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2012.08.12 NHK「世界ふれあい街歩き 上海四川北路編」スクリーンショットと今昔の思い(その4)

《 ここから、家の中へ案内されます。 》

(4-1)
<この階段は昔のままなんですよ いい感じでしょう>

この階段は、我が家にとって大切な思い出の場所です。
そして、どうしてこの方がこの階段を、こんなに大切に思ってくれているかは、後半に
明らかになります。

ところで、戸板康二著「ヘレンテレスの家」という探偵小説をご存知ですか?
私は上海から帰国後、上海在住のluwanqu さんの情報で知りすぐ本を買って読みました。

この小説は秀逸だと思います。その中に、この階段が出て来るのです。
戸板康二さんは、このマグノリヤテレスに住んでいたことがあるそうで、この小説は
そこが舞台になっております。
しかし、小説の題名は同じ敷地内にある別の棟のヘレンテレスの名を取って「ヘレンテ
レスの家」となっています。
ともあれ、この小説を抜きにしても、マグノリヤテレスとヘレンテレスについてはまだ
まだ謎があり今調査中ですので、いずれこれらについても私見を纏めたいと思っています。

ともあれ、我が家はマグノリヤテレスの方です。

なお、「ヘレンテレスの家」は「せらび書房」の「外地探偵小説集 上海扁」に収録され
ておりますが、この小説集との出会いに私は感動しております。
この編者の博識なこと!上海の歴史と時代背景を簡潔に且つ分かり易く解説されています。
巻頭の「上海案内」と、巻尾の「解説」で多くのことを教わることが出来ます。




(4-2)
<天井のライトは昔のまま>

奥に見えているのが、広い板張りのベランダです。広さは9畳ほどあります。
今は、ここはOさんの息子さんの部屋として使われています。 

 



(4-3)
<押し入れも窓も床も 全部昔のままなんですよ>

この部屋と隣の部屋は、畳敷きになっていました。
英国人が作った建物を、日本人が自分たちに住みやすい様に中をリフォームして住んでいた
のです。

 



(4-4)
<この床は質がいいって みんな言います>

ちなみに、我が家が住んでいた時は、その質の良い床の上に畳を敷き、2階の3室を和室に
(10畳2間と4畳半1間)改装して住んでいました。
他のお宅でも、幾部屋かを和室にされていたと思います。

これらの素晴しいこだわりの床材を使った床を無視して、日本人は畳を敷いたり、せっかく
の壁を日本風に塗り直したりするので、誇り高いイギリス人の差配(所有主にかわって貸家
などを管理する人)が居る借家では、差配がとても日本人を嫌がって、勝手な事をされない
様にいつも目を光らせていた様子を、芥川賞作家の林京子著「ミッシェルの口紅」(講談社
文芸文庫)で読み、驚きもしましたが、そうだったのかと英国人差配に同情もしました。
(でも、このマグノリは日本人の所有だったらしく、それは自由だったと思います。)

この「ミッシェルの口紅」も、素晴しい小説で、読み進むにつれ私の知らなかった上海の姿
を彷彿とさせてくれて、感動させられました。
これも上海在住の日本人luwanqu さんのサイトで知りました。luwanqu さんはこの本を
もう、5回以上読んだそうです。
(2012.07.29 「上海の生き字引」の方との出会い)





(4-5)
<昔ここは外でしたが 改築して部屋にしたんです>

これは違います。ここは、昔と全く同じです。板張りの大きなベランダで窓もこのままでした。
私ははっきり覚えていますし、兄もここは何も変わっていない外観もそのままだと言っています。
(裏にあるヘレンテレスのが、ここは吹き抜けのバルコニーになっているので、こちらもそうだ
とOさん達は思っているのでしょう。) 

私は更にこの窓に、鎧戸が付いていた様に思っていましたが、それはごく幼かった頃のある朝、
私が寝ぼけてしまって、このベランダに面白い思い出を持っていますが、その時このベランダが
真っ暗だったことからそう思ったものかも知れません。
多分大きな分厚いカーテンが掛けられていたのでしょう。

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