失なわれゆく風景

多摩地区周辺の失われた風景。定点撮影。愚問愚答。

野火止用水 その3

2007年04月20日 | 流末探訪
「野火止用水その3」は、新河岸川右岸(柳瀬川合流点より下流、黒目川合流点より上流)へ流入する水の水質測定結果の報告です。かなりかたい内容ですがよろしければおつきあいのほど。

測定日:2007年4月15日 天気 晴れ
測定地点:地図に大体の地点を示しました。(本町樋管の位置は不正確かもしれません)

<杉本智彦『カシミール3D図解実例集初級編』(実業の日本社,2004年)に加工>

下流側から測定していったので、測定順にならべます。
測定場所名称 測定時刻 水温(℃)電気伝導率(μS/cm)pH(-)の値です。

●新河岸川右岸への流入水
田島第二樋管 13:20 17.7(℃)325(μS/cm)7.5(-)
田島樋管   13:35 17.9(℃)300 (μS/cm)8.4(-)
武蔵野線下流:名称不明 13:45 17.8(℃)320(μS/cm)8.5(-)
武蔵野線上流:名称不明 13:55 23.2(℃)940(μS/cm)8.6(-)
余水吐樋管   14:10 16.7(℃)280(μS/cm)7.1(-)
宮戸第二樋管  14:20 14.9(℃)410(μS/cm)7.4(-)
宮戸第五樋管  14:30 17.0(℃)540(μS/cm)7.8(-)
田子山樋管   14:35 18.7(℃)290(μS/cm)7.1(-)
富士下橋下流  14:55 16.8(℃)225(μS/cm)8.3(-)

本町樋管  柵があるため立ち入って測定せず

●野火止用水
伊豆殿橋          16:35 17.1(℃)470(μS/cm)7.8(-)

●参考
新河岸川の水(田子山樋管の位置)14:45 19.3(℃)343(μS/cm)7.0(-)

○測定値に対するコメントその他
・野火止用水の電気伝導率470μS/cmに対して、この値を越えたのが2箇所あった。
・武蔵野線上流のポイントは、940μS/cmと、少々高すぎ、水温からみると溜り水(流れはあるにはあった)で、周囲に、肥料、あるいは何かの薬剤などの原因物質があったことも考えられるが断定はできず。
・宮戸第五樋管は電気伝導度540μS/cmで、詳細不明であるが、家庭雑排水、あるいは処理水が入っていることも考えられる(前者だとすれば、BOD、CODなどの値をチェックすればわかる)が、野火止用水にさらに電気伝導の高い水が合流した可能性も否定できない。
・その他の水路は、470より低いため、野火止用水の水である可能性は低いが、野火止用水が電気伝導率の低い水で希釈されている可能性は否定できない。
・本町樋管は、柵があるため、あえて立ち入らなかった、このとき上から見た流量はごくわずかであった。
・新河岸川で、この時刻に、逆流が見られたため測定を行った。
この日は「中潮」で、気象庁のページの潮位表http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/db/tide/suisan/をみると、東京湾(晴海)で9:39に干潮、15:35に満潮となっている。
・田子山樋管、野火止用水(伊豆殿橋)の値は、前回測定(4/8)と大体同じ値である。

○結論というほどでもないが・・・ 
 ということで、結局何にも分らなかったのかというとそうではなく、国道254号のところで暗渠となった野火止用水の水が、そのままストレートに(ストレートにということは、他の水と混ざらずにという意味です)、柳瀬川-黒目川間の新河岸川右岸に放流されていることはなかったということだけは言えます。
 考え得ること(測定値だけから判断すると)は、野火止用水の水が1.電気伝導率の低い水で希釈されて新河岸川に出ている(可能性があるのは7箇所)2.電気伝導率の高い水と混ざって新河岸川に出ている(この場合は宮戸第五樋管が有力)3.この区間の新河岸川には出ていない、の3パターンとなります。
 わたしとしては、根拠はないですが、3かなと考えています。

○いろいろ教えてもらいます
 2万5千分の1地形図をみると、野火止用水から続いていると思われる暗渠が、田子山樋管の辺りで新河岸川に出ています。前回ここで電気伝導率測定を行ったのはそういう理由からでした。志木市のサイトには、田子山排水機場についての記載があって、「志木市本町、朝霞市、新座市より流れてくる下水道(雨水)を大雨時にポンプにより河川へ放流する施設」と書いてあります。(http://www.city.shiki.lg.jp/html/sisetu/sisetsu_08-gesuidoushisetsu_tagoyamahaisuikijou.html)
 今回ここで測定を行っていると、散歩のおとうさんに、「野火止用水はここに来ているのかね」と質問されました。「水質的には違うんですがねー」などと答えていると、「新河岸川が逆流しているね」と教えてくれました。新河岸川で潮汐による逆流があるとは、知りませんでした(今回の野火止用水追跡測定には影響はありませんが)。


<新河岸川右岸、田子山樋管の上流の土手> 


<新河岸川・黒目川合流点。右が黒目川。写真中央やや上で新河岸川と合流>



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