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マイケル・ムーア監督『華氏119』その2

2020-01-22 07:19:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

「6月26日フリント」。市民「突然ドカンだ。警告なんてない」。ナレーション「オバマの国防総省はフリントを演習場に利用した。未来における市街戦に軍が備えるために」。
「演習の目的は?」「リアルな訓練を行なうことだ」。「事前の通知もなく市民は射撃訓練の標的になった」。「あなたは?」「米軍陸軍の者だ」「なぜフリントで?」「空きビルが多く利用できるからだ」。(中略)「フリント市民にとって“テロ”の定義はまったく違うものになった」。
“フリント市 給水処理施設”の字幕。「2016年の大統領選で、両党を通じて彼(トランプ)はただ一人“犯行現場”を訪れた候補者だった。共和党の仲間の知事の手際を称賛しに来たんだろう。誰かが彼に聞いた。『メディアの大変な注目を浴びていますが、どのように対処を?』『まるで嵐ですか?』。彼は答えた。『私が嵐だ』。知っての通り、かつて嵐を操縦した者がいた。彼こそ嵐を生み出した男だった。私たちはその化身を見ているのだった」。
 ヒトラーの白黒映像。T・スナイダー(エール大学、歴史学教授)「人は彼をヒトラーとは比較しきれないと言って歴史を顧みない。完全な比較などないと考えている。歴史は膨大なパターンや構造の宝庫で、今のような混沌の時に自分の位置を知る手がかりだ」。
 映像はヒトラー時代のドイツ。「ドイツは偉大な自由民主主義の国だった。世界で初めて国民皆保険を導入した。印刷機を発明し、世界で最もよく本を読み、1つの街にいくつもの地方紙があるのは普通だった。出版の自由度も高い。最高の映画も作った。芸術、文化、科学。世界最高の知性と言われた。1932年11月、彼らはオーストリア移民を国のリーダーに選んだ。政治経験のない彼は既存の政治家と違い、率直にものを言って、実に新鮮だった。女性は彼を愛し、子供たちも会うと大喜び。動物が大好きな男だった」。
「ヒトラーの夕食を見よ。祝宴なのにスープも飲まずクラッカーのみ。冗談を言い、物語を話し、ダンスもお手の物。“ドイツ・ファースト”を掲げ、国歌斉唱を軽視したサッカー・チームを処罰した。(敬礼しなかったので活動停止。)完全雇用の保障をうたい、道路やインフラを整備した。収容所も。新しいメディアも活用。ラジオにニュース映画。1935年には独自のテレビ局を開設。アメリカよりも4年も早い」。「ハイル・ヒットラー」と敬礼する女性。「フェイク・ニュースも活用した」。当時のニュース映画「収容所ではユダヤ人たちが、それぞれの職業を続けています」。「このすさまじい大群衆。だがナチ党は国会の議席の32%しか占めていなかった。旧国会(ライヒスターク)のことだ。一般投票では左翼政党が勝っていた。ヒトラーは不満だった。ヒトラーの首相就任から数週間後、テロ事件が発生。国会議事堂に何者かが火を放ったのだ。ナチ党の仕業と噂された。国家緊急事態を作り出すためと。だが彼は共産党のせいとし、党の活動を禁止にする。共産党は国会の議席も奪われた。リベラル派は抑え込まれ、民衆はアドルフ・ヒトラーの全権掌握を支持した。このユダヤ人の新聞は社説を書いた。“皆、冷静になるべき”と。“ナチスは権力掌握をしたが、ヒトラーと仲間は公約をすべて実行などしない。彼らにはできない。憲法が許さないからだ”と。アメリカではNYタイムズ紙も同意した。さほどひどい状態ではないと米国民を安心させている。“中道派、バランスを保つ”。お追従(ついしょう)まで書いた、“ヒトラーの反ユダヤ主義はさほど純粋でも暴力的でもなく、支持者を獲得するエサに利用しているに違いない”と。ヒトラーやムッソリーニに対し、最初民衆は言った。狂ってるだけだと。共和党で言えば、典型的な反応だ」。R・ベン=ギアット(NY大学、暦学教授)「あえて権力を与えて、操縦しよう」。
 トランプ「順調かな? 大統領だぞ。大統領。信じられるか?」。ベン=ギアット「歴史は繰り返されてきた。彼らは作られ、正当化され、最後に全権を握る」。J・ベイナー元下院議長(共和党)「共和党じゃない。トランプ党だ」。
「2017年1月20日午後12時5分、就任宣誓の数分後」。トランプ「神に誓う」。「トランプは書類を提出した。“2020再選キャンペーン”だ。数日後には支持集会を再開させた」。
 トランプ「アメリカを偉大なままに。(ジェスチャーもして)ビックリマーク!」
「2期目への選挙運動も始めた」。
 トランプ「任期が延長できたら話は別だ」。ベン=ギアット「観測気球です。突飛なことを言って反応を見る」。
 トランプ「4年、8年、あるいはルーズベルトのように16年だっていい」。
 トランプ「16年まで延長すべきか? 議員諸君、どうだ?」。ベン=ギアット「民主主義や人権からもあり得ない」。

(また明日へ続きます……)

 →サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

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