佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

ふるさと共創シンポジウム in 佐世保

2017-01-10 | 佐世保・長崎

9日の「成人の日」(佐世保市主催の成人式は8日でしたが)、アルカスSASEBOでこんなシンポジウムが開催されました。

なんと、司会は、あの田原総一朗さんです!

そしてパネリストはこちらの4名の方々。

左端の方は、佐世保市民ならご存知のはず市議会の新星、橋之口裕太議員。鹿児島県いちき串木野市生まれ。長崎国際大学大学院を卒業後、九州文化学園高等学校教員を経て、2015年佐世保市議会議員に第2位当選!

その隣は、あの里山資本主義の提唱者の藻谷浩介さん山口県徳山市生まれ。東京大学法学部を卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)に入行。日本総合研究所調査部主席研究員。著書に『里山資本主義』、『デフレの正体』、『和の国富論』など。

その隣の方は…知る人ぞ知る佐世保出身のスーパーウーマン。ルイ・ヴィトン・ジャパンにて常にトップの売上げを記録。独立後はインポートブランドや旅行業も手掛け、また、銀座と丸の内で「蜂の家」を経営するなど幅広く活躍中。

そして、最後は「パタゴニア」日本支社長、辻井隆行さん。東京生まれ、早稲田大学大学院社会科学研究科修了後、1999年パートタイムスタッフとしてパタゴニアに入社。2000年に正社員となり、2009年より現職。 シーカヤックと雪山滑降を楽しむなど自然と親しむ生活を続ける。 2016年日経ビジネス「次代を創る100人」に選出。

 

こーんなすごい方々が佐世保の未来について真剣に考え議論して頂くなんて、不思議だけれど嬉しい…。

 

さて、始まってすぐ、田原さんは言いました。
なぜ地方は疲弊していくのか?なぜ若者は都会に出ていくのか?

藻谷さんによると、佐世保は出生率は高い方だが、高校を卒業すると福岡や東京の大学をめざし、そのままそこで就職、結婚し佐世保にはなかなか戻ってこない。それが人口減少の大きな要因。

櫻澤:実は私もそうなんです。東京の大学を出てそのまま東京に就職しましたし、また東京で結婚しましたのでそのまま東京に住んでいます。でも、私の場合ふるさと愛が強くて、佐世保の「蜂の家」をのれん分けしてもらって東京で経営し、世界にも届けています。いずれは佐世保に帰りたいと思っています。

同じくパネリストの1人、橋之口裕太さんは逆のパターン。鹿児島県から大学入学で佐世保にやってきて、佐世保で就職、結婚し、現在も住み続けている。

なぜ、教師を辞めて政治家になったのか?との田原さんの質問に、

橋之口:担任していたクラス生徒42名のうちの16名が1人親家庭でした。

授業料が払えない家庭も多かった。目標はあるが15~6歳で自分の限界を決めてしまっている子どもたちの現状を見て、教員としての限界を感じました。やはり世の中の仕組みを変えなければいけない。そういう思いから政治の世界へ入ろうと。

 

どうやったら地方を元気にできるのか?と問われた藻谷さんは1つの事例として、波佐見町をあげました。

佐世保の近くに波佐見という町がある。
全国どこでも焼き物の町は寂れる一方だが、ここは違う。その要因は、大規模経営を辞めて小規模経営を目指し、ブランドアップを図ったこと。各事業者が対立するのではなく、手を組んで波佐見全体のイメージを良くしていこうとしたこと。

また、農業も盛んで、飲食店は土地の野菜や肉を使って料理を提供する。何でも地元のものを使おうとする意識が高いので、地元にお金が落ちて繋がっていく。佐世保くらいの規模になると、そこまで地元産に拘らない。他県のものを使って作る。売上があっても最終的に残るお金が少ない。佐世保の資本主義は東京に近い…。

田原:京都と大阪とは全然違うね。
大阪の企業は東京に進出して大きくなろうとするが、京都の企業は東京には行かない。京都に残り、企業同士が仲が良い。それはどういうことかと言うと、相手の邪魔をしない、真似をしない、オリジナリティーを大事にする。下請け企業を下請けとは言わず、協力企業と呼んでいて対等に扱う。格差をつけない。

藻谷:まさにそうなんです。大阪の企業はパナソニックがそうであるように、他所に出た方が本物であるという意識がある。京都は東京になんか行けるかと。京セラとかオムロンとか佐川急便もそうですが、そこにいて世界中に展開すればいいという、自分のいる場所を中心として考える文化がある。
佐世保もそういうふうに考えるとアジアの中心になれる可能性はあるんだけれど、なかなかそういう風に考える人は少なくて、大阪に近い感じがします。

 

佐世保はあなたにとってどういう町ですか?問われた橋之口さん。

住みやすい町です。都会過ぎず田舎すぎず。便利さもあり自然も豊かですし。地域の繋がりが濃いところもあれば、私のようにアパート住まいだと、正直、隣の人が誰かもわからない。二面性のある町だと思います。

 

田原:佐世保で1つ問題だと思うのは、佐世保は米軍の軍港ですよね?。海上自衛隊、陸上自衛隊の基地もある。米軍は何人くらいいるんですか?

橋之口:軍人が3000人で、家族も含めると5000人ほど。自衛隊員は海上自衛隊が3000人で陸上自衛隊が1700人くらい。来年からは水陸両用部隊のための基地建設も始まります。

田原:佐世保は自衛隊と米軍に委ねている?甘えている?ということはないか?そのことによって、佐世保自体がどう発展しようかと考え悩む真剣さにかけているのではないか?

橋之口:佐世保という町の成り立ち(人口4000人ほどの寒村が海軍鎮守府が置かれて栄えるようになった)からして、軍と市民や経済界との関係はたいへん良好です。

櫻澤:私の妹も米軍で働いていますが、公務員のように安定していて職を失う心配もないのでいい職場だと思っているようです。

 

そういう意味では佐世保には企業城下町のような雰囲気がある。
その心は?親方日の丸的な甘えがあり、気位が低いということらしい、と藻谷さん。

田原:高速道路ができてから、長崎に来る観光客の多くが福岡に泊まるらしい。昼間長崎で遊んで、夜は福岡へって。ゴミだけ落として、金を落とさなくなったって、長崎の人が言ってたけど、ホント?

橋之口:確かに。いま佐世保で問題になっているのは宿が足りないってことです。リーマンショックの後たちいかなくなって閉じてしまった宿がいくつもあり、ハウステンボスの復活で観光客が戻ってきているが、その客の止まる宿が足りない、取りこぼしてしまっている。

辻井:新たなホテルを建てるよりも、官民が力を合わせて民泊の施設を増やした方がお客さんは喜ぶのでは?

友人が岩手県の小さな町の古い小学校を改築して新たな宿を造ったんですが、そこに中国からの富裕層がたくさん泊まりに来ている。爆買いに飽きた家族連れが何もない田舎町で、ホヤを取る手伝いをしたりして、それを食べて喜んで帰って行く。来年の6月まで予約でいっぱいだという。佐世保や川棚にもそういう観光の可能性がいっぱいあると思う。

櫻澤:旅行業界ではホテルの少ない優れた観光地には、大型船ではなく中型船で行きます。富裕層の乗る中型船にはホテルもレストランももちろん完備されているので寄港地に宿が無くても大丈夫。1週間かけて長崎、五島、佐世保などを船でゆっくり巡りながら、それぞれの地の面白さを満喫するとか・・・
そのためには通訳やガイドの教育に力を入れること、それがリピーターを増やすことに繋がります。

等々、旅行業のプロ、国際企業の経営者、里山の魅力を知り尽くしたエコノミスト三者からの貴重なアドバイスが続出しました。

 

そして、話は佐世保だけではなく隣の川棚町にも及んでいきました。

長崎県内では都会である佐世保市と焼物の町波佐見町に囲まれて、これといった産業もない川棚町だが、まさに里山の魅力が詰まっていて、東京生まれ東京育ちの辻井さんは本当の豊かな暮らしを感じると言う。

でも、そこにはダム建設計画があり、それは佐世保市民にとっても無関係ではない・・・ということで、話題は石木ダムに移っていきました。 

この続きは、ぜひこちらをご覧になってください。

 

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