長崎新聞には『音読コーナー』という欄がある。
<朝の3分が脳を活性化 声に出して読んでください>という案内と共に、
毎日、おもしろいエッセーやら、子どもたちの作文やら、
読みやすくて、周りの人にも伝えたくなるような内容が掲載されている。
私は音訳ボランティアをやっている関係で、時々練習を兼ねてこの欄を読んでいるが、
昨日と今日、二日間にわたって掲載された中学生の作文がとても素敵だったので、
このブログを訪れて下さる方々にもご紹介したいと思う。
それは、「平和を繋ぐ手」というタイトルで、沖縄県石垣市の中学3年生が書いたもの。
「わぁ、国境に立ってる!」
去年の夏休みにカナダへホームステイをしました。その際に訪れたアメリカとの国境線には、ピースアーチという白い塔が建っていました。両国の国交が永遠に続くよう願い、常時開かれた門に、
「May these gates never be closed」
「この門が閉まることは永遠にない」という言葉が刻まれているのを見て、私は胸がとても熱くなりました。
カナダ滞在中は、ホストファミリーやカナダ沖縄県人会の方々との交流により、カナダの素晴らしい歴史や文化を学びました。何よりも、言語が違って言葉はうまく交わせなくても、心と心を通わせ、たくさんの笑顔と親切に出会えたことに私は本当に感動しました。
新聞やラジオからは、連日、世界の緊張した関係のニュースが流れています。北朝鮮と韓国の間には、一触即発の緊迫した空気があります。さかのぼれば同じ民族だった国が争っています。国土面積の0.6パーセントにも満たない小さな島沖縄に、日本の約75パーセントの米軍基地が置かれています。洪水警報が発令されるほどの豪雨の中、基地を囲んだ約13キロの堅く繋がれた1万7千人の手の思いは届かないのでしょうか。県民の思いもむなしく、名護の辺野古への移設が考えられています。「世界のどこでも、1時間以内で攻撃」という新聞の見出しを見て、私は心が震えました。アメリカが地球のあらゆる場所を1時間以内で攻撃する無人超音速機を開発したのです。
人種が違っても、言葉が違っても、平和を求める気持ちは一緒であるはずなのに、人はどうしてこうも争うのでしょうか。お互いを認め合い、心を通わせて話をすれば、きっと友好的な関係が築けると私は思っています。
私は台湾の血を持つ父と、日本の血を持つ母との間に生まれたハーフです。でも、私は中国語を話すことができません。授業で「南北朝鮮問題」について勉強したとき、中国語の話せる父と、舞踏や音楽でアジアを交流している母を持つという恵まれた環境を、もっと生かさなければいけないと思いました。中国語や沖縄の芸能も学びたいと思っています。
私は今、外国語にとても興味を持っています。外国語でも自分の思いを自由に表現し、世界中の人々と交流できたら、どんなに素敵なことだろうと思います。世界の人々と仲良く交流することが、争いを起こさないことに繋がると思うからです。
沖縄の人も、本土の人も、カナダの人も、アメリカの人も、繋ぐ手の色は違っても、通い合う心、平和を願う気持ちは同じです。国境の鉄門が閉まることのないように、みんなで手を繋ぐことができるような世界になるよう、私も、私の夢を重ねながら努力し、行動していきたいと思います。
私が日頃思っていることを、中学生がこんなにも理路整然と述べてくれたことにびっくり!
でも、このように上手く表現できなくても、なんとなくこのように感じている人も多いと思う。
そう信じたい。
彼女と全く同じ動機から、私もかつて海外の人たちとメール交換をやっていた。
あまりにも貧弱な英語力と時間的な問題から、1年足らずで挫折してしまったが、
でも、その中で得たものはとても大きく、私も交流の大切さを実感した。
教科書では得られない他国の地理や歴史や文化への興味、
一度も訪れたことのない遠い国の人たちが急に身近に感じられるようになり、
互いに「あなたの国とはいい関係でいたいね」と本心から伝えあうようになった。
若い人たちには、どんどん日本を飛び出して、世界を見てきてほしい。
世界中に友だちをつくってほしい。
そして、日本のことも伝えてほしい。
日本に帰ってきたら、
世界の人と握手した手で、私たちと握手してほしい。
そうしたら、私たちも「平和を繋ぐ手」になれるかも・・・