一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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「住宅最大のトラブル転じて福となす」(11)

2006年12月20日 11時59分31秒 | 住宅最大のトラブル転じて
おはようございます。ミタス一級建築士事務所の清水です。

このテーマを初めてご覧になる方は、2006年11月30日 からご覧下さい。

この後は工期の制限がネックで問題が起こるのですが、当時は姉歯さんの偽装問題が発覚し連日マスコミをにぎわしていた時期でした。民間の検査機関も批判を浴び、そのことで検査機関が慎重になり過ぎたり、審査期間がかなり長くなったり、過剰な要求などをしてくるようになってしまいました。


問題になったのは、今回のプランの屋上へ上がるペントハウス階の階段の解釈の議論でした。役所はもちろん、他のどの検査機関、同じ検査機関の他の担当者も問題ないと言っていて、建築基準法上も根拠が無いのに、「これは、認めない。」と我々の検査機関の担当者だけは言い張るのです。指摘の内容も通常、指導を受ける内容の逆のことを言い張るのです。

スタッフに対応させていましたので、私が指示をして法的な根拠を述べてもらうようにと伝えても、あれやこれやのつなぎ合わせとご自身の解釈で譲ろうとはしないのです。

「11月末に着工できないと、この工事は受けません。」と特別に安くしてもらった業者も再度宣言していました。審査機関を変更すれば問題なくOKになるのですが、それをしていると審査が最初から始まりますので、とても間に合わないのです。

止むを得ず、不本意でしたが設計変更して再提出でOKをギリギリのタイミングでもらいました。

その後の中間検査でも、構造体がより安定するよう梁の掛け方を1箇所変えるように指示していたのですが、構造体を大きく変更したという解釈され、全く最初からすべての構造計算のやり直しを命じられました。

通常の木造2階建ての筋交い計算ですと、たった2枚ですし、その提出さえ不要なのです。

今回は3階建てで特殊な工法を一部使用していますが、それとは全く関係の無い箇所で、より安全側に掛け直したことは、誰が見ても明らかでした。そのことは検査員も認めてはいましたが、なんと400ページに渡る膨大な構造計算をすべて新しくやり直しさせられ、再提出して再審査となってしまいました。

通常は軽微な変更で一枚書類を出せば済むことなのですが、姉歯さんの問題で、検査機関が、万が一でも責任が来ないように一様に慎重になったためでしょう。


その他、初めての工務店でしたから私の細かい要求をお願いするのに、現場での苦労はいろいろあり、完成の最後の問題として登記とローン実行の支払いのタイミングなどでもハラハラしながら調整させて頂き、何とか予定通り完成引渡しの検査までたどり着くことができました。




「住宅最大のトラブル転じて福となす」(完結編)へ続く

神奈川県横浜市 住宅設計 注文住宅の ミタス 一級建築士事務所のホームページ 
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