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ブログって何? 2023年4月より兵庫県高等学校演劇研究会東播支部へ移動。高校演劇の情報の配信、記録も。

令和5年度加印地区春季合同公演

2024-03-23 17:36:15 | お芝居演劇
加印地区春季合同公演2024公演情報

 期 日  3月24日(日)・25日(月)
 場 所  加古川公民館 加古川市加古川町寺家町12-4

◆3月24日(日)

12:30 上演① 県立農業
 ◎『スカビオサ』 作:岡田健心
  これはひとつの奇病から始まる物語…。主人公の澪はある日突然
 『花』を吐き出すようになる。それは『花吐き病』という病気で
 治療法はただ一つだけ。それは”両思いになること”。
 幼馴染の香織、クラスメイトの男子悠、桂大の高校生男女4人を
 めぐる奇病ラブコメディをお楽しみください。

13:20 上演② 県立加古川西
 ◎『ヨミビト知らず』 作:「  」
  「夢を見たの。とっても不思議な…」駅前でクリームソーダが
 おいしいと噂の喫茶店で勉強会(という建前の雑談)を嗜む一同。
 その夢が運命を大きく狂わせるとも知らずに。カコニシ演劇部に
 よる全力日常×ファンタジーをお楽しみあれ!
 ※この作品には二次創作が含まれます。それでも良い方は
  ウェルカム!!

14:30 上演③ 県立東播磨
 ◎『常夜灯』 作:経澤雛子
  星座をまたにかける行商人、生活に不満を感じる灯台守、恒久の
 時を生きる機械人形、亡き父を屋の姿を追い求めるシガル売り。
 彼らはコールドスリープから目覚め、死に場所を探しているという
 少女レグルスと出会う。彼らとの出会いはレグルスの心境にどの
 ような影響を及ぼすのか。レグルスは彼らとの出会いで何が変わる
 のか。
  これははるか遠い未来、星座間をつなぐ寝台特急「ミッドナイト号」
 で起こる物語。

15:30 上演④ 県立明石西
 ◎『SHITSUGEN×FAMILY』 作:シイタケ部長
 言葉というのは不思議なものだ。
  それは時に人を癒すこともあるが、凶器となって人を傷つける
 こともある。
  一言「多い」生頼房子(明石市市長)は一言「足りない」旦那の
 生頼大吉(気象予報士)と些細な会話のすれ違いによる日々の
 喧嘩と「人と話すことが苦手」な高校2年生の娘、生頼泉への
 接し方に悩まされていた。そんな中ある事件が起こって…!?
  「言葉」と「家族」の大切さを学べるハートフルコメディー。

3月25日(月)

12:00 上演⑤ 県立東播工業A【トウバンジャン(味噌)】
 ◎『あの日の僕ら』 作:リュウキ
  高校3年生の頃、僕らはあの校舎の屋上で、毎日のように
 集まってはふざけあっていた。
  進学、就職、将来の夢……。不安や焦りを抱えつつも、
 僕らはあの時間がいつまでも続くと信じていた。あの日までは。
  あれから3年、失われた時間の先に、僕たちは何かを見つけ
 られるだろうか。

13:00 上演⑥ 県立東播工業B【トウバンジャン(醤油)】
 ◎『O-Sunshine』 作:大西名王生ジョバンニ
 「――僕には、笑いしかないんですよ――」
  高校生漫才師日本一を決める大会の準決勝前日、お笑い研究部の
 部室で、コメディアンたちの意地がぶつかり合う。
  これは、笑いに青春をかけた男たちの悲しき喜劇。

14:00 上演⑦ 県立明石南
 □『花子氏のご利益』 作:辰巳りん
  さびれた公園。古びた公衆トイレ。さえない男。男と女の
 痴話げんか。短いコント劇です。

14:30 上演⑧ 県立加古川東
 『Pieces of Life』
 第1部◎『思い出わらわら』 作:宮崎莉瑳
  電車に居合わせたゆきとほのか。二人は本当にあの頃を共に
 すごしたのか、それとも赤の他人なのか。
 第2部◇『コのケの日』 作:中田結菜  潤色 五ノ井幹也
  消える記憶とぷるん、杏と紅葉。紅葉のぷるんはどこに消えた?
  どんな記憶もいつかは消えて、思い出せなくなってしまう?


 ◎ 生徒創作 ○ 顧問創作 □ 卒業生他創作 ◇ 生徒顧問合作
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2019 合宿は新天地へ

2019-08-05 21:43:40 | お芝居演劇
 25年以上前から通い続けた淡路合宿。今年はアソンブレホールの閉館に伴い、新たな場所探しから始まった。安価なホール+手ごろな宿舎+大自然+交通機関ありと、抜群に微妙な条件をフルに満たすことは出来ず、やむなしでセレクトした施設が嬉野台生涯教育センター。演技・演出検定の年なら、劇場機構は無くても我慢できる。加東市にある野外活動の拠点的施設。小学5年生が宿泊学習に来る的な場所である。おまけに交通機関は三田駅から路線バスが午前中に2本というタイトさ。遅刻は致命的である。一事が万事そんな感じの合宿は、果たしてうまく回るのだろうか。不安なまま当日を迎えた。

 実は伊丹の高校演劇部は今、それ以上のピンチを迎えている。圧倒的な部員不足である。特に今年度の1年生の加入数は非常事態的少なさ。県立伊丹1名、伊丹西0名、伊丹北2名、市立伊丹1名。合わせてもたった4名なのだ。中学からある程度のボリュームを保持している伊丹市が、高校になるとなぜ? これについては検証すべきである。
 もはや手段を選んでいる場合ではない、僕は今まで合宿に参加していなかった伊丹北、市立伊丹を合宿に誘っていることにした。8/2,3がアイホールの高校生演劇WS、間髪入れず8/4,5 が合宿。顧問の先生的にはふざけるなって日程だが、生徒たちの参加希望もあり、伊丹連合合同合宿(11名)は成立した。そこへ昨年からの参加校である川西明峰。若手?顧問のタナチン先生率いる北方民族9名が加わり生徒数は20名。こうなると見た目はそれなりに成立するのである。

 暑い夏、遠い施設、冷房のない宿泊棟(ただし一泊150円)それでも僕には勝算があった。サポートに入ってくれるOBたちの存在である。伊丹西時代の相棒、式部が、伊丹の実情を聞いて仲間を引き連れて来てくれた。初参加なのは伊丹北のOGであるタマと、ご存じルイージ、そして合宿行くならウチ行くよって安定の毎回参加、照明の要ん。細かい打合せ一切無し。ただしやるべきミッションは寸分の狂いなく共有できている不思議な講師陣。たまらん心強さなのである。到着した午前中はただひたすらに名前鬼? ホントはもっと一杯のメニューを準備してきた式部だったが、メンバーの開放具合が高くないと判断すると無理せず同じ課題を飽きさせずにひたすら深く。リーダーっぷりも板に付いてきた。
 昼からは複数の会議室に分かれて学校ごとに来る演技・演出検定に向けての練習。この間も入れ代わり立ち代わり各部屋を回る。とにかく楽しんでる。それが高校生たちの心の壁を少しずつ溶かしていく。僕が無茶振る「即興でやってみて」のお題も、出来るかな~とか言いながらホントに楽しそうにこなしていく。それを見た高校生たちが「私もやりたい!」って動き始める。それは臨界を超えた核反応の様に、小さな演劇部に熱量を与え続けた。

 いかにも合宿って飯もうまい。夜は意味なくキャンプファイヤー。当然出し物はやる。時間がない中お互い本気でネタをくる。怖い話もちょっとだけ。定員48名の宿泊棟に全校の女子18名が共同生活。男子2名は男子くくりで若手教員やリーダーが潜り込む。朝6時半にはまたまた意味なくラジオ体操。布団のたたみ方にダメが出ないように本気の掃除。そして午前の締めに本気の模擬検定。審査員のリーダーから、本気のダメ出し級判定をもらう。全てがそんな感じの新天地。ひょっとしたらここは天国かもしれないなんて思いつつ、部員たちが乗ったバスを見送る我々であった。

 面白かった? そんな質問に誰もが笑顔で「面白かった!」を返してくれる。部員たちも、リーダーも、顧問の先生?も 新天地は探せば見つかるものである。仲間さえいれば…、ね。
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HELPの日

2019-05-12 21:24:59 | お芝居演劇
朝イチから何人かのOBOGにメール。
 「おはようございます。緊急募集します。演出のちゅらが倒れました。稽古場に穴が開いてみんなでカバーしてるのですが、さすがに残りの現役も辛そうです。」僕から過去に県高で演出を担当したことのあるメンバーに緊急募集。応援に来られる人、稽古場までHELPにお越しくださいって要請です。

 少ない部員でカツカツ回している都合上、誰かが休めばそのバックアップを、他の誰かが自分の仕事を放置してやらねばならぬ羽目になる。「死ぬな休むな怪我するな、役者に代打無し」ってのは演出も含めてマジなのです。果たして何人のOBOGがバックアップを申し出てくれるか、半信半疑だったわけですが、ここからが凄かった。真っ先にリアクションをくれたのがタマゴ。予定満載で行かれへんねんけど、ウチからも何人かに情報回しといたってお返事。僕がメールをBBCで送ったもので、誰にメールを送ったか、タマゴは知らないはずなのだけど、ほぼ僕の送り先と一緒という奇跡。適材適所は共通認識。

 稽古開始は9:00。現役集めて今日もちゅらはダメかもしれんって話と、ひょっとしたら先輩が応援に来てくれるかもってミーティング。自分らで回す覚悟で始めていると、「遊びに来たよぉ~ん」って68回生のななみん登場。ゆるさが素敵な作・演エリート。現役とも初顔合わせに近いのに、代理鶴演出に寄り添う形でサポート開始。さすが。他にも昼前には千本ノック演出で有名な71回生コスモ。昼過ぎて69回生照明担当きゅーちゃんと、70回生作・演担当ちゃっぷが登場。稽古場は1日なんとかもったのでした。お陰で潤色作業もあと一息のp27まで完成。構成も固まってなんとか走り抜けられそうです。

 残った課題はちゅらの完全復帰。それは奴と僕らの仕事。いい舞台やりたいんでしょ? それだけが僕らの共通言語。いいお芝居をするために僕らは集うわけで、だから演劇部なわけで。見知らぬ先輩と後輩でも1日で寄り添える。これ、すなわちお芝居の力。「後輩、可愛かった」ってななみんの言葉は、けっしてウソじゃないと思うんだ。県高転勤7年目の歴史を、ちょっとだけ心強く感じられたHELPの日。
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小品発表会

2018-12-16 21:26:43 | お芝居演劇
 阪神大会が終わってはや一ヶ月。春季、アイフェスの台本作りも始めなきゃ間に合わねえぞって県高演劇部。理由は?いつも作品作りに時間がかかるから。遊んでるわけじゃないっす。むしろもっと遊べよ若人ってぐらい真面目。おんなじダメを行ったり来たり。ダメもらっても全然吹っ切れない。おんなじダメを何度も食らう。要するに滅びるパターン。これじゃラチがあかないわけで。そんなヤツらが役者として成長する最大の作戦は?と聞かれると答えはただ一つ。「公演を数多く経験する」です。

 そこで企画提案してみました。「短くてもいいので校内で小品発表会をやってみない?」

 反応は悪くない。やってみたいって。イイでしょう。上出来です。作戦は7人居る部員からプロデューサーを3人募集。それぞれが自分のやりたい15分程度の小品を企画、台本作成、稽古から上演まで、メンバー全員を使って作成するルール。人気のある役者さんは同時に3本の作品に出演する可能性もあるわけで。
 期末考査前に約一週間。彼女たちの苦悩は始まった。これが遅々として進まねえ。予測はついてたんだけど、オリジナル台本をかれこれ1年間作れていないわけで、思いつかぬ事山のごとし。ぷうかの「野菜の話」、ろっぷの「自然な日常会話で出来上がってる劇」、鶴に至っては…。あっという間に試験期間に突入。この段階で目処は一切たってなかった。

 試験開け、再集合したメンバーの目には困惑が透けて見える。ホントにやるの? びびってるもんだから先輩に「こんなんするから来てください」の声もかけられない。できるならこの企画、無かったことにした方がいいかもって気配すら感じた。どっこいあきません。担いだ神輿は降ろせまへんって教えてなかったっけ。「やるで。」の一言。
 残された時間はホントに1週間。いくつかアイディアを出してみる。テコ作、春季アイフェス台本の卵になりそうなまさに「小品」には、教室で持ち主の居ない空っぽの机を前に話す二人の物語。1年テコが台本を書き始めた。即興を苦手とするメンバーに、短時間で作品を仕上げるには即興要素を出しやすくするための「うんうんエチュード」の提案。話し手は「演劇する人としての私」というテーマで3分間自分を語る。大切なのは自分の選んだ相手役に、セリフで書くと「うん」というセリフのみで聞いてもらうという仕掛け。観客や空間に向かって一人台詞を語るのではなく、目の前の相棒に聞いてもらうことで出てくるリアルを形にする。だから「うんうんエチュード」。最後は台本覚える時間も無いもんだから、リーディングなんだけど、別な役者がセリフ無し、動きのみのマリオネットを務める二人一組一役担当の「マリオネットリーディング」以上この3部作を上演することに決定した。

 そこからは四の五の言わない稽古の連続。「公演明日やねんで、そろそろ自分の都合で止めんと無理矢理でも続けようや!」なんて熱いセリフも漏れ聞こえる。横目で見ながらよしよしと思いつつもドキドキする。ハートが弱いとか、不器用とか、思いつかないとか、ひらめかないとか、宇宙人的とか、来てくださるお客さんには関係ないわけで。演じる自分たちの都合なんて、全然関係ないわけで。

 当日、来てくださったお客さんはたった5人。出演者は7人。声かけられなかったのは自分たちに自信が足りなかったから。それでもとても暖かく観て頂き、やってる側も本気で楽しかったみたい。ごのいも初挑戦した「うんうんエチュード」の面白さには驚かされた。舞台に立つこと自体苦手で照明に回っているテンの即興は、言葉にならない分体全体から思いが噴出してくるようで涙が出そうになった。いつもはセリフに振り回され、ダメに追い回され、普通しか演じられないびみょ~なヤツらの奥底に、あんなにリアルでピュアな魅力が隠れてるんだと再発見。作品作りに革命が起きる日も近いのでは?って気になった素敵な1日でした。きっとまた、すぐに煮詰まると思うんだけど、困ったらちゃんと身を削ってみようよ。何か出てくるはずだからさ。

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裏方技能検定参戦記2018

2018-08-17 22:08:15 | お芝居演劇
 おそらく平成最後の平成演劇教育委員会は裏方技能検定。県立伊丹高校演劇部も参加した。エントリーは平台や箱馬を規定時間内に指定された形に安全に組み立てる「常式物士2級」と、コンクール位置決めを完全意識した「マイスター検定」。他にも演劇豆知識を競うクイズ王や、舞台上に組み立てられた装置を図面に正確におこす「打合せ士」、そして演劇に必要な筋肉と柔軟性を競う「マッスルランキング」である。
 ついこの間まで女子ばかり7人のこぢんまりしたチームだわいと思っていたのだが、予想以上の健闘と好成績を収め、ちょっと違う風が吹いてきたのかしらんって思い始めたごのいであった。

 常式物は実は本当に難関な部門で、2016年の合格率は高さ無しの3級が50%、そして高さを要求される2級の合格率は0%だったのだ。あの冷静、沈着、根性悪、負けず嫌いの化身のようなねねみぃ舞監をして突破できなかった課題である。ま、この辺は過去記事を読んで爽やかに笑って頂くとして、どんな問題が出るか、その瞬間まで知らされないって不安要素も大きいのである。

 出場全9組が3組ずつすすむ検定は既に6組全滅となり、いよいよ最終課題。提示された課題はこちら。手前側は箱馬を使った相掛け、奥は開き足を使った相掛け、センター合わせってのが今年の新しい流れで、指示を出す側とそれに併せて正確に装置を動かす側に完全役割分担しなければ出来ない地味な難問である。県高メンバーはなんと、規定の1分前に装置をくみ上げ点検をする余裕を見せる。こんな装置練習では一回もやってないのにね。判定は旗3本合格となり、歓声と拍手が上がる。本気で嬉しそう。

 そして昼からはマイスター検定。実は前日のゲネで設置(エア形式)は上手くいったものの、その後に続くきっかけ合わせで演出ちゅらがてんぱり、横からごのいの白血球突っ込みを食らい目から大汗をかいたばかり。当日はさらに多くの観客に囲まれ、臨機応変適切な指示を出せるかが大きな課題だった。装置は順調に組み上がり、残り7分07秒でちゅら発動。音のレベル調整最小、最大と、決めていたシーンのきっかけ稽古に進んだ。お、照明さん調光に上がって一分も経たないのに「照明さんまだですか?」とか聞いてるぞ? 案の定「これから明かり作るとこです」とか言われて「ですよね~」とか言ってるぞ、大丈夫か? それでも的確に音響のレベルときっかけを判断。これは◎のドンピシャ。照明が準備できたのが30秒前だったもんで、「じゃぁ、えっと、うふふふ?」なんて笑い始めて結局ちゅらのオンステージで30秒が過ぎた。頭、真っ白やったかもね。

 それでも上演はほぼこちらの意図通り。ありがたいことにマイスター2級の称号を頂くことが出来ました。「後半、演出の子、ひたすらうふふふ言うとったで」って審査員に指摘されたらどうしようって焦ったわ、ホンマ。
 他にも打合せ士美術2級、3級や(てん、照明どうした?)クイズ女王まで頂いて上出来な1日。駆けつけてくれたOGたちも楽しそう。

 これで技術力とチーム力の証明は出来た。後は台本…。これがまたピンチなのだ。僕たちのドキドキは決して一段落しないのである。
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合宿に行ってきました

2018-08-11 20:23:14 | お芝居演劇
 全国大会観戦+会議出席で信州長野、上田市へ。大会最終日は観られない覚悟(これがまた、もったいなかったという噂多々)で兵庫にトンボ返り。なぜかと言えば演劇部のビッグイベント、合宿があるから。すっとんで帰って翌朝には淡路島のアソンブレホールに向かったのだった。応援部隊は照明の要と兵隊太刀魚。共に伊丹西時代からの相棒たちだ。

 今年の合宿には初めてタナチン先生率いる川西明峰高校が参加。宿屋も同宿で若干様子が違う。いつも一緒の伊丹西のメンツには慣れている部員たちも、新出キャラクターにちょっと緊張気味。早速自己紹介や名前鬼で顔合わせを済ませ、会議室で常式物のワークショップ。事件はここで起きる。組んだ装置がいがむのは床がリノリウムで板目がないからとか、安全確認を上ではしゃいでやってみたりとか、こんなんはタナチン先生にまだ習ってないからとかイイワケ、文句のオンパレード。ひょっとして暑い夏休みにわざわざ淡路島まで来てやったのに、なんで知らない顧問にダメ出されるんだ?って思ってる? ふ~ん。

 新鮮!

 部員たちもなんじゃこりゃ?って思ったみたい。お互い様でしょうけれど。結構です。なぜなら県立伊丹、伊丹西、川西明峰の3校で翌日マイスター検定をがち予選をして、勝ち抜けたチームが平成演劇教育委員会マイスター部門へ進むことになっている。どっかの連盟みたいなえこひいき無しで判定されるのだ。県立伊丹のメンバーは目標を切り替えた。判定に持ち込まれてはいけない。文句なき「圧勝」。そっからギアチェンジしての本気モードへと突入するのだった。

 合宿には毎年お客様。地元淡路の演劇大好きYOU先輩。高校生時代から何度も僕らの舞台を観るために、本土?に足を運んでくれる昔なじみ。今回も直前の神戸チーム(御影+六甲)からのぞきに来てくれていた。急遽マイスター検定予選の審査員もお願いしてみる。びっくりして反り返っていたけれど、快く承知してくれた。
 午後は各チームごと1時間半のホール持ち時間。明峰のメンバーも、勝負がかかっているとあってようやく本気モード。出遅れているためYOU先輩はほぼべったり明峰の指導に入る。ちょくちょくのぞく程度しか出来なかったのだが、メンバーがみるみる成長していくのが伝わってくる。それは基本の基本かも知れないけど、イイワケをやめ学ぶ姿勢になることさえ受け入れれば出来る話なのだ。生徒たちの変化を見逃すまいと、顧問のタナチン先生も暴言?を浴びつつ付いていく。これがあの子たちのスタイルなのねってちょっと遠目に眺めることにした。

 初日の実習を終え宿に到着。いつもは貸し切りだけど、今日は微妙な緊張感が漂い続ける。食事タイムも同室なのだが、ここで僕からの無茶ぶり、信州のお土産披露。イナゴの佃煮(缶詰)である。「食べてみた~い」なんて言ってたくせに、モノをみてさすがにびびる。それでもこれは絶対食わな負けの奴やと察知した県高メンバーは最低一匹、ギャーギャー言いながら食べる。そんな中全く平然とバクバク食う奴も。1年テコと部長の鶴である。こうなると食える奴が圧倒的に強い立場に。最後まで抵抗していたロップもついに覚悟を決め、泣きながら試食に成功した。
 横で見ていたタナチン先生が、イナゴの佃煮という言葉を聞きつけ、「ちょっともらって良いですか?」ってやってくる。どうぞどうぞ。「明峰の子も勇気あったらどうぞ」って振ってみた。「無理」「食事は静かに食べないと…」「…。」でしょうね。その反応に県高メンバーは無言でもう一段ギアチェンジするのだった。「絶対負けん!」

 その夜はお風呂に出かけたり、堤防で花火をしたり危ない目に遭ったり、深夜1時間半に渡ってお互いがお互いのことをどう思ってるかなんてミーティングしたり。合宿でしか出来ないかけがえのない時間。解散後、大人たちもミーティング。県立伊丹のこと、川西明峰のこと、伊丹西のこと、どんな道を進んできて、今どこに居て、明日はどこに向かおうとしてるか。照明Helpの要と、タナチン先生とのお話は遅くまで続いたのだった。

 翌朝、7:30朝ご飯。なぜかサングラスをかけた明峰メンバーが先に座っている僕の前を挨拶せずに通過していく。見えてないんだろうな。そんな中、ちゃんとこっちを見て挨拶してくれる子が現れた。ちゃんと目が合う。そうそう。それ大事。もちろん笑顔を返す。通過するだけの奴は無言で見送る。「ぶっ倒す…」
 午前中の貴重な練習を、しんどい顔一つ見せず駆け抜け、午後から模擬マイスター。お互い気づいたこと、良いとこ、悪いとこ言い合うわけだが、そんな時も朝、ちゃんと挨拶してくれた子はうなずきながら話を聞いていた。明峰の明日に、文字通りの明るい光が差し込んでいる気がした。頑張れタナチン先生。

 予選の様子(明峰4級、伊丹西3級、県伊丹準2級)はさておき、ミッションをクリアし、帰る前にはホール裏の海に出て発声練習、肉体訓練。合宿のもやもやを一気に晴らす。一つの浮き輪に部員全員がつかまれるほどの小さなチームではあるが、県立伊丹のメンバーも、一回りたくましく、大きく成長したみたいである。

 ありがとう淡路島、ありがとうアソンブレ、そしてありがとう川西明峰。今度会うときは、笑顔で挨拶しておくれ。


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稽古場の風景

2018-06-14 22:50:54 | お芝居演劇
 文化祭前日。明日は校内公演日、明後日は演劇部の体育館公演日。この舞台で3年生は引退する。演出コスモ、部長を務めたビトン、マイクロ爆弾女優レンジ、そして不器用だけどひたむき女優やまなの4人が引退する。以前はもうちょっと居たような気がするのだけど、気にしない。
 どっちにしろ稽古場の空気は一変する。部員のうち1/3が居なくなる新陳代謝。高校演劇の宿命である。

 練習できるのはあと1日。舞監のぷうかが稽古終わりにカウントダウンする。その日数は、すなわち引退していく3年生が稽古場に居られる日数である。移ろいゆく景色は美しいのだ。いつまでたっても沈まない太陽に、人は心を奪われないのだ。引退があるからこそ、高校演劇は美しい。

 明日は稽古場にできるだけ顔を出そう。レンジがぷらぷらして、ビトンがぶち切れ気味ににらみをきかせて、やまながいっぱいダメもらって、コスモが頭をかく稽古場へ。最後の風景を楽しむために。

 遊んだろ、だから一緒に遊んでね。
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アイフェス2018!! 上演終了

2018-03-28 20:36:00 | お芝居演劇
「私には妻がいまして、川之江高校出身なんですが、演劇部員だったんですが、高校時代に転校しなければならない状況になりまして、仲の良かった部員の友達を残して1999年ですか。転校したわけです…」アイフェスの講評委員だったある演出家さんの言葉に思わず声が出た。残された部員の友達ってのが初演『ホット・チョコレート』のミオちゃんであり、目の前の演出家さんの奥さんがきっこのモデルだったのだ。何たる偶然。僕の周りにはこの作品との見えない絆が有りすぎる。そんな気がした。
 オリジナル台本は高校演劇にとって重要なポイント。もちろん今までも沢山の台本(けして戯曲ではない)を作り続けて来たのだか、台本潤色には時間がかかる。今の県立伊丹の役者陣は器用と程遠く、何度も同じダメをもらい続けてもなかなか変わらない。変化のない稽古場は部員たちを憔悴させる。このままじゃダメだ。
 僕たちはこの春一つの決断をした。台本作成を諦めてでも時間を稽古に当てよう。本公演の前に単独公演をやろう。上演こそが役者を成長させるのだ。僕たちは3月の頭に先生や友達を誘って校内で単独公演を行った。会議室の中央に舞台を。360度周りを囲むように客席を設置し、手の届く距離から見られる公演だった。至近距離で繰り広げられるお芝居に、観客からは驚きと、沢山の暖かいアンケートをいただいた。そこから半月、劇場版の稽古が続いた。
 予測はしていたのだが、一度上演を終えた舞台の稽古を飽きずに続けるのは中々に厳しい。出来てることはもうできる(ような気になってる)し、出来てないことは相変わらずできないしなのだ。稽古場の空気は軽くはなかった。このピンチを一人支えていたのは演出のコスモだった。彼女のこだわりと、良いものにしたいという欲望がみんなをつかんで離さなかった。ゆっくりと、本当にゆっくりと。役者たちの出来るが増えていった。セリフのない場所で、書かれていないキャッチボールが一つ二つと産まれていく。スカスカのキャンバスが色で埋め尽くされていく。呆れるぐらいゆっくりと。呆れるぐらい粘り強く。
 こうして美味しい?ホット・チョコレートはぎりぎり間に合ったみたい。沢山の色でキャンバスを埋めてくれた役者たちに感謝の言葉をかけるコスモに、きっとみんなも感謝してることでしょう。
 本物のミオときっこの今を教えてもらった。二人の関係は今でも続いているらしい。高校時代、こうして苦楽を共にした友情は、ちょっとやそっとでは変わらないらしい。目の前の部員たちにも、そんな未来が来ると信じている。
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鶴とちゅら

2018-03-19 23:01:59 | お芝居演劇
 1年鶴は演技が下手くそ。夏休みの時点で顧問に宣言されてたのでこれは陰口ではない。どれぐらい下手くそか詳細は割愛するが、土日の1日稽古の場合、2分に1回ダメが出る(演出コスモ談)として稽古が7時間、つまり420分、割る2で軽く…、100回は超える計算。演出だけでなく台詞忘れ、間を外す、気を失う、目が泳ぐ、芝居を自分の都合で止めるなどやらかした場合、横にいる先輩女優たちから「おまえ~!」なんて罵声が浴びせられ、これが30回、私生活における突っ込み「寝るな」「聞いてんの?」などが20回で合計150回程度のダメが彼女を襲うわけだ。
 考えてみてほしい。学生は教室で、社会人は職場で、1日150回のダメ出しをもらったらどうなるかを。おそらく3日で自害する。ところが鶴は今日のミーティングでこう言った。「部活楽しい…。」しょえ~~~~。あんだけダメ食らっても出来なくて楽しいのか。しかもこっち向いて演技では出来ない満面の笑顔で(笑えてるじゃん)。これは彼女がおかしな嗜好を持っているという訳ではない。

 演劇部には目的がある。いいものを創りたいのだ。お前、出来ねえからって排除してすむならとっくの昔に鶴はいない。僕たちの目標はいかに鶴を舞台に上げるかなのだ。だから諦めない。ぶち切れつつも出来ない彼女と向き合い続ける。だんだん、本当にゆっくりだんだん、鶴の出来ることが増えていく。出来なさを笑い飛ばす。突っ込む。許さない。
「鶴がいてくれるから、チーム力が上がってんだよ」 今日はそんなこと言ってみた。いや、出来ない鶴を甘やかすつもりなんて毛頭無いんだよ、僕もみんなも。でもチームにはいろんな奴がいていいんだと思った。

 もう一人、悩んでる女優さんがいる。ちゅら。もらった役が自分と違う。いつも足りないって言われる。自分でも分かってる。でもどうすればいいか分からない。だから、一歩前に出られない。演出に放置されるの地味な悪循環。目の前にはダメ出されのプロみたいな鶴がボコボコにやられてる。その後ろで静かに目立たないもんだから放置され続けるのだ。気がつけばいつまでたっても目立たないまま、変わらないまま。
 このまま誰にもダメ出されず引退してくのかい? とんでもない。ちゅらのハートはもっとずっと熱いんだから。改めて現実を突きつけられたちゅらの目から汁が出た、ちょっとだけ。
 分からないときは何も出来ない。これ普通。でも舞台では分からないとき何かしてみる。最低限ダメがもらえる程度。それが自分を変えるきっかけになる。暗闇の手探りに手を差し出したい仲間はちゃんといる。

 帰り道、バネットで二人を偶然追い越した。はじめは鶴。窓開けて「お疲れ!」って言ったら満面の笑みで「お疲れ様でしたぁ」が返ってきた。こいつは大丈夫。明日もボコボコにしてやる(笑)
 100メートルぐらい走ってちゅらに追いつく。「お疲れ!」って言ったらこっちも笑顔で「お疲れ様でした」が返ってきた。ん? まだ堅いぞって思った僕はちょっとだけいじめてみる。「明日は泣くなよ!」 途端に全身から恥ずかしさと負けん気が炎のように立ち上がるのが見えたのね。「泣きません!」その声は車道を飛び越え、バネットの運転席までちゃんと届いた。

こいつも大丈夫。明日こそボコボコにしてやる(笑)
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アイフェス2018!! 技術打合せ

2018-03-11 20:38:06 | お芝居演劇
 音響、照明、美術、演出、舞監担当生徒とアイホールに技術打合せのため出かけた。通常のコンクールではスタッフ打合せという呼び名の行事。各校持ち時間25分間で平面図や、きっかけ台本、キューシートを材料に、学校側のやりたいプランを劇場スタッフに説明し、実現可能かどうか判断してもらうイベント。アイフェスではそのための時間が2時間。どれだて手厚いのって関心しちゃう。ありがたや。

 舞監のK村さんの進行で、客入れから始まり、台本を追って終演客出しまで打合せは進むのだけど、後で音照個別のアドバイスも有ったりして勉強になる。話題は場面転換の明かりの落とし方。前日の部内打合せで「暗めの部屋エリア明かり」ということが決まり、担当のテンから話が出るわけだけど、「なんで暗め? 役者の演技は? お客さんにどんなイメージを持ってもらいたいの?」って質問が返ってくる。その瞬間、黙ったまま笑ってごまかす照明担当テン。ダメだ、上手く返せない。笑うしかすることがない。こっち見る。そこで質問は演出コスモに。真っ赤な顔して汗かいて必死に答えようとするコスモ。でも「暗いから危なくないように」なんて、枝葉末節の返答でイマイチつぼを得ない。

 ん~言いたい。でももうちょっと黙っておこう。そう思った瞬間のK村さんの言葉に息をのむ。「質問を変えよう。暗めっていうのは…(以下略)」

 これって僕も授業の時によくヤル切り替え。物理の授業中、当てる生徒に応じて、もしくは予測したのと全然違う反応が返ってきて流れが止まったとき、みんなのいる前でも時々ヤル切り返し。裏には何とかしてその子も持ってるイメージを、言葉として引き出してみたいなんて思いがある。「お前ダメ、次の人」みたいな流れとは根本的に違うのである。はぁ~、すげえなぁK村さん。って思いながら、部員たちが何とか言葉をひねり出すのを待つごのいであった。

 散々もまれても楽しそうなコスモの顔見て、みんな何て答えるんだろって的確な目線を送るぷうかをみて、話をふられたらやっとこさなんだけど必死で答えようとするその他3名を見て、ウチのチームもちょっとだけど元気になってきたんじゃね?って実感できた。
 僕は仲間とお芝居の話をしたいのだ、きっと。「そうそう、そだね」とか、「そこ、そんな風にしたいんだ」とか、「え~、こっちの方が良くね?」とかワイワイしながら。生徒はいらねえ、相棒くださいってのは、ちょっとだけ贅沢な注文だけど、やっぱ正しいのだ。

 
コメント
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