山田詠美『ラビット病』

　今日の山田詠美作品は「ラビット病」です。今回、彼女は初めてのコメディ（？）に挑戦しています。
　自分に常に素直なばっかりに周囲に騒動をまき起こす「ゆり」と人の良い「ロバート」の二人組の楽しい生活ぶりが描かれていて、二人の無邪気さについ笑ってしまいます。ロバートは作中で「ロバちゃん」を呼ばれているので、明らかに詠美さんの旦那さんがモデル、ということはゆりは詠美さん自身がモデルということになるのでしょうか？ゆりは「～だよ」「～だーい」というセリフが多いので、やはりゆりはポンちゃん、つまり詠美さん自身がモデルなのでしょう。
　９つの章からなっており、章の題名だけ書くと「GAS」「ボディ・ジャッキ」「ラビット病」「みみみ警報器」「双子届」「すあまのこども」「ロバちゃんはママ」「ロバの魂」「ゆりの嫁入り」となっていて、最後にはめでたく二人が結婚することになります。っていうことは、「チューイングガム」の別バージョンという捉え方もでき、この本にはいわゆる肉体の愛の行為の描写はほとんど出てこないので、「チューイングガム」で書けなかった日常的な事件をこの本で書かれたのかもしれません。
　とにかく愉快な小説です。まだ読んでない方、オススメです。