失なわれゆく風景

多摩地区周辺の失われた風景。定点撮影。愚問愚答。

野火止用水 その5

2007年04月29日 | 流末探訪
野火止用水(本流)の流末探訪もやっと決着がつきました。
今回はその報告と、これまでの野火止用水関連内容の若干の補足をしてみます。

○ついにたどりついた
「清流復活」のパンフレット中の地図に、野火止用水本流は柳瀬川に、平林寺堀は新河岸川に流していると書いてあったことは、「その4」で述べました。
 ネットや文献をもうすこし探してみると、次のような記述がありました。
1.『東京都下水道局事業年報 平成18年版』p.50に「図表1-12清流復活」という地図がのっており、野火止用水本流は、90度近く曲がって、柳瀬川まで線が引かれている。
2.斉藤利夫、大谷希幸『野火止用水 歴史と清流復活の賛歌』有峰書店新社(平成2年)p.192に「・・・水音のあとを追うと新座バイパスの手前で地下に吸い込まれている。
野火止用水はこの先バイパスに沿って導水管の中を走り、約三キロメートル先の柳瀬川に流されている。」とあります。
 
 これで、ほぼ確定です。現地にいって水質測定をやるまでもないのですが、ここまできたら最後までやってダメ押ししておきましょう。
 野火止用水本流が暗渠に入る国道254号付近から柳瀬川までは手元の地図でみると直線距離で約2kmとけっこう近いです。それにしても、「用水はまっすぐ流れているはず」という思い込みの裏をかいて?直角方向に振るなんて、やられましたな。

●水質測定結果
 まずは比較の基準、野火止用水伊豆殿橋で測定してから、野火止台地をくだり、柳瀬川に出ました。

<野火止台地を柳瀬川方向に下ったところで振り返る>

 柳瀬川にかかる国道254号の橋の上流側と下流側の2点の樋管で、測定を行いました。参考として、上流側の樋管のさらに上流側にある東京都下水道局の清瀬水再生センター(旧名称「清瀬下水処理場」)の放流水も測ってみました。

・野火止用水伊豆殿橋:水温17.7、電気伝導率477、pH7.5
・国道より下流側:柳瀬川右岸第二樋管(新座北高校横) 水温18.6℃、電気伝導率1217μS/cm、pH7.7(ここも、電気伝導率がやけに高いです。)

・国道より上流側:柳瀬川右岸第一樋管 水温17.7℃、電気伝導率477μS/cm、pH7.3
 
<柳瀬川右岸第一樋管>

・清瀬水再生センター放流水 水温22.5℃、電気伝導率404μS/cm、pH6.3
 
<左:清瀬水再生センター放流水、右:同センター建物>

柳瀬川右岸第一樋管の水が、野火止用水伊豆殿橋の電気伝導率と一致しました。
 
<暗渠から出て柳瀬川にそそぐ:暗渠に入る野火止用水本流>

○補遺
● 「野火止用水その2」で取り上げた、志木街道「市場坂」の古い建物は、志木市教育委員会発行の「志木市文化財まっぷ」(平成18年4月1日発行)によると「朝日屋原薬局」で「明治45年に店舗兼住宅の主屋を建設」とある。

●「平林寺 野火止用水その4」で、平林寺境内の土地が総門から奥に行くにしたがって
高くなっていることに対して、ざっと10-20mと書いたが、『カシミール』で確認すると、総門付近の標高が約41mで、業平塚付近が約45m、境内の東北のかど部で約37mであった。

<平林寺の西側。写真だと樹木の高さと土地の高さの区別がわかりにくいですが>

●「野火止用水その3」で新河岸川の逆流について述べたが、国土地理院「1:25000地形図 志木」をみると、新河岸川右岸の田島付近で土手の上の標高が3mとなっている。
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