佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

神話 ― トリニティーあるいは三位一体 ―

2010-11-02 | 雑感
昨日の長崎新聞「マンスリーポエム」、11月の詩に登場したのは、森ぶんめいさん。
大村市在住の方で、高校教師をなさっているようです。

今回掲載されたのは、「神話 ― トリニティーあるいは三位一体 ― 」
タイトルはかなり意味不明ですが、読んでみるとわかります。

森さんが告発なさっている現代の神話の世界へどうぞ・・・



     始まりはたった三つだった

  ニューメキシコ州アラモゴード
  トリニティー・サイト
  その三位一体と呼ばれる砂漠で
  最初の「ヒバクシャ」となったのは
  ガラガラヘビだった

  1945・7・16
  三つのうちのひとつが
  そこで世にも恐ろしい産声をあげた
  その声は大地を揺るがし
  やがては
  人類を何世代にもわたり欺き
  裏切り、傷つけつづける
  「神」となっていった

     始まりはたった三つだった

  「チビ」と呼ばれた「神」の一人が
  1945・8・6
  ヒロシマという小都市の上空で
  黒い雨を降らせた

  その三日後、
  美しい港町ナガサキに
  「デブ」というニックネームの
  「神」が舞い降りた

     始まりはたった三つだった

  二つの街に舞い降りた神々は
  その意味さえ知らない人々を
  コンクリートに焼き付け
  一瞬のうちに気体と化し

  体内に永遠の十字架を刻みつけた

  ヒロシマ、ナガサキは
  現代を生きる人々に「思想化」されず
  死と隣り合わせの「ヒバクシャ」は
  日常に突き刺されたトゲでさえもない

     始まりはたった三つだった

  ニューメキシコ州アラモゴード
  トリニティー・サイト
  その三位一体と呼ばれる砂漠に今
  「原爆博物館」という名の
  「神殿」がそびえているという




その神々を生んだアメリカの大地で生まれ育ったオバマ大統領が
核兵器の廃絶を世界に訴えた。

世界中が拍手喝采し、ノーベル平和賞を授与した。
ヒロシマ、ナガサキの人々も歓喜した。
ヒロシマ市長などは、オバマジョリティという造語さえ作って称えた。
ナガサキのヒバクシャたちは、「オバマさん、ナガサキに来て!」とラブコールを送った。

その願いは無視され続け、
9月15日アメリカが臨界前核実験をやっていたことを、
私たちは1ヶ月後に知った。

アメリカ当局は
「保有する核兵器の信頼性と安全性を維持するために必要な情報を得るのが目的」
として条約にも違反しないと弁明した。

「核兵器の信頼性と安全性の維持」?
あら~、やっぱり核兵器廃絶なんて本気ではなかったのね~

ヒロシマとナガサキのヒバクシャたちは怒りの声をあげ、抗議の座り込みをした。
ノーベル平和賞を返せ!との叫びがこだました。

しかし日本政府は、「未臨界核実験は、包括的核実験禁止条約CTBCにおいて禁止されている核爆発は伴わない実験である」から抗議は行わないと言った。

アメリカだけでなく日本の為政者も信仰心が篤いらしい。
ニューメキシコ州トリニティー・サイトで産声をあげたという現代の神への信仰。
彼らもその「神殿」にお参りしたのだろうか?

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2010-11-02 22:45:30
オバマは自分が生きてるうちに実現は無理って最初から言ってるしな。
そもそも平和賞やるほうがどうかしてる。
賞やるから絶対やれよって意味合いなのかも知れんけど。
広島なんかが褒めたたえてたのなんて失笑もんだろ。
あれ見て核兵器廃絶を熱心に唱える人達は何も考えてないって実感した。

あと臨界前実験は別に核爆発起こすわけじゃないし条約違反じゃないよ。
一瞬で核兵器が消え失せるわけじゃないんだし安全管理の面でも必要です。
まぁ兵器開発にも使えるし利用してないなんて証拠もないけど。
利用してるって証拠もないけど。

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Unknown (森ぶんめい)
2019-10-15 17:14:52
拙作「神話」を取り上げていただきありがとうございます。
返信する

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