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成瀬巳喜男監督『銀座化粧』その2

2015-10-24 05:17:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 橋の上から川を見るハルオを仰角で。ポンポン船を俯瞰で。橋を反対側に渡り、柵に上り、ポンポン船が来るのを待つハルオのショット。「ハル坊」。バストで左手前にハルオ、右奥に藤村。「何見てるんだい?」「あの船、お台場まで出るんだって」「あー、網打ちに行くんだね。行ったことあるかい」「ううん」「そうか、近いうちにオジサン連れて行ってやろう」。真横から2人。「本当?」「ああ、本当だよ」と2人笑い、船見る。左手前にハルオ、右奥に藤村のフルショット。藤村、ポケットから財布を取り出し、「ああ、いけねえ。坊やにお小遣いやろうと思ったんだが」。右手前に藤村、左奥にハルオのバストショット。「買えばお釣りくれるよ」。その逆のショット。「あ、ハハハハ。そうか、ハハハ。買えばお釣りくれるか。あ、なるほど。ハハハ」。
 (以下、ショットの説明は省きます。)師匠「お前でももうけること、あるのかねえ」。夫、頭を指して「ここだよ。この問題だよ」と言い、札を数える。「何さ、今まで損ばかりしてさ」。
 バー。歌を歌う少女。ぜんべい売りの少年たち。客の1人が女給のショウコ(香川京子)を映画に誘うが、チーママのユキが断らせる。金を払うはずの友達が来ないと無銭飲食をした男に付いていったユキだったが、飲み屋でその友達を待っている間に、男は逃げてしまう。
 翌日、部屋の掃除をするユキとショウコ。ショウコは病気の父を抱えていることを話す。金持ちとの縁談があるとショウコが言うと、男はケダモノだとユキは言う。同僚のトシコは子供もあるし、夫も働いているので、一番幸せかも、と2人で話すが、「もうちょっと金さえあれば」とユキが言う。いい人を探すのは難しいと話す2人。ユキは、景気がいいらしいシズエを訪れ、金を借りてくるとショウコに言う。
 道を歩くユキ。紙芝居。チンドン屋。シズエの家。シズエの旦那の葛西は「藤村も以前は景気がよかったのに、今の落ちぶれようはひどい。世の中はもっとうまく立ち回らなきゃ」と言うが、ユキは「あの人、悪いことはできないから」と藤村を擁護する。葛西が外出すると、シズエは「葛西とはうまくやってるが、もちろん、好きな訳じゃないわ。世話になってるだけ。結婚できなけりゃ、まずお金」と言い、ユキに菅野を旦那にする話を勧める。ユキは藤村の奥さんとお子さん、ハルオのことを考えて、藤村との縁を切ったと言う。
 雨。ハルオは学校からいろんな人の傘づたいに帰ってくる。
 師匠の生徒(田中春男)はすぐ気が散り、他の生徒の笑いを誘う。
 雨の中、夜にハルオはそば屋に1人で来て、かけそばを注文する。
 バー。客はいない。女給たちはユキにママがバーを売りに出すつもりであることを知らせる。やり方が古いと言う若い女給たち。花売りの少女は帰り、傘を差した男(田中春男)が雨の中に立ちつくしている。喫茶店。子供を他の女に託し、女が出ていく。ママ、ユキに「客引っ張りの女よ」ユキ「人ごとじゃないわ」「20万、都合してくれる人、いないかしら?」「ちょっと当たってみるわ」。
 電話ボックスで菅野にユキが電話すると、もう会社を出たとの答え。ボックスを出ると、菅野(東野英治郎)が現れる。菅野「いいところで金のかからないところがある」と、ユキを自分の会社の倉庫に連れていく。「君の面倒を見る。これは手付だ」と言ってユキの体に手を回そうとする菅野。「いりませんわ」と言って、体を引くユキ。落ちたお札を手で集め、「天下の通宝なのに」と言う菅野。「見損なわないで」とユキ。菅野はまたユキを無理やり抱こうとするが、ユキは逃げ出す。
 自分の部屋で朗読をしていたハルオに師匠の夫が声をかけ、風呂に誘う。
 バー。男(田中春男)は、先日酔っぱらって下手な長唄を歌ったことを詫びに来たと言うが、流しに促されて、また下手な長唄を歌いだす。タバコを吸い、やり過ごそうとするユキら女給。男が女を探しに来て、長唄を歌う男に「おかしな声出しやがって。ヌカミソが腐る」と言い、長唄を歌っていた男は気分を害する。男がユキの肩に手を伸ばし、それを軽蔑した目で見つめるユキ。
 夜。ハルオの部屋。ハルオは師匠の夫に「正直でまじめで元気なら、何の仕事をしていても卑しくないと母ちゃんが言ってた。僕は科学者になってノーベル賞を取りたいんだ」と言うと、夫は「おじさんは“のーめる”賞も取れなかったな」と言って、ハルオを笑わす。机の上の『藤村詩集』を手に取り、「藤村さんは詩を書いてたのか」と言って、その本を借りていく師匠の夫。(また明日へ続きます……)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/

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