佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

オレオレ島のヒトデ

2012-08-24 | 童話

オリンピックが終わった途端、

昨日は竹島、今日は尖閣諸島…と、毎日TVも新聞も騒がしい。

私は不勉強で、どっちの言い分が正しいのやらさっぱりわからないけれど、

どっちだっていいじゃん~と思ってしまう。

 

こんなことを言うと、ものすごいブーイングや抗議が殺到しそうなので、

前もって言っておきます。

(かつて、何度か痛い目にあいましたから、もう懲り懲り)

議論するつもりはないので、反論などのコメントは受け付けません。

それぞれいろんな考え方があっていいと思います。

これは絶対日本の領土だとか、いや、韓国領だとか、中国だとか、

それぞれのお考えを間違いだというつもりはありませんので、

私の素朴な思いをつぶやくことも、お許し下さい。

 

広い広い海に浮かぶ小さな島を、奪い合ってどうするの?

海はみんなのもので、海はみんなにつながっているのに。

韓国のゴミが長崎県の離島にはたくさん流れ着くし、

日本が流した放射能汚染が太平洋の向こうのアメリカ海岸まで届いているというのに。

 

きっと、島そのものではなく、その島の周辺の漁業権とか、海底資源とかが重要で、

だから、どちらも譲らないんだろうけど・・

でもそれなら、共有の領土にすればいいじゃない。

どちらの国民もそこで漁ができるし、

資源の開発には共同で取り組み利益を分け合う。

 

どうしてそんな簡単なことができないんだろう?

不思議で仕方ありません。

 

そんなことを思っていたら、

私が所属している「コスタリカに学ぶ会」の幹事さんから、素敵メールが届きました。

二見孝一さんという方が書かれた創作童話「オレオレ島のヒトデ」が転載されていました。

ああ、おんなじだ、やっぱり同じ思いの人はいるんだな~

と嬉しくなりました。

ぜひ、皆さんも読んでみてください。。

 


広い広い宇宙の中に、それはそれはひときわ美しい星がありました。

その星には、青く輝く海と緑に覆われた陸地があり、空には白い雲が浮かび、

たくさんの生き物が住んでいました。

そして、その星の広い海原の中にオレオレ島という小さな島がありました。

このお話は、南からの渡り鳥が私にこっそりと教えてくれた、

その小さな島に住むヒトデの長老と可愛い子どもヒトデの会話です。

子ども:
 ねえおじいちゃん、うちの家(島)最近なんだか騒がしいね。

長老:
 そうじゃのう、、、ニホンアシという生き物がわしらの家にドタバタ上がりこんでくるからのお。

子:
 ニホンアシはうちの家にいったい何の用事で来るんだろうね?

長老:
 どうやらニホンアシは、わしらの家を自分たちのものにしたいみたいなんじゃよ。

子:
 それって訳がわからないよ。だってうちの家は誰の物でもなくてみんなの物じゃないか。
 僕のものでもあるし、ニホンアシのものでもあるんだよ。

長老:
 そりゃそうじゃが、ニホンアシはとっても欲張りでのぉ、、、。
 みんなの物じゃダメで、自分だけの物にしたいんじゃよ。

子:
 ふうーん、何で自分だけの物じゃないとダメなんだろうね。

長老:
 ニホンアシは、島でも川でも山でも砂漠でも、この星のすべては
 自分たちの物じゃないと気が済まないみたいなんじゃ。
 なぜそんなに強欲なのかはワシにもさっぱり理解できん。

子:
 でもさ、自分だけの物にするって、どうやって自分だけの物にするの?
 この島をどこかに切り取って持ってくってこと?

長老:
 そんなことはせん。紙切れに「自分の領土だ。」って書いて、みんなに認めさせるんじゃ。

子:
 ふぅーん、たったそれだけのことなら、うちの家を「ここはみんなの物です」って紙に書けばいいのにね。

長老:
 不思議じゃが、ニホンアシはそうしないんじゃ。
 それに、ワシらが困るのはニホンアシが「自分たちの物(領土)」と決めたとたん、
 本当はみんなの物である島や土地や川や山を、自分たちだけの都合でメチャクチャにしよることじゃ。

子:
 この島も星もみんなの物なのに、なぜ自分たちの都合だけでメチャクチャにしちゃうの?

長老:
 それはな、ニホンアシは未来の世代も愛しとらんし、他の生き物も愛してはおらんのじゃよ。
 なにしろ、同じニホンアシ同士で、この小さな島を巡って「俺の国の領土だ。」「俺が先に見つけた。」
 なんて言い争いをしとるくらいじゃからのぉ、、、、。

子:
 ニホンアシって、なんだかかわいそうな生き物だね。

長老:
 そうじゃのう、、、、本人たちは「万物の霊長」なんてうぬぼれておるが、
 同じニホンアシ同士で分かち合いもできなければ、、
 ましてや殺し合いさえやるような生き物だからのぉ。

子:
 ニホンアシも、この星に生まれた意味としあわせに気が付いてくれるといいけどな。

長老:
 そうあって欲しいもんじゃ。
 本当に大切なことはとてもシンプルなことなんじゃが、
 それに気が付かない人が多いのがニホンアシという生き物なのかもしれんな。

子:
 おじいちゃん、もうすぐ太陽が沈むよ。きれいな夕焼けを一緒に見ようよ。

長老:
 おお、もうそんな時間になったか。きれいな夕日じゃのぉ、、、、。
 今日もありがたい一日じゃったなあ。
 本当にありがたい。有り難い。

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しーちゃんのひとりごと 3

2012-03-29 | 童話

わーっ、まぶしい!

東の山からこぼれ出たオレンジ色の光が、みるみるうちに空や雲を茜色に染め

地上を照らし始めました。

 

わー、ちっちゃなかわいい田んぼがいっぱい!

まるで階段みたい!

 

あれは棚田というんだよ。

この辺は平地が少ないから、

昔から山の斜面の土地を耕して、米を作ってきたんだよ。

 

あ、あれは何?

黄色い帯のようなものが・・・

 

黄色い帯?どれどれ?

ああ、あれは菜の花じゃよ。

ほれ、その横に川が見えるじゃろ?

石木川というんじゃ。

石木川のほとりにはこの時期、菜の花がいっぱい咲いておるからな。

流れに沿ってくねくねと、帯のように見えたんだね。

 

石木川?

ほんとだ!きらきら光ってる!楽しそう・・

しーちゃんもあそこを走ってみたい!

 

あれ?

向こうに見えるのは湖?

 

あれは、大村湾といって、海なんだよ。

石木川の流れも、川棚川という大きな川と出会って、一緒に流れてゆき、

最後は大村湾に辿り着くんだよ。

 

わー、いっぱいお友だちと出会えそう。

早く行きたいなぁ。

ねぇ、スダジイ、

石木川へ行くにはどうすればいいの?

 

そうさな・・

それほど簡単ではないぞ。

川の滴になるには、まずこの山の地下深くを旅するんじゃ。

歩いて歩いて歩きまわるうちに、

しーちゃんの体内に森の恵みが溜まってくる。

そうすると体が自然と川に向かっていくんじゃよ。

 

森の恵み?

 

そうじゃ。

その恵みが、きれいな花を咲かせたり、

美味しい米を作ったり、元気な魚を育てたりするんじゃから。

 

え?そうなの?

海の魚は海の餌を食べて育っているんじゃないの?

 

そのとおり。

じゃが、その餌がたくさん元気に育つには、森の栄養分が必要なんじゃ。

その役目を果たしているのが川の滴の一滴一滴じゃ。

 

そうかぁ・・

わかった!スダジイ。

しーちゃんは、これから虚空蔵山の地下の旅に出かけます。

そしていつか石木川の滴になれるよう頑張ります。

 

そうかい、そうかい。

しーちゃんなら、やれそうだな。がんばるんだよ。

 

ああ、もう完全に夜が明けたようだ。

ほら、鳥たちの鳴き声が聞こえてきただろう?

喉の渇いた小鳥たちに飲み込まれないうちに、そろそろここを降りた方がいい。

 

はい!

スダジイ、いろいろ教えてくれてありがとう。

元気でね。

いつか石木川の滴になれたら、

川を流れていきながらスダジイに手を振るから、

ここから見ていてね。

 

わかった。待っているよ。

 

じゃあ、さようなら~~~~~~~~~~~~~~

 

しーちゃんは、葉っぱから葉っぱへ、

ポロン、ポロン、ポロ、ポロンと歌うように降りていきました。

 

                                                    (つづく)

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しーちゃんのひとりごと 2

2012-03-26 | 童話

ここは虚空蔵山(こくぞうさん)の森の中じゃ。

 

コクゾウサン?

 

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)が祀られた山という意味じゃ。 

 

コクウゾウボサツってなぁに? 

 

仏教の世界で「覚りを求める人」を「菩薩」というんじゃが、

その中の一人が「虚空蔵菩薩」。

虚空蔵とは、宇宙のように広い無限の智恵と慈悲を持っておるという意味じゃ。 

 

ふーん、よくわかんない。 

 

わからんでもいい。

人間の考えることは、わしにもようわからん。

賢い動物のようで、とてつもなく愚かな生きもののようで…

 

ところで、虚空蔵山は日本中にいくつもあるが、今では名前だけのところがほとんどじゃ。

しかし、ここは違う。

今も山頂に虚空蔵菩薩を大切に祀っておってな、

里に住む人間たちはこの山を「こくんぞう」とか「こくんぞさん」と、親しみを込めて呼ぶんじゃよ。 

 

「こくんぞさん」かぁ、おもしろいね。

わたし、今日から「こくんぞさんちのしーちゃん」になる!

おじいさんは「こくんぞさんちのスダジイ」だね。

嬉しい?

 

そりゃあ、嬉しいよ。

今は、あちこちの山が、人間によってズタズタにされておる。

高速道路やトンネルやダムを造るために、わしらの仲間は簡単に切り倒されてきた。

だが、この山で生まれ、「こくんぞさんちのスダジイ」になったおかげで、

その心配をせずに安心して暮らせるから、それは嬉しいさ。

 

どうして心配しなくてもいいの?

 

この山の麓には本当に賢い人間たちが住んでおるからじゃ。

本当に大切なものは何かを知っておる者たちじゃ。

 

本当に大切なものってなぁに?

その人たちには、どこに行けば会えるの?

 

本当に大切なものが何か・・それは自分で見つけるんじゃよ。

誰かに教えてもらって見つかるものではない。

 

その人間たちは川原(こうばる)という里に住んでおる。

しーちゃんも元気で旅を続けていたら、きっと会える。 

楽しみにしているがいい。

 

そのとき、東の山の尾根の向こうから、オレンジ色の光がこぼれ出しました。

 

                                                  (つづく) 

 

 

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しーちゃんのひとりごと

2012-03-19 | 童話

私、しーちゃん。

本名、雨野滴(あめのしずく)です。

 

高い空の上で、たくさんのお友だちと雲のお船に乗って旅をしていたんだけど、

急に冷たい北風が吹いてきて、

あまりの寒さにお友だちと抱きついて震えていたら、

先生が大きな声でこう言ったの。

 

皆さん、大丈夫ですよ。

周りのお友だちとしっかり体を寄せ合って、肩を抱き合っていてください。

あなた方の体は一つに溶け合って、雨粒となって地上に降りて行くのですよ。

今まで空の上から見てきた素晴らしい地球、

あなた方のふるさと、水の惑星、

そこに帰って行くのです。

怖いことは何もありません。

地上でもたくさんのお友だちに出会えるでしょう。

どうか元気で、それぞれの旅を続けて下さいね。

また会える日がきっと来ます。

その時、それぞれの旅の話を聴かせてもらうのを私は楽しみに待っていますよ。

さあ、お行きなさい。

 

その声が終わるか終らないかのうちに、私たちは次々と落ちていったの。

地上へ、地上へ・・・風に乗って

海が見える、森が見える、街も見える、

私はどこに落ちてゆくのか不安だったけど、

それよりも、風さんがあんまりびゅんびゅん飛ばすので、くるくるくる~ん

アレ~~~~~~~~~~~~~~

目が回る~~~~~~~~~~~~

 

どのくらい時間がたったのか・・

気がつくと、私は、高ーい木のてっぺんにいたの。

あたりは真っ暗で、空にはお星さまとお月さま。

 

  やっと目覚めたようだね。

あなたはだあれ?

  私はスダジイ。シイの木じゃ。

  お前さんは今、私の葉っぱの上にいるんじゃよ。

  落ちたのが、ビルのてっぺんや石ころの上じゃなくてよかったのう。

  寝心地がよかろう?ゆっくりしていくがいい。

ありがとう、スダジイのおじいさん。

ところで、ここはどこ?

  ここかね、ここは虚空蔵山という山じゃよ。

 

                                         (つづく)

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