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高野秀行『極楽アジア気まぐれ旅行』

2008-12-21 15:21:42 | ノンジャンル
 高野秀行さんの本で、翻訳本を除いて唯一未読だった'01年作品「極楽アジア気まぐれ旅行」を読みました。それまでのアジアの旅のエピソード集です。
 まず、アジア人の共通点として、次のようなことが挙げられます。「1、おおらかなこと。時間にルーズだったり約束を破ったりするが、そのかわり無理な頼みを引き受けてくれたり間違いや失敗を許してくれる。2、生命力が旺盛なこと。可能性をとことん追求する一方、厳しい環境においても明るく、しぶとく生きていき、ときには運命に身を任せる潔さも持ち合わせている。3、元気があること。いつも前向きで、周りのことは気にせず自分を信じて突進していく力が異常に強い。4、バラエティ豊かなこと。アジアほど民族が多様な地域はない。民族が多様ということは、その生活習慣、文化、思考パターンも多様ということであり、彼らと接する私たち日本人の体験も必然的に多様かつ豊かになる。」そしてその具体例として、「大したことない、気にするな」に当たる言葉が各国にあること、イスラム地域ではIBM(「神のおぼし召しのままに」の意味の「インシャラー」、「明日」の意味の「ブクラ」、「問題ない」の意味の「ムシュ・ムシケラ」)で全てを済ませてしまうこと、中国で列車の予約してある寝台に関係ない人がどんどん登ってくること、やはり中国で列を作らず、早いもの勝ちで人が殺到すること、その一方で一般の中国人は日本人に過去の日本の戦争犯罪について寛容であること、タイではプライベートなことについてもどんどん質問してくること、などが紹介されます。他の本と重複するエピソードも多いのですが、かえって総集編的な本になっていて、手許に置いておきたいと思いました。
 この本を含め、高野さんの本を読んで勉強になったのは、価値観というのは、あくまで相対的なもので、絶対的なものではないということです。国によって生活スタイルが全く異なり、今私たちが生きている環境というのは、普遍的なものではないことを再認識しました。したがって、高野さんの本を読むという体験は、私たちの日常から精神を解放してくれる清涼剤のようであり、とても楽しいものでした。日常の閉息感に苦しんでいる方には、高野さんの本はうってつけだと思います。そういう方々も含めて、すべての方たちに自信を持ってオススメです!

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