佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

干潟の海

2010-07-27 | 有明海・諫早干拓

今日は合唱練習で諫早まで出かけた。

10月に長崎で開催される「日本のうたごえ祭典」で歌う組曲『干潟の海の詩』の練習に参加するために。

月に2回の練習だが、諫早までとなると、なかなか毎回は行けない。

諫早駅で島原鉄道に乗り換えなければいけないし、その待ち時間もあり、

片道2時間~2時間半もかかるから。

 

それでも、2回のうちの1回だけでも参加したいと思う。

歌うたびにこの組曲が好きになる。

 

雄大で勇壮で、

穏やかで優しくて、

命が躍動していた干潟の海が見えてくるよう…

 

しかし、水門を閉め切られて、干潟の海は死の海に向かいつつある。

怒りと悲しみと焦りが、歌うたびに胸に迫る。

 

練習不足で、音取りも満足にできてないんだけど、

それでも何故かこの曲に惹かれる。

詩と一体になったこの旋律が優しく、激しく沁みてくる。

 

指揮者の中古賀先生の話によると、

諫早湾を船で行くと、とても広く広く感じるそうだ。

だけど、有明海全体からすると、その面積はたった7%。

「だから閉め切っても大した影響はありませんよ」と、以前、農水省の役人に言われたそうな。

先生たちは、怒り心頭で、エリート官僚に抗議した。

  「たった7%でも影響は大有りです!

  諫早湾の干潟は、有明海の子宮です

  人間の体の中で、子宮もちっぽけなものですが、

  小さいからと言って、子宮がなくてもいいのですか?

  それで人間は生きていけますか?」

 

そうなんだ! 

諫早湾は、有明海の子宮なんだ! 

子宮がないと、命は宿れない。 

子宮がないと、命は育たない。 

 

早く、有明海の子宮を元気にしたい。 

元気な命が再び満ちる干潟を取り戻したい。 

 

 

        『海に抗う者よ』

 

     海に抗う者は

     自らの命の始まりと尊厳を侵す

     干潟の海に コンクリートの杭を 打ちこますな!

     サンゴの海を コンクリートで 覆うな!

     海に抗う者は

     自らの愚かさを知れ!

 

 

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熱中症と座り込み

2010-07-23 | 石木ダム

梅雨明け以来、全国的に猛暑が続いていますね。

皆さん、お元気ですか?

くれぐれも体調には気をつけてくださいね。

 

昨日一日で9人もの人が熱中症で亡くなったそうです。

一昨日はたしか6人と報道されてましたね。

そして、その多くは、お年寄りです。

ニュースを聞くたびに、ずっと気になっていました。

「こうばる」のおばあちゃんたちのことが・・。

 

私自身は、まだ座り込み参加を再開できないでいます。

先週の土曜日、ほんの1時間ほど参加してみたのですが、

仲間たちの厳しく親身な忠告を受け、今週いっぱい自粛することにしたのです。

ドクターや赤十字の方も、

検査の結果異常はみられないなくても完治するまでは行動に留意するように言われ、

家族も心配していたので、受け入れざるを得ませんでした。

 

でも、炎天下の路上で、テントがあるとは言え、おばあちゃんたちが座っている光景を思い出すと、

休んでいるのが申し訳なくて・・・なんとなく落ち着かない毎日でした。

 

ところが、昨日、「朗報よ!」と仲間からの電話。

なんと、今日から一時的に工事がお休みになったというのです。

ある方(差し障りがあるといけないので、X氏としておきましょう。りっぱな企業経営者です)が、

中村知事に忠告をして下さったのだそうです。

 

この炎天下に座り込みを続けるお年寄りに万一のことがあったら、

熱中症で亡くなったりしたら、

知事、あなたも、「全く責任がない」では済まされませんよ

と。

 

その言葉を受け入れて、中村知事は、

この猛暑の期間は工事を一時中断する

という英断を下したのです。

 

中村知事、ありがとうございます。

忠告して下さったX氏、ありがとうございます。

本当にホッとしました。

例え一時的なことにせよ、このような人としての心が通い合うことで、

対立している者同士にも話し合いの糸口が生まれます。

相手を理解する切っ掛けが生まれます。

 

こうばるのおばあちゃんたち、

その子どもであり嫁である団塊世代の頑張り屋さんたち、

彼らを支援する川棚と佐世保の仲間たち、

皆さん、本当にお疲れ様でした。

やっと夏休みがやってきましたね。

今日からしばらく(?どのくらいかなぁ)は、どうぞ体を休めて、

溜まった疲労の回復に努めてくださいね。

 

このまま永遠に工事が再開されなければいいのですが…

それは今のところ夢に近い状況なので、

座り込みの再開に備えて、

よく食べ、よく眠り、よく飲み、英気を養っておきましょう

 

ところで、熱中症による死者数ですが、

最近の10年間では年平均で400人近いとのこと、

30年前に比べ6倍になっているそうです。

http://www.asahi.com/national/update/0722/TKY201007220356.html

35度以上の猛暑日が増加していることと、

冷暖房機器への依存により気温の変化に対応する機能の衰えも原因しているとか…。

 

対策としては、

▽炎天下や高温多湿の室内で、長時間の作業やスポーツは避ける

▽小まめに水分をとる

ことくらいですが、

水分といっても水や麦茶などより、スポーツドリンクや食塩水がいいそうですよ。

汗として塩分も排出されるから…ですね。

 

それから、アルコールは逆に脱水症状を引き起こす可能性があってお薦めじゃないって、

ご存知でしたか?

ノンベエさんたち、「水分補給に今夜もビール!」は言いわけにならないようですよ。

 

もし熱中症にかかった場合は、

すぐに風通しの良い日陰など涼しい場所で休み、

首の横脇の下足の付け根などを冷やすことが大事だそうです。

これは覚えておきたいですね。

 

では、皆さん、お互いに、無理をせずに、この酷暑を乗り切りましょう! 

 

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有識者会議の中間提言に批判の嵐

2010-07-16 | 石木ダム

13日、国土交通省の有識者会議がまとめた提言、ダム事業検証の判断基準案について、

批判の嵐が巻き起こっています。

 

それって何?と、あまり関心のなかった方も、是非耳を傾け、いえ目を通してみてください。

そして、思い出してください。

昨年夏、熱い選挙戦の末生まれた新政権は、

「コンクリートから人へ」という心地よい響きのメッセージを発しましたね。

ダムや道路、空港など建造物の大型公共事業に税金を費やすのではなく、

これからは福祉や教育に予算を回し、人に優しい政治をしたいとの決意表明。

私たちはもろ手を挙げて賛同しました。

 

国土交通大臣の前原さんは、即ダム建設の見直しを訴え、

八ッ場ダムや川辺川ダムの凍結を明言しました。

しかし、その後の推進派による巻き返しは凄まじく・・・

メディアも含め前原バッシングが続き、彼の発言もだんだんトーンダウン。

それでも、有識者会議なるものを立ち上げ84のダムを見直し対象としました。

そして、どのような基準で見直すのか、その検証作業の判断基準となるものを同会議で論議、

その中間提言が予定通り今月出されたというわけです。

 

私たちは期待と不安を抱きながら、その発表を待っていたのですが・・

中身は全くお粗末と言わざるを得ないものでした。

 

その内容とは・・

1.事業の点検

 国が事業主である直轄ダムや道府県が事業主である補助ダムなどについて、総事業費や工期、過去の洪水実績など事業計画の前提となっているデータを詳細に点検する
 
(点検をするのは当然ですが、事業主体者がするの?)

2.治水対策案の立案

 ダム以外の方法による治水対策案を2~5通り作成し、その際は、以下のような方策を参考にし、それらを組み合わせて検討する。

 (1)ダムの有効活用(2)遊水地(3)放水路(4)河道の掘削(5)引堤(6)堤防のかさ上げ(7)河道内の樹木の伐採(8)決壊しない堤防(9)決壊しづらい堤防(10)高規格堤防(11)排水機場(12)雨水貯留施設(13)雨水浸透施設(14)遊水機能を有する土地の保全(15)部分的に低い堤防の存置(16)霞堤の存置(17)輪中堤(18)二線堤(19)樹林帯(20)宅地のかさ上げ、ピロティ建築(21)土地利用規制(22)水田の保全(23)森林の保全(24)洪水の予測、情報の提供(25)水害保険。

3.対策案の評価

 各案を(1)安全度(被害軽減効果)(2)コスト(3)実現性(4)持続性(5)柔軟性(6)地域社会への影響(7)環境への影響(8)流水の正常な機能の維持への影響―の8項目で評価し、多目的ダムは利水の観点からも検討する。
 検証に際しては、コスト(完成に要する費用だけでなく、維持管理費やダム中止に伴う費用も考慮)を最も重視する。
 (なぜ環境よりもコストなのでしょう。環境破壊こそ最も高コストの結果になるはず…)

4.透明性の確保

 検証の際には、関係自治体で構成する「検討の場」を設置し、公開で審議し、学識経験者や関係住民などの意見を聞く。
(検証する大役を担うのが関係自治体の人たち?!住民や学識経験者はそこで意見を述べるだけ!?)

5.報告と国交相判断

 事業主体者は検証の結果、事業を継続するか中止するかの対応方針と理由を国交相に報告し、国交相は、検証が手順に沿って行われたかどうか有識者会議の意見を聞いた上で、各事業の対応方針を決定する。検証が手順に沿っていない場合、国交相は事業主体に再検証を指示または要請する。
 
(手続きだけが問題なのか…)

 

皆さん、どう思われますか?

そのダム事業が適正かどうか、事業主体者自身(そのダムを計画し完成したいと願う立場の者、補助ダムならば県とか府とか)が検証して判断するなんて、どう考えてもおかしいですよね?

 

例えば・・・テニスやバレーボールなどの国際試合で審判を務めているのは、

必ず他国の審判員ですよね。

どっちかの国の人が審判するなんて考えられませんよね。

 

こんなアンフェアなやり方で適正な検証ができると有識者の皆さんは本気で考えたのでしょうか?

以前この有識者会議でヒアリングを求められた嶋津氏(「水源連」共同代表)は、

「会議のメンバーは河川行政を変えたいという意識を持っていた」しかし
「実務能力がなく河川官僚がつくったシナリオに踊らされてしまったのだろう」
「こんな手続きで進めるなら、ほとんどのダムにお墨付きが出るだろう」
と危惧しています。

 

また、このような結論に導いたのは、「有識者会議が非公開だったから」と言うのは、

国交省河川局で長らくダム建設にあたった宮本博司氏。

彼は退職後、淀川水系流域委員会に参加していますが、

2005年、この委員会は大戸川ダムの建設中止という画期的な提言をしました。

それが可能になったのは、「住民参加」と「公開」という大原則があったからだそうです。

「治水を考えるのは、国の姿や住民の命をどう考えるかということ。

それが密室で話し合われたことが残念だ」と、宮本氏は嘆きます。

 

今回の提言でも「公開」と「住民に意見を聞く」とは言っていますが、

その意味は、住民市民が検証作業自体に参加するわけではなく、ただ「聞き置く」だけ

言わせてあげるけど、その意見を取り入れるかどうかはこっちの判断ですからね~

と事業主体者の天下。

 

また、ダムに代わる25の方法も目新しいものは何もなく、従来通り。

「今さら8か月もかけて議論して出すほどの内容ではない」と、

藤原信氏(宇都宮大名誉教授)の感想も手厳しい。

「森林整備のほうがより安く治水効果もある。

老朽化したダムは将来、撤去しなければならない。

費用は莫大で産業廃棄物を処分する場所の確保も必要となる」

 

さらに、コストを最重要視するという点も気がかりです。

事業者の言い分はいつも「すでに○○の金を投じてきた。これを白紙に戻せばそれがすべてムダになるだけでなく、原状回復への新たなお金や住民への補償など莫大なコストが生じる」でした。

この言い分にお墨付けを与え、ダム推進の免罪符を与えるようなものだと専門家たちは言います。

 

石木ダムの場合、事業主体である長崎県の中村知事は、次のようにコメントしました。

「これまでいろんな代替案なども検討した上で石木ダム建設いう方向性に結びついた。全く新たな手続きで検証作業が出てくることではないと思う」

河川課の西田課長は、こう述べました。

「委員会でこれまで治水の代替施設を検討してきた。必要性は変わらない。検証しても見直すことにならないのではないか」

また、佐世保市水道局の田中事業部長のコメントもほぼ同じでした。

「これまで代替案を検討した上で石木ダム以外にないということで事業認定を申請してきた。ダムが必要という方向性は変わらない」

 

そして、昨日ばったりあった佐世保市議さんは、いきなり、

「新聞読みました?あれはないよね~。半年以上もかけてあんな内容じゃあね」と。

彼はダム推進派です。といっても、真剣に佐世保の水問題を考えている議員さん。

今のこう着状態を打開できるような新しい指針が示されるのでは…と少し期待なさっていたようで、

「これじゃあ今までやってきたこととなんら変わりないし、反対派でなくてもあきれますよ」と。

 

 

これらのコメントを、有識者の皆さんは、どのように受け止めるのでしょう?

それでもまだ、適正な検証ができると断言なさるでしょうか?

前原大臣は有識者会議のこの提言をすんなり受け入れるのでしょうか?

 

今ならまだ間に合います。

今日16日、前原大臣は、この見直し案について一ヶ月間意見を公募すると言いました。

集まった意見を基に、9月をめどに基準をまとめ、それぞれのダムの見直し作業に入るそうです。

http://www6.river.go.jp/riverhp_viewer/entry/resource/y2010e548b916bc9c018cb393976475cb9c8ef06f25728/%E6%84%8F%E8%A6%8B%E5%8B%9F%E9%9B%86%E8%A6%81%E9%A0%98.pdf

提出先は以下の通りです。


  国土交通省河川局河川計画課
  今後の治水対策のあり方に関する有識者会議事務局宛

    ①郵送の場合:〒100-8918 東京都千代田区霞が関2-1-3

    ②FAXの場合:03-5253-1602

    ③電子メールの場合:chisuinoarikata@mlit.go.jp
    (件名に、「中間とりまとめ(案)に関する意見」と明記する)

 

前原大臣が初心に沿った決断をされることを願って、私たちの声を届けませんか?

あなたの素朴な思いを送ってみませんか?

もしも、あなたも、この提言に納得がいかないならば・・

 

 

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成分献血の副作用

2010-07-12 | 佐世保・長崎

10日以上・・正確には12日ぶりのブログアップです。

何の予告もなく、長期間のお休みごめんなさい。 もっと早く、6日には帰るつもりでした。

帰れなくなった理由も、家族などごく一部の人以外は伝えていませんでした。

その必要はないと思ったし、余計な心配をかけたくないと思ったから。

 

でも、今日ネット上で出会ったある研究論文を見て、私の体験も公表すべきかも…

という気がしてきたので、これからありのままにお伝えします。

 

その日、7月4日夕方、私は生まれて初めて献血をしました。

学生時代に採血寸前のところで、「あら?あと半月足りませんね」と誕生日を見て言われ、

牛乳だけ飲んで帰った記憶があり、

社会人のころは、比重が足りないとか言われて断られ、

その後なぜか機会がないままこの歳になってしまいました。

最近、佐世保のアーケード街を歩いていると献血センターの看板に時々出会います。

そして、そこには「AB型の血液が足りません」と書かれていました。

これは行かねば…と受付まで行ったら、けっこうたくさんの人がいて、

時間がかかりますよと言われました。

主婦としてはそろそろ夕食の準備に取り掛かる時間だったので、諦めて帰りました。

 

そんなこんなの思い出が頭をかすめ、新宿で献血の呼びかけを耳にした時は、

気持ちがすぐに動いてしまい、迷わず献血ルームへ向かいました。

 

エレベーターを降りると、広いスペースにたくさんの人!(ほとんど若者)

受付を済ませ、問診票に書きこみ、ドクターの問診、血液検査。

その結果、やや血液が薄いとのことで、全血ではなく成分献血を勧められました。

成分献血・・・採血後成分分離機にかけて血液を分離し、その一部分(血小板とか血漿とか)だけを抜き取り、残りは再び体内に戻すというもの

「ただし、少し時間がかかるのですが…」とのこと。

訊けば、1時間~1時間半と言われ、そのくらいなら大丈夫。

今日は全然急いでないし、こんな時こそやっておかなくちゃ・・。

ベッドが空き次第、採血に入りました。

 

思ったより早く終わり、終了後は休憩コーナーでジュースを飲んだりお菓子をつまんだり。

(献血後は、十分に水分と休息を取るよう言われました)

でも、なんとなく落ち着かず、ふと思いついて、以前よく行ってた喫茶店へ。

そこで1時間ほど時間を潰してから新宿駅へ。

 

山手線で池袋に向かったのは覚えています。

前の座席の女性が席を立って譲ってくださったのも覚えています。

でも、その後の記憶が全くないのです。

気が付いたら病院のベッドの上。

娘と息子がいました。

彼らが聞いた話によると、私は池袋駅のホームで倒れたらしく、

駅職員の通報で救急隊が駆け付け、病院に搬送されたようです。

倒れた時に頭を打って、一時的な意識障害と嘔吐に見舞われたらしい。

9時少し前、娘が駆け付けた時は、まだ意識が朦朧としていて、

ここがどこか、今日は何日かもわからないという状況だったとのこと。

 

後で娘から聞いて可笑しかったのは・・

「今は何月?」との問いに

「さあ…4月?5月かな?」と答える私に娘は次のような質問をしたそうです。

「もうすぐ参院選挙だよね。投票日は何日?」

「…11日?」

「そうだよね。何月の11日なの?」

「7月。ああ…7月か

かくしてやっと今月が7月だと思い出したそうです。

 

こどもたちは朝まで居てくれて、まず早朝に息子が帰り、

10時頃娘が帰る頃には、一仕事終えた息子が再び来てくれて、

午後息子が帰ってすぐ娘が来る・・・というように連携してやってくれていたのですが、

そのようなことも私はよく覚えていませんでした。

 

覚えていたのは、約束について。

5日の朝の友人と、昼の姉と、この2つの約束を破ることは気がかりだったようで、

4日のうちに娘に頼んで、二人に電話をかけてもらっていたそうです。

そして、5日の午後、自分からお詫びの電話を入れているのですが、

いつ電話したのかまるきり覚えていないのです。

携帯の履歴をみて、「ああ、そうか・・」と納得するだけ。

ほんの2,3時間前に電話で話したことも覚えていない。

いえ、話した事実と内容は覚えているのだけれど、いつ話したかという時間的な記憶がない。

きっと、脳の打ちどころの問題なのでしょう。

もちろん、今はそんなことありませんよ。大丈夫!

 

さて、CTなどの検査も異常無しとのことで、6日午後退院することができました。

その際ドクターからは、「長距離移動はあと数日控えた方がいいでしょう。

まだ1週間ほどはふらつきも残っているでしょうが、自然とよくなりますので心配はいりませんよ」

と言われました。

 

まさしくその言葉通り、ふらつきは目に見えて改善。

10日に自宅に戻りましたが、今は全く日常生活に支障はなく、

起床時と就寝時に軽い目まいのような症状が出るだけ、

そして頭部打撲の腫れと痛みが多少残っている程度です。

 

そこで、頂いた資料(診療明細書など)に目を通して不要なものは処分しようと考えました。

そのとき、病名欄を初めて見ると、

中等症頭部外傷、びまん性脳損傷、献血後迷走神経反射疑い」と書かれてました。

「びまん性」と「迷走神経反射」という言葉の意味がわからず、ネットで検索しました。

前者についてはすぐに解決、後者について調べるうちに、

献血との因果関係に大きな問題があることがわかってきました。

そして辿り着いたのが、埼玉県赤十字血液センターの6人のチームによる研究論文でした。

http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/1c4792a4dc03e7994925757b0007f7d7/$FILE/20090316_1shiryou4-3_8.pdf

「成分献血における血管迷走神経反応―性別、年齢、体重、および献血回数の影響」

というタイトルが付けられていました。

 

それによると、献血における副作用は通常約1%ほどであり、

その副作用として最も顕著なのが、血管迷走神経反応(VVR)と呼ばれるもので、

全体の0.76%(副作用発生者のうちの72%)ほど。

献血が引き金となって、自律神経のバランスがくずれ、血圧低下、脳血流低下で、

気分が悪くなったり、時には意識がなくなって倒れたりするそうです。

 

が、そのVVR発症率が、いろんな条件によって大きく異なっていることを彼らは発見、

その結果をまとめ、警鐘を鳴らしています。

 

献血するのが初めてかそうでないかで比較すると、

再来者の場合0.8%の発症なのに対し、初回者は2.0%にも上るのです。

 

また、全血献血の場合は0.6%なのに、成分献血では1.1%となっています。

しかも、成分献血で初回者となると、男性4,7%、女性はなんと7.4%という高確率です!

 

つまり、まさに私のようなケース、初めてで、女性で、成分献血をすると、

100人中7人が血管迷走神経反応をおこすという可能性が考えられるわけです。

 

これは、とても重大なことではないでしょうか。

 

さらにレポートを読み進むと、年齢との関係もでてきました。

このケースは事例が少なくて断定はできないのでしょうが、

60歳以上の女性で、初回で、成分献血を行った9人中4人がVVRを発症したとのこと。

実に44%の確率です。ほぼ2人に1人です。

では50代はどうなのか?3割くらいいくのかもしれない・・などと予想したりもします。

 

この結果を、献血事業関係者の方々は十分に留意し検討して頂きたいです。

埼玉県赤十字血液センターの研究者の皆さんは、成分献血についてさらに研究を進め、

より安全な献血を目指して頂きたいです。

 

そして、このブログを読んで下さった方で、これから献血にトライしようとお考えの貴女、

成分献血には十分注意してくださいね。

ご自身の年齢や体重、血圧、体調等々としっかり相談なさってから…がいいと思いますよ。

 

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