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クロード・シャブロル監督『甘い罠』

2012-10-28 05:13:00 | ノンジャンル
 昨日の朝日新聞の朝刊の別冊「be」に、シンディー・ローパーさんの『トゥルー・カラーズ』にまつわる話が掲載されていました。彼女も生まれはニューヨーク。何をしても周囲から「変わり者」扱いされ、虐めを受け続けてきた彼女は、それでも敢えて自分の個性を貫き通し、今まで生きてきたとのこと。『トゥルー・カラーズ』は、同性愛者だったことで12歳で家から追い出され、若くして病死した親友を思って作った曲なのだそうです。ニューヨークのセントラルパークは、今頃紅葉の盛りを迎えているかもしれません。

 さて、クロード・シャブロル監督・共同脚色の'00年作品『甘い罠』をWOWOWシネマで見ました。
 ピアニストのアンドレとチョコレート会社を父から継いだミカ(イザベル・ユペール)は復縁し再婚します。アンドレの息子ギョームは国立行政学院の大学生です。若いピアニストのジャンヌとアクセルは恋人同士で、ジャンヌの母でありアクセルが勤める法医学研究所の所長であるポレとアンドレの母は、若い恋人たちと食事をしますが、新聞記事でミカらの結婚を知ったアクセルの母は、ギョームとジャンヌが産院で間違われそうになった事実を思い出し、ジャンヌは初めてその事実を知ります。
 ジャンヌはアンドレ宅を訪れ、その事実をアンドレに突き付けますが、アンドレは取り違えの可能性を否定しつつ、彼女の演奏を聞きたがります。来客があるため、明日また来てくれとジャンヌに言うアンドレ。ジャンヌはミカがわざと床にこぼしたギョーム用のココアを一緒に拭き取ります。
 アクセルに会ったジャンヌは、自分のセーターについたココアの成分の分析をアクセルに頼むと、案の定、そのココアには睡眠薬が入っていました。一方、会社の役員会でミカは、痛みの研究所への自分の投資について、古参の役員パトゥから非難を受け、彼の存在を疎ましく思うようになります。
 ミカはポレに会いに行き、ジャンヌを援助したいと申し出ますが、娘に必要なのは父親だけだと言ってポレに断られます。ミカが自宅に帰ると、ジャンヌは既にアンドレに練習をつけてもらっていました。ジャンヌはジョームに睡眠薬のことを知らせ、警告します。ギョームは、自分の母が亡くなった日、両親がミカの自宅に招かれていて、紛失した父の睡眠薬を母が買いに行っていた時に、居眠り運転で母が事故死したこと、母の遺体からはアルコールと睡眠薬が検出されながらも、母が父の睡眠薬に手を出したことはそれまで一度もなかったことをジャンヌに伝えます。
 ミカは自宅でジャンヌに合宿させる案を出しますが、アンドレは自分の睡眠薬がまた無くなっていることに気づきます。薬をアンドレの先妻に盛った時のことを回想するミカ。ミカはポレに合宿の件について電話し、ジャンヌはその誘いに乗ることにします。ジャンヌがポレの夫の子でなく、他人の精子の提供を受けて産んだ子であることを明かすポレ。一方、ミカは先日の件について話し合おうとパトゥを自宅に招き、その電話が終わるとパトゥのことを罵倒します。
 アクセルに送られたジャンヌはミカらの自宅にやって来て、ジャンヌとアンドレの練習が始まります。ギョームの足にわざと熱湯をかけるミカ。夜になり、ミカがアンドレの睡眠薬を買い忘れたことが分かり、ジャンヌが買いに行くことになりますが、ギョームも同行することにします。ギョームが飲み物に少しも手をつけていないことに気づくミカ。
 ギョームはジャンヌとカップをすり替えたことをジャンヌに知らせますが、ジャンヌは強烈な眠気に襲われ、彼女の運転する車は民家に激突します。カップを洗うミカに、あの夜もそうだったと詰め寄るアンドレ。ミカはあっさりと自分の悪事を認めます。やげて鳴る電話。ジャンヌらは車をぶつけただけで、ケガはなく、アンドレは「今回は君の負けだな」とミカに言います。涙を浮かべるミカの姿を捕えて、映画は終わります。

 いつものシャブロルの映画のように、ラストでブルジョワの家庭が崩壊するというストーリーでした。落ち着いた黄色を基調としたレナート・ベルタの撮影も楽しめたと思います。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

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