山田詠美『誰がために熱血ポンちゃんは行く！』

　今日の山田詠美作品は「誰がために熱血ポンちゃんは行く！」です。詠美さんのエッセイ集で、この「ポンちゃん」シリーズの３作目に当たります。
　今回も旅先での出来事、編集仲間（彼女はエイミーズパーティーと呼ぶ）と飲んだ話など私生活の話と、自分の考えの開陳の部分からなっています。本当に楽しい暮らしをされていますよね。
　で、この「ポンちゃん」シリーズの名キャラクターの一人に「かなちゃん」がいます。詠美さんの妹さんのお子さん、つまり詠美さんの姪に当たる女性なのですが、その天真爛漫さ、大人の世界へどんどん入って行く好奇心の強さ、そして行動力によって、周囲の大人を唖然とさせたり、爆笑の渦を起こしたりします。今回は「私の骨」という恐い小説の話を詠美さんが、かなちゃんのお母さんにして以来、怖がりのお母さんは「私の骨」と聞くだけで怖がることを知ったかなちゃんが、日本に帰っても、恐い話をしてあげる、と大人を誘い出し、「私の骨」と一言つぶやき、不思議な表情を浮かべる大人に、首をかしげるかなちゃんは「おかしいなあ、こわくないのかなあ」と言う、というエピソードが書かれていました。
　楽しいエッセイであるのは間違いありません。オススメです。