読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

3月刊行予定新書新刊、個人的注目本10冊

2014-02-27 21:29:51 | 本のお噂
2月というのは本当に過ぎていくのが早い。もう明日で終わりになりますね、2月が。
厳しい寒波に襲われ、各地で大雪による災害にも見舞われた今年の2月。しかしここにきて、だいぶ暖かくなってきつつありますね。早く桜咲く春になることを楽しみに待つとともに、大雪災害に遭われた地域とそこに住む皆さんの暮らしと産業が再建されていくことを、切に切に願いたいと思います。
この2月はわたくしにとって、インプットもアウトプットも低調な月となってしまいました(その低調ぶりは2月のブログ更新履歴を見ても歴然で•••)。来月は、低調ぶりを打破して上昇基調に乗せていきたいな、と考えております。まずは、つまらないコトには関わらないようにして、いらん雑念をすべて一掃してしまうことから始めたいな、と。

さて、来月3月に刊行される予定の新刊新書のラインナップが出揃ってまいりました。というわけでいつものように、3月に刊行予定の新刊新書の中から、わたくしの興味を惹いた書目を10冊選んでピックアップしてみました。皆さまにとっても、この中に引っかかる書目が何かあれば幸いに存じます。
刊行データや内容紹介については、書店向けに取次会社が発行している情報誌『日販速報』の2月24日号、3月3日号とその付録である3月刊行の新書新刊ラインナップ一覧に準拠いたしました。発売日は首都圏基準ですので、地方では1~2日程度のタイムラグがあります。また、書名や発売予定は変更になることもあります。


『ほろ酔い文学辞典 作家が描いた酒の情景』 (重金敦之著、朝日新書、13日発売)
「美酒に酔い、名文に酔う。作家が愛する酒の文学をひもとき、豊饒な世界を味わう好エッセイ。夏目漱石、ヘミングウェイほか」という内容紹介文を見るだけで、食指をそそられるものがある一冊。著者の重金さんはこれまで、文学と食、酒とのおいしい関係についての本をいろいろ出されている方ですので、この本にも期待してしまうのであります。

『唐物の文化史 舶来品からみた日本』 (河添房江著、岩波新書、20日発売)
「正倉院の宝物から毛皮、香料、書、茶、珍獣まで、モノを通じて日本文化の変遷を追う」と。それぞれの舶来品がどこから来て、どのような形で日本の文化に影響をもたらしたのか、けっこう興味が湧きますね。中でも特に「珍獣」てのが気になるな。

『辞書から消えたことわざ(仮)』 (時田昌瑞著、角川SSC新書、10日発売)
「『ことわざ研究』の第一人者によることわざの本。消えるには惜しいことわざをピックアップし、全800語以上を収録」とのこと。確かに時の流れでやむを得ず消えていくものもあるとはいえ、ことわざに凝縮された昔からの知恵には、まだまだ活かせるものもあるはず。それをしっかりと発掘するような一冊になってくれていることを願いつつピックアップ。

『量子的世界像 101の基礎知識』 (フォード・ケネス著、青木薫・塩原通緒訳、講談社ブルーバックス、19日発売)
「素粒子から『場の量子論』まで、量子の世界の物理学を網羅。明快な解説で基本概念から最前線までを一気に学べる決定版入門書」。相対性理論はまだしも(いや、相対論もキチンと理解しているかどうかアヤシイもんなのですが•••)、なかなか量子論なるものを理解できずにいるわたくしでも、わかるような内容になっているのか、ちょっと期待したいところであります。青木薫さんも訳者の一人のようですし。

『日本の居酒屋文化 赤提灯の魅力を探る(仮)』 (マイク・モラスキー著、光文社新書、18日発売)
またもお酒がらみの本をピックアップしてしまいました(ほんとすみませんねえ、個人的好みまるだしのラインナップで)。「世界に類のない日本の居酒屋文化を、日本人には当たり前の情景を『こんなふうに見えるのか。』という驚きをもって考察した」とか。外国人の目からは“IZAKAYA”とはいかなる場所に映るのか、これは興味が湧きますねえ。

『文豪たちの「?」な言葉』 (馬上駿兵著、新典社新書、2月27日発売)
3月の新刊ピックアップといいつつ、1点だけ2月発売分を挙げさせてくださいませ。「漱石・芥川ほか、名作の中から現代の基準では『?』と思われるような言葉を拾い上げ、その表現に籠められた文豪たちの息遣いを知る」という内容紹介に、なんだか惹かれるものがありましたので。確かに近代文学の中には、今では見聞きしないようなコトバや表現がままありますからね。そのようなコトバから文学を味わうというのも面白そうですな。

『超美麗イラスト図解 世界の深海魚 最強50』 (北村雄一著、サイエンス・アイ新書、14日発売)
「深海の世界では、深海魚たちも異形の進化を遂げている。彼らの驚くべき特長を超美麗イラストとともに解説していく」。ほかの生物の常識では測れないような、深海魚の姿形や生態にも興味津々なのですが、イラストの「超美麗」ぶりをぜひ見てみたいのでありますよ。

『乙女の美術案内(仮)』 (和田彩花著、PHP新書、14日発売)
「絵画は乙女が変えてきた。人気アイドルグループ『スマイレージ』の和田彩花が、大好きなアートについて画期的な美術論を展開」とか。ザンネンながら、わたくしめは「スマイレージ」も和田さんのこともまったく存じ上げないのですが(苦笑)、なんだか毛色の変わった趣向の美術本のようなのでちょっと見てみたいなあ、という野次馬根性だけでピックアップしてしまいました。さあ、どのように「画期的」な美術論になっているのでありましょうか。

『作家の決断』 (阿刀田高著、文春新書、20日発売)
「警官殺し容疑で逮捕された佐木隆三氏、給料日本一の社を辞した津本陽氏ほか渡辺淳一、田辺聖子、瀬戸内寂聴各氏ら19人の転機とは」。うむむ。それぞれの作家の方々はいかなる転機と決断を経験し、それがどのような形で作品に反映されたのでしょうか。

『桜は本当に美しいか 日本人の歌と欲望』 (水原紫苑著、平凡社新書、14日発売)
「桜は本当に美しいのか。気鋭の歌人が語る桜の文学。人々が桜に肩代わりさせてきた欲望を解明する日本文化論でもある」と。これから桜の咲くのが待ち遠しい時期にこういう本を出すなんて•••イケズな平凡社さんだこと(笑)。でも、これはなんだか面白そう。


そのほか、3月新刊で気になる書目は以下の通りであります。

『〈老いがい〉の時代 日本映画に読む』 (天野正子著、岩波新書、20日発売)
『元気が出る俳句』 (倉阪鬼一郎著、幻冬舎新書、28日発売)
『社会保障亡国論』 (鈴木亘著、講談社現代新書、18日発売)
『世界の読者に伝えるということ』 (河野至恩著、講談社現代新書、18日発売)
『宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト』 (村上敏夫著、講談社ブルーバックス、19日発売)
『日本のアニメは何がすごいのか 世界が惹かれた理由』 (津堅信之著、祥伝社新書、3日発売)
『西洋美術史入門・実践編』 (池上秀洋著、ちくまプリマー新書、5日発売)
『日本漁業の真実』 (濱田武士著、ちくま新書、5日発売)
『人体にあぶない微生物のはなし(仮)』 (小林一寛著、PHPサイエンス・ワールド新書、18日発売)
『こだわり鉄道旅のススメ ツウならこう乗る』 (野田隆著、平凡社新書、14日発売)


最後に、内容はともかくとして、書名にインパクトを感じた本を1点挙げておきましょう。

『その物言い、バカ丸出しです 「軽く見られない」話し方』 (梶原しげる著、角川SSC新書、10日発売)

口ベタ人間の一人としては、なんか思いっきりヘコみそうな書名なんすけど•••(笑)。もっとも(仮)なので、実際にこの書名で出るかどうかはまだわからないのですが。