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豊島ミホ『神田川デイズ』

2008-06-01 17:21:59 | ノンジャンル
 豊島ミホさんが'07年に出された「神田川デイズ」を読みました。6編の短編からなる本です。
 第一話「見ろ、空は白む」は、部屋に閉じこもる3人の男子大学生が、とりあえず自分たちにできることを始めようと、共通点である童貞をネタにしたお笑いライブをキャンパスの路上で始める話。
 第二話「いちごに朝露、映るは空」は、入学式の時に声をかけてくれた素敵な先輩の所属する反戦サークルに入り、周囲の政治に対する無理解に傷つきながらも、先輩を目指して頑張る女子大生の話。
 第三話「雨にとびこめ」は、雨が振ってる日に振られた経験から雨が振るとその子のことを思い出してしまう男子大学生が、サークルの他校の女子大生とデートをしますが行き詰まり、どこかに行きたい気持ちになる、という話。
 第四話「どこまで行けるか言わないで」は、ぬるま湯的な雰囲気を嫌い、映画サークルを飛び出した女子3人は、それまでになかったものとして女性向けのピンク映画を撮ろうとしますが、仲間が裸になるところを撮影するリーダーを見て、やっぱりできない、と撮影を中断させてしまいますが、数日後男優にスカウトした子とリーダーが隣り合って座っているのを見て、彼の裸は撮影したんだ、と分かる話。
 第五話「リベンジ・リトル・ガール」は、友人もなくただオール優の成績を取り卒業することを目標として来た女子大生は、就職で希望の職種につけず、初めて出席したコンパで、これまでの憤まんを全部ぶちまけ、店を出ると、後を追って来たクラスの変わり者で不思議に人気のある男子と付き合うことになるという話。
 第六話「花束になんかなりたくない」は、小説で新人賞を取りながら、デビュー作も2册目も売れず、3册目の刷数を聞いて、これはライターとしては食えないと思い、就職活動を始めますが、やっぱり新人賞を取った時の光景が忘れられず、少しでも読んでくれる人がいる限り、書き続けようと誓う男子学生の話、です。

 6編の短編がすべて、同じ大学内で生活する人々の話で、それぞれ人を介してつながっている6人がそれぞれの短編の主人公となっています。大学に何かを求めてやってきた6人が、皆大学の雰囲気になじめず行き詰まり、そしてそれぞれのやり方で自分なりの生き方を探して行くというストーリー。大学でやはり行き詰まりを感じ、4年も留年した私には身近に感じられる短編ばかりでした。悩んでいる個人の思いを書かせると、やはり豊島さんはとてもうまい、と思います。青春から大人になっていくところで壁を感じている方がいらっしゃったら、ぜひ読んでほしい本です。
 なお、詳しいあらすじは「Favorite Novels」の「豊島ミホ」のコーナーにアップしておきましたので、興味のある方はぜひご覧ください。


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