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町田智浩『さらば白人国家アメリカ』その4

2016-12-10 04:20:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
・「ディベートの翌日、『タイム』誌が調査すると、トランプの支持率は47%に跳ね上がっていた。『メギン・ケリーはくやしくて血の涙を流しているだろうな』トランプはディベートの際に自分を徹底的に攻撃したメギン・ケリーをからかった。さらに『他の場所からも血が出たかもね』と余計なセクハラ発言までつけて問題になった。(中略)他の政治家だったら、こんなセクハラしたらもう終わりだ。でも、トランプは最初から『意地悪で傲慢な資本家』というキャラ設定なので、まったく平気。プロレスラーの悪役が反則すればするほど人気が出るように、暴言するほど支持率が上昇する」
・「今回の大統領選出馬でサンダースは次のような改革案を打ち出している。まず『富裕層への税率をアイゼンハワー政権の頃に戻す』。(中略)次にサンダースは『不当な賃金格差のある企業に税金を課す』と言う。さらにサンダースは『最低賃金を現在の2倍に上げる』と約束する。(中略)サンダースは『公立大学の学費無料化』も打ち出している。(中略)他には、『政府による国民医療保険の実現』『病気や子育てによる欠勤の有給化』……。サンダースの政策はどれも具体的で身近な『カネ』の話だ。共和党の大統領候補たちは、人工中絶や同性婚の禁止や移民の取り締まりなど、宗教やモラルやイデオロギーの論争ばかりなのに」
・「サンダースは41年、ニューヨーク郊外ブルックリンのユダヤ人街に生まれた」
・「サンダースが目指しているのは北欧型の社会民主主義だ。累進課税のために極端な金持ちは存在しないが、極端な貧乏人もいない。だから犯罪は少ないし、やる気のある者は誰でも無料で大学に行ける。インドもどんなに貧しくても成績次第で行ける公立工科大学を何十校も設立したことでIT大国として大成功した」
・「黒人やヒスパニックは保守的で、社会主義へのアレルギーが強い。サンダースが尊敬するキング牧師も、貧困の撲滅を掲げて冨の再分配を打ち出してからは『アカ』と呼ばれて貧しい黒人たちからの支持を大きく減らしたのだ」
・「ただ、サンダースもトランプも、二大政党制とエスタブリッシュメント(既得権者)が支配する、硬直した政治にうんざりした人々から支持されている点で共通している」
・「最高裁判事のクラレンス・トーマスもそうだが、共和党を支持する黒人には、苦労して成功した人物が多い」
・「トランプはメキシコ移民叩きをするたびに共和党内で支持率を伸ばしてきた。共和党の支持者の約9割が白人だ。また、ピュー・リサーチ・センターが14年4月に発表した調査によると、民主党に比べて共和党支持者は大卒率が低く、平均年収が低めで、都会よりも郊外や田舎に住む人が多く、男性が多く、年齢が高い。つまりトランプは、白人でブルーカラーの高齢者の排他性にアピールして共和党内での人気を集めているのだ」
・「15年2月に発行された本『2016年を超えて いかにして共和党は新しいアメリカ大統領選に勝てるか』は、白人が減少し続けるアメリカで、もう共和党は大統領選に勝てないという事実を突きつけた」
・「ピュー・リサーチ・センターの12年の調査によると、69歳以上の有権者の47%が共和党を支持している(民主党支持は43%)(中略)それに、どの国でも同じく、高齢者ほど投票率が高いので、共和党はその層にアピールしてきた」
・「ただ、下院議会についてはしばらく共和党の多数支配が続くだろう。それはゲリマンダリングが原因だ。80年代に南部各州の議会を支配した共和党は次々に下院の選挙区の区割りを変更した。若年層や非白人が多く住む都市部を、白人の多い郊外や田舎の選挙区から分離することで民主党の票を一部に固め、共和党議員が常勝するシステムを作り上げたのだ」
・「アメリカは、宗教の自由を求めて入植した人々によって建国された。だから憲法の権利章典第1条に『信教の自由』が掲げられている。宗教による入国制限は憲法違反であり、建国の理念にも反する」
・「逆に、トランプが予備選に勝ったとしても、本選で勝つ可能性は低い。予備選で共和党内の人気取りのために差別発言やセクハラをしすぎたので、非白人や女性の支持を失ったからだ」
・「08年の金融危機が続くなかで就任したオバマ大統領は、破綻したGMとクライスラーを再生し、16年までに全米の失業率を5%下げ、企業の収益を166%増やし、S&P500の株価を139%上げ、暴力犯罪件数を16%減少させた」
・「(予備選は)混乱を防ぐために、投票は代議員数の少ない州から始めて、だんだん人口の多い、大きな州へと広がっていく」(また明日へ続きます……)

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