6月7日、山口県から3人のお客様がやってきました。
上関原発(山口県)建設阻止行動を行っている「虹のカヤック隊」の若者たちです。
石木ダム反対座り込み現場のテント内。
頂いたビワを食べながら話を聞いているのはY君。
彼は春から秋にかけては岩国市に住み、錦川で川下り(ラフティング)の仕事をし、
冬場は北海道のニセコでスキーやスノーボードのインストラクターの仕事をする季節労働者?
そして、錦川の平瀬ダムや上関原発の建設に反対し、カヤックで抗議行動。
北海道でも、泊原発のプルサーマル計画反対運動に関わっている多忙な若者。
今回は同じダム反対運動をやっている川原の人たちを応援しようとやってきてくれました。
その向こうで、おばあちゃんたちと楽しそうに話しているのは、彼の妻のSさん。
もう一人のR君が寝坊してバスに乗り遅れたので、一足先に二人を案内しました。
初めて石木川を見た二人は、とにかくその川の小ささに驚き、
ここにどうやってダムを造るの???
どうやって水を溜めるの???と何度も言ってました。
北海道に生まれ育ったSさんは、初めて見る川原の里山風景に感動。
その見慣れない風景に何故だか懐かしさのようなものを感じる…と不思議がっていました。
やっとR君(左)も合流した頃には、もうおばあちゃんたちは団結小屋で休憩中だったので、
そっちにおじゃましました。
お茶をいただいてすっかりリラックスしたところで、R君が数枚のスナップ写真を取り出しました。
それは、海上で原発反対の抗議行動をするカヤック隊や祝島の漁船団、
浜辺で座り込みをするおじいちゃん・おばあちゃんの写真。
「ありゃ、○○さんはいつ山口に行かしたと?知らんかったよ」とNおばあちゃん。
写真のおじいちゃんを見て、こちらのおじいちゃんと勘違いなさったのです。
言われてみれば、その日焼けした横顔、笑いジワ…雰囲気がそっくりでした。
そしてよく見ると、座り込みをしている祝島のおばあちゃん達も、川原のおばあちゃん達に似てる…!
明るく、逞しく、優しい笑顔が並んでいます。
そうかぁ・・
こんなにも長い年月反対運動を続けられるのは、
きっと根が明るくて逞しい人たちでないとできないに違いない。
いや、逆に反対運動を続けるうちに逞しく明るくなっていくのかな?
どっちにしても、それが共通点のようだ。
そう言えば、もう一つ共通点がありました。
中国電力が山口県上関町四代田ノ浦に原発建設計画を発表したのは1982年で、
その建設予定地の対岸に住む祝島住民は、そのときから島ぐるみの反対運動を開始。
ちょうど同じ年、石木ダム建設のための強制測量をきっかけに、
ここでも住民の激しい反対運動が始まったのです。
つまり、どちらも、28年間に及ぶ粘り強い闘いの歴史があるのです。
(もちろん石木ダムは、それよりずっと前の1962年に計画が持ち上がったので、
その頃から考えると、県との対立は実に半世紀に亘るのですが…)
団結小屋をあとにして向かったのは、「虚空蔵山の水汲み場」。
途中の「日向の棚田」を見て興奮する3人。
「なに、これ!」
「日本じゃないみたい・・」
「祝島も棚田がすごいと思ったけど、ここはもっとすごい・・・」
そうでしたね。
祝島も美味しいビワがとれて、棚田が自慢だと聞いています。
本当に共通点の多い2つの地域です。
私もいつか祝島を訪ねてみたいナ。。
水汲み場に着き、ペットボトルに美味しい水を詰め込んで、次は岩屋神社へ。
例の石段を上って、例の穴をくぐって御社へ。
スリリングな参拝を楽しんで、再び石段を下りていき、
降り切ったところで、前に居たY君が振り向いて「ありがとうございました」と頭を下げ、
「いえ、とんでもない!」と答えた私。
ところが、横に居たR君も「ありがとうございました」と後ろを振り向いたのです!
そう。彼らは神社の神様に向かって、参拝させて頂いてありがとうと言っていたのです。
顔から火が出る思いとはこのこと。
今まで何度も足を運んだこの神社に、お礼を言ったことなど全くない私。
今までいろんな人をここへ案内しましたが、そのような言葉は耳にしませんでした。
心の中で感謝していた人もいたのでしょうが、そんな発想を持ってなかった私は気付かなかった…
「アハハ、勘違いしちゃった。お恥ずかしい」
「いえ、Mさんにも言ったんですよ。こんな素敵なところに連れてきてもらって」とY君。
「祝島の人たちは海の神様にいつも感謝してるんです。僕らも自然に教えられました」とR君。
「神様、石木ダムができないよう守ってね~」とSさん。
いまどきの若者は素敵ですね。
教えられることばかり・・
2時過ぎ、再び座り込みの現場に戻ると、反対同盟の男性3人がまだ頑張っていました。
お昼の残りを勧められて、お腹ペコペコだった私たちは遠慮なくパクつきました。
おにぎりも漬物もゆでたまごも、本当に美味しかった!
みんな4つずつあったのは偶然でしょうか・・
住民の方から直接話を聞いた若者たちは、
この信じられないダム建設計画を進める県当局がどうしても理解できない、
せっかくここまで来たのだから、県の人の考えも聞きたいと言うので、
帰りに石木ダム建設事務所に案内しました。
アポ無しではたして対応してくれるだろうか…と思ってましたが、
所長さん自らが30分ほど時間を取って下さいました。
(Y君が「水源連」のメンバーなので、窓口の方にその名前を出したのが良かったのか?)
所長さんの話は事前説明会のときと全く同じ。
佐世保市民のため(利水)にも、川棚町民のため(治水)にも、川の環境のためにもダムは必要!
の一点張りです。
Y君が「いや~、どうみてもあの石木川で洪水がおきるとは思えないんですが、
洪水防止のためのダムなら川棚川本流のほうが必要じゃないんですか?
また、ダム以外の治水対策もいろいろありますよね~」とつっこむと、
「いや、これまで何度も専門委員会などで議論してもらって、ダムしかないという結論が出てるんです」
「でも、その委員会の中には、ダム以外の方法を強く主張された方もおられますよね。
それらは全て無視されたと聞きましたが」と、思わず反論してしまった私。
所長さんは私をジロリと睨みつけ、
「中にはいますよ。いろんな方がね。でも大多数はダムしかないということでした」と。
それに対する反論も、佐世保の水需要についても、言いたいことは山ほどありましたが、
それを言うと時間はいくらあっても足りない、彼の質問の時間が無くなってしまうので我慢。
所長さんはその後は気持ちよく回答を続け、
職員の方が「もう時間ですよ」と2回も呼びに来られるまで話して下さいました。
石木ダム建設事務所を出て、川棚駅で遅い昼食をとって別れたのは5時少し前。
これから諫早湾を見に行きます。
今夜は佐世保に戻って、白浜海岸でキャンプして、
明日は九十九島の海でカヤックに乗ります。
そう。諫早の海、しっかり見てきてね。
また会いましょう。
ちょっと疲れたけど、それ以上に、明日からのパワーを頂いた一日でした。