の日を迎えたのであります。

22日午前6時少し前。宮崎駅から特急列車に乗り込み、別府に向けて出発いたしました。外はまだ真っ暗でしたが、出発の日を迎えたことを祝すとともに、今回の旅が無事に終わることを願いながら、駅の隣で買った缶ビールをプチンと開けて、グビリと飲み干しました。嬉しいんだよなあ、この瞬間が。
午前9時20分ごろ、つつがなく別府駅に到着・・・したのですが、

別府駅を出ると、外は雨模様。駅の前に独特のポーズで立っている別府観光の父・油屋熊八さんの銅像も、雨にそぼ濡れておりました。ここ何年か、別府に出かけると初日は必ずといっていいくらい天気が崩れるのですが、またしても「♪は〜じまりは〜いつも雨〜〜」(byチャゲアス)な展開となったのであります。
とはいえ、雨の降り方はそれほどでもなかったことに加え、午後からは天気が持ち直すという予報も出ていたので、街を歩くのにはそれほど不都合はなさそうでした。雨にも新型コロナにも負けずに温泉を満喫するぞ!ということで、さっそく「別府高等温泉」に入り、今回最初の入浴をいたしました。

別府駅から伸びる駅前通りにあり、大正13(1924)年に建てられたレトロチックな洋館建築が映える、別府温泉を象徴する共同浴場の一つ。別府に来ると、まず最初に入ることにしております。
〝あつ湯〟と〝ぬる湯〟に分かれていて、わたしはあつ湯のほうに入りました。半地下型の浴室に降りると、半円型の浴槽に気持ち良さそうなお湯がなみなみ。さっそく浸かると、思わず「ふ〜〜〜っううう」と声が漏れます。
ここのお湯は、あつ湯とはいってもやたらに熱いわけでもないので、お湯に慣れるのにはうってつけなのです。なんせ、おしなべてお湯が熱〜いですからね、別府の共同浴場は。とはいっても、ずっと浸かっているとやはり熱さが身に染みてきますので、ときどき浴槽から出てひと休みしながら、ゆっくりと入りました。
あ〜〜、今年も別府にやって来たんだなあ・・・そんな実感が熱さとともに、カラダとココロに広がっていったのであります。

「駅前高等温泉」を出て、飲料水で水分補給をしたあと、次の共同浴場へと向かいました。こちらも駅からほど近い公園の隣にある「海門寺温泉」です。ここも以前、入ったことがございます。



建物の前には、ちょうど10年前に移転新築したときに立てられたという「お湯かけ地蔵」がおられます。が、このときはなぜか右の湧き口からはお湯が出ておらず、お湯溜まりにも冷たい水があるだけでした。少々気が引けましたが、仕方がないのでその水をかけながら、別府の湯の恵みを使わせてくださいませ・・・とお願いしておきました。
中に入ろうとすると、お風呂から上がった外国人のグループが出てきました。お国がどこなのかはわかりませんが、どことなく中東風のお顔立ちをした皆さんでした。観光に来られていたのか、はたまた地元別府にある立命館アジア太平洋大学(APU)に留学しておられる方々なのか・・・。いずれにせよ、新型コロナ新型コロナと騒々しい中にあっても、こうして日本の、そして別府の温泉文化に親しんでくださっているのは実に嬉しいことだなあ・・・と、しみじみ思いました。
まだ真新しさを感じる建物はバリアフリーで、浴室にもシャワーが完備されていたりしていて利用しやすい感じです。浴槽は〝あつ湯〟と〝ぬる湯〟に分けられていて、わたしはまずぬる湯に入ったのですが・・・これがけっこう熱いのでありまして、さっき入った「駅前高等温泉」のあつ湯と同じくらいの温度に感じました。
ならば、とあつ湯に入ってみたら・・・これはもう、わたしのような軟弱者は1分も浸かれないほどの熱々ぶり。やはり熱〜いお湯こそ、別府の共同浴場にとってのデフォルトなんだなあ・・・ということを、あらためて思い知らされたのであります。
というわけで、わたしはぬる湯のほうにゆっくり浸かってカラダを温めました。その横のあつ湯のほうには、地元のご常連さんが気分良さそうな表情をしながら、悠々と熱〜いお湯に浸かっておられたのでありました。

「海門寺温泉」から上がると、時刻はちょうどお昼どき。熱〜い温泉のあとは冷た〜い生ビールとともに美味しいものを食べるぞ!ということで、海門寺温泉のすぐ近くにある、焼肉と別府冷麺の老舗店「元祖 アリラン」に入りました。別府入りして最初の食事は必ずここで、と決めているお店であります。



牛カルビと豚トロ、ホルモンに焼き野菜の盛り合わせを注文し、生ビールとともにわしわしと摂取いたしました。ここ半年ほど、普段は健康のために呑み食いは控え目にしているわたしですが、もう旅行のときにはリミッター全面解除。柔らかくて脂も程良く入った牛カルビ、旨味たっぷりの豚トロ、そして甘みのある脂が絶品のホルモンの美味さにビールがぐいぐい進み、さらにハイボールまで呑んでしまいました。



仕上げはもちろん、ご当地グルメである別府冷麺。シコシコと歯ごたえのある麺と、さっぱりした旨味の魚介系スープの取り合わせは、ビールと焼肉の締めにピッタリ。熱〜い温泉のあとに旨い焼肉でスタミナと抵抗力をつければ、新型コロナも恐れるに足りませぬ(笑)。
食事を終えて「元祖 アリラン」を出ると、空には晴れ間が出て日も差しておりました。ありがたいことに、予報通りに天気が回復してきているようでした。

食後のデザートには、こちらも別府お気に入りのお店である「ジェノバ」のジェラートを。さまざまな種類のフレーバーが並ぶ中で、期間限定という〝あまおう苺のシンフォニー〟をチョイスいたしました。
甘酸っぱいあまおう苺のアイスと、ミルクの旨味が詰まったバニラアイスとの組み合わせは、もう頬っぺたが落ちてどっかに飛んでいきそうな、病みつき必至の美味しさでありました。




お口もお腹も満たされたわたしは、腹ごなしにしばらく街を歩き、別府の南に位置する浜脇温泉へと向かいました。
別府温泉発祥の地といわれ、かつては花街もあって大いに賑わった温泉地ですが、今は観光地というよりも、静かな住宅街といった雰囲気。でもそのぶん、地元の皆さんの暮らしの息づかいが感じられて、わりと気に入っているエリアでもあります。
浜脇に着いてまず入ったのが「湯都(ゆーと)ピア浜脇」です。

今回初めて立ち寄ったこちらは、大きな浴槽の温泉をはじめとして、ジェット風呂や気泡風呂、寝湯、うたせ湯、運動浴など、さまざまな湯船が揃ったスパ施設です。ヨーロッパのクアハウスをモデルとしていて、それぞれのお風呂を組み合わせて入浴することで、健康増進やストレス解消、美肌効果などに役立つという触れ込みであります。
大きな湯船に入ったお湯は少々熱めでしたが、そのほかの湯船はどれもぬるめで、誰でも安心して入れそうな感じがいたしました。ひととおり入った中では、浴槽の全体にボコボコとあぶくが湧き上がっている気泡風呂がなかなか気持良く、浸かっているとなんだか眠くなってきたのでありました。またジェットバスも、カラダにいい刺激を与えてくれました。
館内には、ランニングマシーンやバーベルなどの機器が揃ったトレーニングルームもありました。ここでカラダを鍛えて、そのあと温泉で汗を流してさっぱりするというのも良さそうですねえ。
さすがに共同浴場的な風情こそないものの、ゆっくりと健康的に過ごせそうな施設でありました。

次に立ち寄ったのは、「湯都ピア浜脇」の隣・・・というか、同じ建物の一角に位置している共同浴場「浜脇温泉」です。ここは以前にも立ち寄ったことがございます。

近代的なスパ施設である「湯都ピア浜脇」とは対照的に、こちらは古き良き銭湯の風情が色濃く漂います。・・・で、お湯もしっかりと熱い(笑)。ですが、浴室は広々としていて開放感もあり、実に気分良く入浴できます。
お客さんのほとんどはご近所の常連さん。お互いに挨拶を交わし、話に興じる常連さんたちの醸し出す空気感がまことに心地よく、いい感じで時間が流れていきます。
こういう憩いの場が、住んでいる場所の近くにあるというのは、なんとも羨ましいなあ・・・お湯に浸かりながら、あらためてそんなことを思ったのでありました。

「湯都ピア浜脇」と「浜脇温泉」を出るころには、もう天気はすっかり回復していて、空を見ると雲も消えていて、一面の青空が広がっておりました。
やったー!これからいい旅行ができそうだぞ・・・そんな嬉しさが湧き上がり、より一層ウキウキ気分となったわたしなのでありました。


(次回につづく)


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