佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

シンポジウム「佐世保の水これから」

2009-11-30 | 石木ダム
このところブログ更新サボっていました。
すみません! 

いま、シンポジウムの準備に追われていて・・・

不器用な私は、ノロマで、そのうえ、
いつも一つのことしか考えられなくて、
いつも一つずつしかできなくて、
我ながら情けなく思う今日この頃です。 

とりあえず、チラシを貼付します。
お近くの方、是非聴きにきてくださいね。





佐世保の水は本当に足りないのか?
足りないとすれば、どのくらい足りないのか?
その対策はダムしかないのか?
ダムを造るには、本当のところ、どのくらいのお金が必要になるのか?
それは誰が負担するのか?
ダム以外の対策があるとしたら、それはどういうことか?

事実に目を向けてみませんか? 

庶民の味方「ライフさせぼ」の編集長が、市民の感覚を伝えてくれます。
政治家として、佐世保市選出の県議会議員、末次精一氏が、
行政の問題点をわかりやすく語ってくれます
水道問題の専門家が、佐世保市がとるべき対策を、「処方」してくれます。

隣町に住んでいる人たちの土地や生活を奪わずに、
美しい川や里山を傷つけずに、
市民の血税を無駄遣いせずに、
そして、佐世保市民も安心できる水対策があるというのです。

それは、なんだろう~?

聴いてみたいと思いませんか?
是非、足をお運びください
12月8日、夜7時から、アルカスSASEBOです! 



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TVの威力

2009-11-20 | 石木ダム
先日(16日)の夕方、TBS『ザ・ニュース』の「変化の責任」という特集コーナーで、
石木ダム問題が取り上げられました。

今年になって県内では頻繁にTVニュースで取り上げられていますが、
全国版の報道は初めてではないでしょうか。

そのTV報道の威力を、あらためて実感しました。

事前に関東の友人たちにも連絡を入れていたので、
「見たよ!地元の人の心情が伝わってきたよ」
「よかったねー、これで石木ダムも全国区!きっとダムは中止になると思う!」等々、
激励の声が届きました。

このブログにも、署名に協力したいと東京の方からのアクセスがありましたし、
大分県の方からは応援の葉書をいただきました。
いずれも初めての方たち。
きっと、「石木ダム」で検索して、「石木川まもり隊」やこのブログに辿り着かれたのでしょう。

福岡の友人からは署名をするから用紙を送ってほしいと連絡がありました。

また佐世保市内の方からはお電話をいただきました。

「今まで気にはなってたんですけど、よくわからなくて…
 県は事業認定申請をしたって新聞にでてましたが、
 もう認定されたんですか?あの方たちは、土地を取られるんですか?」

「ダムができなかったら、佐世保の水はどうなるんですか?」

「1万トンも漏水があるってきいたけど、それはどうしてですか?
 私も時々水道の蛇口をきちんと締めなくて主人に怒られるんだけど、
 そういうのが塵も積もればって感じで大きくなるんですか?」

等々、えっ?!と思うような質問も含め、熱心に尋ねてくださいました。

私でわかる範囲のことをお答えすると、
「私も署名を書いて送ります」とおっしゃってくださいました。


そして、今日、
次回の署名活動のために道路許可申請を出しに警察に行くと…担当の方が、

  寒い中たいへんですね。ニュース見ましたよ。
  新聞も。
  いいところらしいですね。

 はい!
 山と畑と棚田があって、その中に小さな川が流れているんです。
 どこにでもありそうな里山風景なんですが、
 なぜかとても優しくて清々しくて…素敵なところなんですよ。

  らしいですね。
  ピクニックをなさったとか…?
  僕も事前に知ってたら行ってみたかったなぁ。

 えー!ほんとですか?
 是非行ってみてください。

嬉しさのあまり、お名前を訊いてしまい、

  「いえ、それは勘弁して下さい。ただ、私人としては関心を持って見ています」

とだけ返されました。

それはそうですよね。軽率な質問をしてすみません。


いままでは、警察に申請に行くのに、何となく緊張して身構えていたけれど、
急にリラックスできるようになりました。

警察官であろうと市職員であろうと、公務員という仕事を離れたら、同じ一個人。
ダムに賛成の人もいれば反対の人もいて当たり前ですね。

賛成でも反対でもない人もいて当たり前。

とにかく自分にも関わりのあることとして関心を持ってほしいし、
できたら現地を訪れ、自分の目で見てほしい。
そしてそこで、あらためて考えてほしい。


         



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玄海原発で事故?

2009-11-13 | さよなら原発
佐賀県に住む知人から、玄海原発で労働者の被曝事故があったらしいとのメールが届き、びっくり!

国内初のプルサーマルが始動したのはつい先日、11月5日。
9日に発電を開始したばかりだというのに、もう事故?!
新聞でもテレビニュースでも見た記憶はないけれど…

こんなときこそ、インターネットに頼るしかない。

ありました!
毎日新聞、11月10日佐賀版の記事です。

でも、読んでみると、それは、プルサーマルには関係ないものでした。

九電側の発表は11月9日ですが、事故が起こったのは9月26日。
MOX燃料が装てんされる以前のことで、その3号機の定期検査中に男性作業員1人が、
原子炉の下にある部屋で配管の目視点検中、誤って部屋の奥に進んだため、
被ばく量が1日の計画線量1ミリシーベルトを上回る1・35ミリシーベルトとなったという。
法令で定める線量限度を下回っており、健康被害はないそうです。 (ほっ・・)

しかし、このようにちょっとした事故でも私たちが反応するのは、
このプルサーマル計画がいかに不安に満ちたものであるかということで、
見切り発車してしまった企業と国の無謀なやり方に、今さらながら憤りを覚えます。

プルサーマルがスタートした11月5日までに全国から集まった反対署名は、実に46万7836筆!
安全性への不安は県内だけの問題ではないからです。

ウラン燃料を燃やすために造られた原子炉でMOX燃料を燃やすことに対して、
九電は、制御棒の効きがわずかに劣る程度で問題はないという。

しかし私たち素人は、石油ストーブでガソリンを燃やすような危険なものではないかと心配します。
ある専門家は、5人乗りでブレーキを設計した車に6,7人乗せて走るようなものだと言いました。

それは、MOX燃料のプルトニウム含有率の高さとも関係します。
玄海原発で使うMOX燃料は平均9%のプルトニウムを含み、
商業運転としては国際的にも例がない濃さです。

九電は、「玄海の燃料は国が安全性を確認している」と胸を張りますが、
でも、どんなに理論上安全であっても、どうしてそれを鵜呑みにできるでしょう。

青森県六ケ所村の再処理工場では、高レベル放射性廃液のガラス固化でトラブルが相次いでいるし、
高速増殖炉もんじゅ(福井県)は95年のナトリウム漏れ事故から停止したままです。
いずれも、安心安全を謳って地元を説得し造った施設で、事故続き…
それが現実なのです。

さらに問題なのは、国の計画では使用済みMOX燃料の後始末の見通しが全くたっていないこと。
使い終わったMOX燃料は何年間玄海原発に貯蔵するのか、その後どこでどのように再処理されるのか、
九電側の明確な答えはありません。

例えば私たちが電池を買う時、
その新型電池の安全性に疑問があり、
また使い終わった電池はもっと危険なので、処分場に持っていくまで自分で厳重に保管せねばならず、
しかもそれはいつまで保管しておかなければならないのか現時点では全くわからないと言われたら、
誰がそんな危険な電池を買うでしょう?

その上、それは決して安い買い物ではないとなれば…。

プルサーマルによるウランの節約効果は1~2割程度にすぎず、
再処理やMOX燃料製造には多額の費用がかかります。
経済性への疑問が指摘され続ける中での計画推進です。

また、2020年の温室効果ガス排出量を90年比で25%削減する目標を掲げる民主党は、
発電時にほとんど二酸化炭素(CO2)を出さない原子力発電を温暖化対策の切り札と位置づけています。

ダム事業の凍結や、行政刷新会議の仕分け作業など、
これまでにない新しい発想と戦略で、国民にチェンジの期待をもたらしている新政権が、
なぜエネルギー政策に関しては未来志向の提案ができないのか…。

ヨーロッパ諸国が、どんどん太陽光発電で成果を上げているように、
日本も、太陽光はもちろん、地熱発電などの開発にも力を入れることはできないのだろうか?

地熱発電のCO2排出量は火力発電の20分の1。
火山列島日本には圧倒的な資源が眠っていることでしょう。
今の時点ではコストがかなり高いようですが、これから研究が進めば解決できる問題だと思うのです。

何よりも、放射性廃棄物のような危険な負の遺産を残さないのがいい。

地熱発電と言えば、6月頃だったかな?話題になった愛媛県の鷲野君。
「プルサーマルを止めるための子ども署名」を集め県議会に提出した小学生がいましたね。
彼は今年の夏休みに、地熱発電について大いに勉強し研究したそうです。
資源は輸入に頼らなくてもいいし、昼夜を問わず発電できるし、危険性も少ない。
その素晴らしさと可能性を多くの人に知ってもらいたいと、
今度はステッカーなどを作ったりして、頑張っているという記事を読みました。

いつも前向きで行動的な鷲野君。

民主党も、エネルギー政策では、鷲野君を見習って、
過去に囚われない新鮮な発想で、政策のチェンジを打ち出してほしい。

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100号議案取り下げ!

2009-11-10 | 佐世保・長崎
昨日、佐世保市水道局は市議会に対し、100号議案の撤回を申し入れました。

100号議案とは、9月市議会に提出された水道料金の改定案で、
3割近い値上げ幅に対する市民の反発が大きく、継続審査になっていた議案です。

企業経済委員会では、水道局の厳しい経営状況を立て直すためには水道局の中だけではもう無理だ、
一般会計からの繰り入れが必要では?との声が相次ぎ、副市長に要望。
副市長は「庁内で検討する時間をいただきたい」と答え、継続となったのです。

あれから40日ほどが過ぎ…昨日、その検討結果が聞かれるかと期待していたのですが、
出された回答は、100号議案の取り下げ!

新聞報道によると、いったん上程された議案の撤回は珍しく、佐世保市議会では1982年以来とのこと。
なんと27年ぶり!

川田副市長から100号議案を取り下げるとの発言の後、委員の一人W議員は尋ねました。
「なぜ、修正ではなく撤回なのですか?
 値上げ幅を見直すだけでなく、値上げそのものをしないという選択肢もあるのですか?」

それに対し水道局長の答えは明快ではなく、
値上げ理由の趣旨の再説明と、その趣旨に則って今、全庁的な検討がなされているので、
その推移を見守りたい、その上で改めて水道料金改定案を提出したい、と言うにとどまりました。

同じような質問が他の二人の委員からも出されましたが、
副市長も、
「議会の意向を十分に踏まえ、関係部局で鋭意検討している」
「全庁的に検討」「経営戦略会議にもかけて…」などの答えに終始しました。

そのとき、企業経済委員会のメンバーではないY議員から、員外発言が出されました。

この議案の撤回の背景には、石木ダム建設見通しの行き詰まりがあるのではないか?
まだ建設できるかどうかも決まっていない石木ダム関連事業費が値上げ案の中に58円含まれている。
「(ダムは)できもせんとに、なんで自分たちが負担せんばいかんとか?」
こういう市民の批判があっての撤回ではないのか?

それに対し、水道局長は、
「石木ダムの推移とは関係ない。ダム負担金2%は現行にも含まれている」と、答えました。


しかし、この答えには、素人の私にはどうも納得がいきません。

そもそも委員たちが9月議会で副市長の出席を求め、一般会計からの繰り入れの可否を問うた背景には
こんなやりとりがあったからです。

委員「石木ダムに対する負担金が、水道事業の資金不足に大きく影響しているのではないか」
水道局長「少なからずとも影響がある。今後事業が進むことにより、かなりの比重を占めることになる」

それもそのはずです。
水道局提出の資料を見れば、明らかです。

水道局の支出の中で、石木ダム関連事業費として、今年度は、約¥185,000,000計上。
しかし、24年度には、約¥2,084,000,000、25年度には、約¥4,689,000,000と増えるのです。
現行の10倍、20倍と負担が増えていくのです。

これが、水道料金値上げ案の大きな要因であることは誰の目にも明らか。
そして、その問題のダムが仮に建設されなくなれば、値上げの必要が小さくなるのも当然でしょう。


ちょうど同じ日に、県はいよいよ事業認定申請に踏み切りました。
これから、この事業の是非について国の機関である、九州地方整備局にボールが渡されました。

報道によると認定の結果が出るには、6~10ヵ月ほどかかるらしい。

鳩山総理や、前原国交相の描く日本のこれからを、
九州地方整備局はどれだけ理解し受け止めているのか、しっかり見ていきたいと思います。
                 
                              
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届かなかった声

2009-11-08 | 石木ダム
 11月6日、石木ダム建設事業認定申請のための、2回目の事前説明会が開催されました。




 通常は1回のところ、なぜ2回も説明会が開かれたのかというと…
水没予定地内に登記している共有地権者54名に説明会開催通知が出されていなかったためです。
その不備を認めた当局はあわてて、それら地権者に追加通知を送り、再度開催することにしたのです。

つまりこれはまさに共有地権者のための説明会だと言ってもいいくらいの、大きな意味を持っていたはずです。


しかし、その意味は本当に果たされたのでしょうか。


共有地権者54名の中には遠い他県に住む方々もけっこういらっしゃるようです。
たまたま私は、埼玉県に住むお二人の地権者からの手紙を預かっていました。
そのお二人は、県外の方でありながら、石木ダム問題を他人事としてはとらえず、
国からの補助金が使われる以上、国民として関わりがあると、ずっと見守ってこられました。

しかし、いくら関心があるといっても、時間と旅費をかけてまで説明会には行かれない。
せめて、地権者としての思いを、石木ダム建設事業者である知事や佐世保市長に届けたい。
また、地元住民の方々にもきいてほしいとのお気持ちで、知事あてに書かれたその手紙を私が預かって、
説明会の場で代読をする約束をしていました。






しかし、当日は活発な質問や意見が相次ぎ、いくら手を挙げても私は指名してもらえず…
司会者は推進派の会長さんには3度も指名したのに、私には最後までチャンスを与えてくれませんでした。

会終了後、私はせめてその手紙を知事に渡して頂けるよう県土木部長さんへ託そうと思い、
壇上近くに駆け寄ったのですが、壇上の方々はすぐに退席してしまい…
たまたまそこにいた県職員の方に「必ず知事に渡して下さい。地権者からの手紙です」と言って託すと、
彼は「それは約束できませんが、上司には渡します」と言って受け取ったのです。

 何のための2回目の説明会だったのだろう…
 誰のための説明会だったのだろう…

 そして、もう明日には事業認定申請をするのだろうか…
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失敗百選~諫早湾干拓事業~

2009-11-04 | 有明海・諫早干拓
一月ほど前、知人から一冊の本を頂いた。

「宝の海を取り戻せ~諫早湾干拓と有明海の未来~」(新日本出版社発行)
有明海をなんとか救いたいと、あるジャーナリストがまとめた渾身の一冊だった。


ギロチンと呼ばれた諫早湾潮受け堤防が閉め切られてから、もう12年が過ぎた。
あれほど連日TVで流された諫早干拓問題がその後どうなっていたのか、私は全く知らなかった。
知ろうともしなかった。

長崎県に越してきてやっと1年を過ぎたこの夏、ようやく知るきっかけが訪れた。
といっても、その知識はほんの少しの断片的なもので、全体像や経緯はまるでわかっていない。
そんな私のために送って下さった貴重な本なのだが、日々のあれこれに追われ、なかなか読み進めず、
やっと今日読み終えた。

そして、私にもようやくその全貌が見えてきた。

なぜ有明海は「宝の海」と呼ばれるのか。
あの広大な干潟がどれだけ優れた天然浄化処理施設であるか。
諫早湾干拓工事が始まって犠牲になったのはムツゴロウだけではない。
生物学的に貴重な特産種が絶滅の危機に瀕し、
漁民の生活を支える魚介類が減少、タイラギのように全く捕れなくなったものもある。
そしてノリの不作。

本の中で紹介されている映画『有明海に生きて 100人に聞く 海と漁の歴史と真実』の岩永監督は、
多くの漁民や研究者を取材して、その結果、「有明海は死の海になる可能性がある」と心配している。

『宝の海』が『死の海』に・・・。 

なぜ、こんなことがおきるのだろう?
なぜ、こんな愚かなことを「公共事業」としてやってきたのだろう?

科学技術振興機構(JST)がまとめた『失敗百選』に諫早湾干拓事業が選ばれているという。
早速インターネットで検索したら、確かにあった。

JSTは文部科学省の外郭団体である。
その国の外郭団体が、国営事業の諫早湾干拓を「典型的な失敗事例」として紹介しているのだ。

事例名称=国営諫早湾干拓事業による漁業被害

事例概要=1997年4月14日、多くの漁業関係者、地元住民の反対を押し切り、
     諫早湾潮受け堤防の水門が閉ざされた。
     これにより、国営諌早湾干拓事業が開始され2004年現在既に9割以上の工事が終了している。
     しかし、国営諫早湾干拓事業は、有明海異変に少なからず影響を与えたと言われ、
     ノリを始めとする漁獲高の減少をはじめ、水産業振興の大きな妨げにもなっている。
     国と長崎県には、この事業に対して適正な再評価を行い、その情報を公開するべきであり、
     事業を中止することの検討も求められている。

漁業被害の原因として、次のように箇条書きされている。
    ・海砂採取のために掘った穴が、貧酸素水塊の温床となっている。
    ・潮受け堤防の存在は、潮流を弱くし潮位を上げる原因となっている。
    ・調整池から排出される「汚水」が、有明海全域を汚染している。
    ・潮受堤防が締め切られたことにより高い浄化機能を保持していた諫早干潟が減少し、
     調整池からの排水のため、有機物やリン、窒素などの流れ出す量が増加している。
    ・穴、堤防、汚水、共に赤潮発生の要因となっている。

にも関わらず、2008年3月31日、干拓事業は終了した。

そして、現在では、
調整池の水質悪化、夏には有毒なアオコやユスリカが発生。
毎年30億円以上の経費をかけて対策を講じても、よくなる兆候はないらしい。
赤潮の発生は年々増加し、今年は養殖ハマチの大量死も発生した。

この本の著者は言う。

  「事業が終わったからといって、その巨大な爪痕が消えるわけではなく、
   被害はますます深刻になるばかりです。
   2500億円余の巨費をつぎ込んで、有明海漁業を衰退させ、
   地域社会を崩壊させる公共事業の公共性とは何なのか。
   私は、まやかしの公共事業を二度と許してはならないという気持ちを込めて
   本書を書いてきました」と。

「まやかしの公共事業」のツケは大きい。
漁民の生活を苦しめ、有明の海を苦しめ続けている。
しかし、その漁民たちは言う。
「開門すれば、有明海は必ず再生します」と。

昨年7月、原告漁民の一人、松永さんは法廷でこう述べた。

  海の回復力は本当にすごいものです。
 一時的に水揚げが悪くなっても、環境が少しでも良くなれば、シャコなどの小さな生き物が爆発的に
 発生し、海は一気に回復します。
  平成14年の短期開門調査の時も、その急激な海の回復が起こりました。
 開門調査の次の年、水揚げが格段に増えました。短期開門だけでも、海は回復したのです。
 私たち漁民は、そのことを肌で強く感じています。
  国は、漁業被害対策を行ってきました。しかし、何の効果もありません。どんな小細工も通じません。
 国の対策はすべて失敗だったじゃないですか。
  開門しかないのです。開門すれば何もしなくても海は急激に回復します。


この漁民の声が、新政府に届くことを祈っている。
新農水大臣は、開門を迫る佐賀県と拒む長崎県の陳情を受け、「地元の皆さんで話し合ってください」
などと逃げ腰になっているが、それはおかしいと思う。

国の事業の後始末は、国が責任を持ってやってほしい。
『失敗百選』に選ばれるほどの不名誉な事業をやってしまったのだから。

公正に科学的に有明海の現実を直視し、最良の道を選択する決断を一日も早く…と願っている。

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署名コピー問題~県の回答

2009-11-02 | 石木ダム
以前お伝えした署名コピー問題。
事業認定申請しないでほしいという市民の声を集めて県に提出した署名用紙を、
県は無断でコピーし、佐世保市や川棚町へ渡していたという問題。
その結果として、署名していた川棚町の職員が川棚町長から直々に注意を受けるという事態に…。

この問題を重く見た私たち3団体(川棚清流の会、水問題を考える市民の会、石木川まもり隊)は、
さる10月16日、県に抗議し、
1.事実関係を明らかにすることと、
2.署名の取り扱いについてどのような認識をもっているのか、
3.個人保護条例第10条の「情報の適正管理」について、県はどのような措置をこうじているのか、
文書での回答を求めました。

その回答が、やっと届きました。
待たされたわりには(約束の22日をはるかに過ぎた30日にようやく届きました)、
あまりにも簡単で内容に乏しいものでした。

特に、2番の署名の取り扱いについて、このように書かれてありました。

   今回のことは、石木ダム建設事業を共同で実施している佐世保市、川棚町と
  情報を共有するために行ったもので、『目的外の使用・提供』には当たらない
  と考えますが、情報管理、情報共有の方法に、慎重さを欠いていたと言わざる
  を得ず、結果として、県民の皆さまに、誤解を招くこととなったことについて、
  大変申し訳ないと考えています。
   今後このようなことが起こらないよう適正に対応してまいります。

これは、申し入れ時に何度も聞いた見解でした。
私たちは、その見解が納得いかないから、
なぜ署名のコピーが『目的外使用・提供』に当たらないのか、
その根拠を説明してほしいと頼んでいたのです。

つまり、石木ダムに関わる共同事業者として情報を共有することは結構です。
その必要は認めます。
でも、それがなぜ署名をコピーすることになるのか、
その必要性がどうしてもわからないのです。 

ダム建設に関して協力しあっている3者、A・B・Cがいる。
Aのところに反対署名が持ち込まれた。
その事実をBとCに伝える。
「こういうことで反対しているよ」「署名の数は○○筆あったよ」と。

ここまでは確かに共有すべきでしょう。
共有してほしいと思います。

でも、「どこそこの誰それが署名しているよ」という個人情報を共有する必要がありますか?
あるとすれば、それはなぜですか?

そこを私たちはしつこく訊いていたのです。
が、それにはついに答えてくれませんでした。
答えられないというのが本当のところでしょう。

なぜなら、住所と名前が書かれた個人情報を持っておく意味は、
川棚町長さんがなされたように、署名者へ圧力をかけるか、
説得工作に使うかの意味しかないと思われるからです。

それはもちろん、『目的外使用・提供』であり、それを認めるわけにはいかない。
それはあくまでも『誤解』だと言い張らねばならないからでしょう。

どなたかが苦し紛れにおっしゃってました。
署名の重みを共有するために、実際の署名の厚みが必要だったと。

私たちは思わず笑ってしまいました。
その厚みを知りたかったら、いつでも県庁を訪れた際に見せてもらえばいいではありませんか。
彼ら共同事業者はしょっちゅう県庁で会議を開いているのですから。
また、本当に○○筆あるのか?重複記入者がいるのでは?などと疑っているのなら、
県の担当職員にチェックしてもらえばいいではありませんか。
どうしても自分で確認したかったら、やはり県庁で閲覧して得心の行くまでチェックして、
元の所へ戻せばいいではありませんか。
コピーの必要性は、全くないはずです。

どう言いわけしても、長崎県という地方行政の中には、
<お上の方針にたてつく奴は許さない、県民はおとなしく従っていればよいのだ>
というような古い体質が見え隠れします。

これを機会に、長崎県の個人情報に関する意識とモラルの低さを素直に反省し、
早急に改めてほしいものです。

それには、まず私たち県民自身の意識もアップしなければね~ 
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