読んで、観て、呑む。 ~閑古堂雑記~

宮崎の某書店に勤める閑古堂が、本と雑誌、映画やドキュメンタリー、お酒の話などを、つらつらと綴ってまいります。

3月刊行予定文庫新刊、超個人的注目本5冊(ちょっと少なめですが・・・)

2014-02-12 22:39:20 | 本のお噂
来月、3月に刊行予定の文庫新刊から、例によってわたくしが気になる書目をピックアップしてご紹介したいと思います。
ただし、3月は個人的に気になる本があまりございませんでしたので、いつもよりだいぶ少なく5冊のみピックアップいたしました。とはいえ、あくまでもわたくし目線では気になる本が少なかった、というだけのことでありまして、3月も各文庫からはさまざまな本が出される予定であります。詳しいラインナップをお知りになりたい方はぜひ、版元のホームページや本屋さんの店頭にてチェックしていただけたら、と思います。
刊行データについては、書店向けに取次会社が発行している情報誌『日販速報』の2月10日号の付録である、3月刊行の文庫新刊ラインナップ一覧に準拠いたしました。発売日は首都圏基準ですので、地方では1~2日程度のタイムラグがあります。また、書名や発売予定は変更になることもあります。
なお、2月刊行予定としてお伝えしていた『フェルメールになれなかった男 20世紀最大の贋作事件』(フランク・ウイン著、小林頼子ほか訳、ちくま文庫)は発売が延期になり、3月10日の発売となりましたので、あらためてここでお知らせしておきます。

『私の記録映画人生』 (羽田澄子著、岩波現代文庫、14日発売)
日本における女性の記録映画監督の草分け的存在といえる著者が、少女時代の思い出から記録映画とともに歩んだ人生までを振り返った一冊。『薄墨の桜』や『痴呆性老人の世界』『歌舞伎役者片岡仁左衛門』など、数多くの秀作を生み出してきた羽田さん。その人生は、おそらく戦後日本の記録映画史としても貴重なものがあるはず。とても楽しみな一冊であります。

『超発明 創造力への挑戦』 (真鍋博著、ちくま文庫、10日発売)
星新一さんの挿絵や装画を手がけてきたことでも知られる真鍋さんが、1971年に講談社から出した著書の文庫化。残念ながら、まだ内容については詳しいことはわからないのですが、星さんのショートショートとともに真鍋さんの絵にもワクワクさせられていた人間の一人としては、ちょっと楽しみな一冊です。

『兵器と戦術の日本史』 (金子常規著、中公文庫、下旬)
古代から現代までの日本史における名高い戦争で使われた兵器を殺傷力・移動力・防護力の三要素に分類、その戦闘力とそれらを用いた戦術を豊富な図解で分析した本。同じ著者による『兵器と戦術の世界史』の姉妹編でありますが、そちらのほうもまだ未読でありましたので、これはまとめて見てみたいですね。

『河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙』 (河北新報社著、文春文庫、7日発売)
宮城県最大の地元紙である河北新報。3年前の3月11日、未曾有の巨大地震の直撃を受け、自ら被災しながら、それでも新聞を送り届けるべく不眠不休で動き続けた同社の人々の壮絶な記録。こちらもまだ未読でしたので、3年前のことを忘れないためにも、ぜひ読んでおかなければ、と思っております。

『コンニャク屋漂流記』 (星野博美著、文春文庫、7日発売)
文春文庫からもう一冊を。江戸時代に紀州から房総半島へと渡った「コンニャク屋」なる屋号をもっていた漁師を先祖にもつ著者。祖父が残した手記を手がかりにそのルーツを探ろうと、著者の珍道中が始まった•••。家族と血族の意味を笑いと涙とともに問い直すノンフィクション。なんで漁師なのに「コンニャク屋」などと名乗っていたのか?ということを含めて、なんだか面白く読めそうな一冊でありますね。

そのほか、書名のみで気になっている書目は以下の通りであります。

『芥川龍之介随筆集』 (石割透編、岩波文庫、14日発売)
『茨木のり子詩集』 (谷川俊太郎編、岩波文庫、14日発売)
『落語名作200席』上・下 (京須偕充著、角川ソフィア文庫、25日発売)
『藤子不二雄論』 (米沢嘉博著、河出文庫、6日発売)
『全線開通版 線路のない時刻表』 (宮脇俊三著、講談社学術文庫、10日発売)
『日焼け読書の旅かばん』 (椎名誠著、ちくま文庫、10日発売)
『クマにあったらどうするか アイヌ民族最後の狩人 姉崎等』 (姉崎等ほか著、ちくま文庫、10日発売)
『アダム・スミスの誤算 幻想のグローバル資本主義(上)』『ケインズの予言 幻想のグローバル資本主義(下)』 (佐伯啓思著、中公文庫、下旬)