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百田尚樹『モンスター』

2011-04-02 09:25:00 | ノンジャンル
 百田尚樹さんの'10年作品『モンスター』を読みました。
 醜い顔で生まれた私・和子は幼少時から虐められ続けます。幼稚園児の時に英介という男の子が自分を助けてくれたことを唯一の美しい思い出として生きてきますが、高校の同級生として彼が目の前に現れた時、彼はその思い出をやはり美しいものをして記憶してくれていましたが、私のことは忘れていました。私は彼を自分だけのものとするために、彼の目をつぶそうと彼にメチルアルコールを飲ませようとします。その事件の噂は町にあっという間に広まり、私は家族から東京の短大へ追い出され、母方の祖母に養子に出されて縁を切られ、名前も未帆と変わります。就職も醜い顔のために失敗して工場のラインで働くようになりますが、ふと見た女性週刊誌の広告から目の整形手術をし、その結果に瞠目します。それからは整形手術の費用を捻出するために、工場の仕事が終わった後、SMクラブのM役の仕事をするようになり、やがてホテトル嬢に、そして工場を辞めてファッションヘルスへと見入りのいい仕事へ移っていきます。その間、鼻、前歯を抜いてのインプラント、顎の骨を削る手術を行い、美しい顔を手に入れていきますが、手術の結果顎が疲れやすくなり、仕事をソープ嬢へと変えます。顔を黄金比にする手術、そして性器にまで手術を施し、最後に顎のえらを削り取る大手術をすると、顎の筋力は極端に低下しますが、美しい顔を手に入れた私は近づいてくる男たちを次々に手玉にとるようになります。そして31才になった時、無理して仕事をしてきたことで慢性肝炎になり、私は仕事を辞めて純朴なサラリーマンと結婚しますが、子供ができず家事もできない私から夫の心は離れていき、やがて離婚します。その翌月に英介がアメリカから妻子を連れて故郷に帰ってくる知らせを受け取ると、彼との再会を果たすため、私は故郷にレストランを開くことにします。美人のオーナーの店としてレストランは繁盛し、私は過去に虐められた人々に復讐を遂げながら、英介が来るのを待ち、ついに彼との再会を果たすと、彼は私に夢中になります。私は彼に離婚を迫り、その約束を果たせずに、別れる前にもう一度だけ抱かせてほしいと言う彼に私は逆上しますが、それが以前に患ったくも膜下出血を発症させ、私は自分が和子だったことを告白しながら、英介の腕の中で死んでいくのでした。
 レストランを開業するまでの話と、開業した後の話が平行して進む構成になっていましたが、矛盾した話が都合いいように展開されていたり、登場人物がステロタイプに陥っていて、台詞も紋切り型のものが多く、魅力に欠けた小説となっていました。『ボックス!』の素晴らしさはどこに行ってしまったのでしょうか? 次回作に期待したいと思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)

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