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高橋秀実『ご先祖様はどちら様』その1

2011-07-01 05:08:00 | ノンジャンル
 クリストファー・ノーラン監督・共同製作・脚本、レオナルド・ディカプリオ主演の'10年作品『インセプション』をWOWOWで見ました。冒頭のこれ見よがしの数分間を見て、先をちゃんと見る意欲をなくし、速回しで見たところ、予想通り、凡庸な画面が続くだけで、夢をCGで見せる場面も、改めて見るとインパクトに欠けるものでした。期待していただけに、がっかりです。

 さて、高橋秀実さんの最新刊『ご先祖様はどちら様』を読みました。
 著者は知人の結婚披露宴で初対面の作家にいきなり「お前」と話しかけられた後、「お互い縄文人でつらいなあ」と言われ、縄文人とは何かとその作家に聞くとと、三内丸山遺跡に佇んでくれば分かると言われます。青森まで行くのはやっかいなので、近場でないか調べてみると、何と今住んでいる川崎の自宅の下に縄文時代の遺跡があることが分かります。そこでさっそく市の教育委員会の発掘担当者のところへ話を聞きに行くと、自分たちの先祖の話になり、著者は自分の先祖について調べてみようと思い立ちます。
 両親の承諾を得てまず戸籍を調べようとしますが、戸籍はそもそも全国民を政府が掌握するために「家を主として戸主を立て家族を一籍に記載」する目的で始められたものであり、出生、結婚、死亡などの度に個人名が戸籍に書き加えられたり、戸籍から消されたり、戸籍から戸籍へ移動されたりしていて、個人情報として見ると神出鬼没なデータであることが分かります。
 先ず、母の戸籍を調べてみると、母の父・豊吉の父母欄がいきなり不祥になっていて愕然! その後、豊吉は2才で養子に出され、その後また別の家に養子に出されていたことが分かり、当時は産婆が男子のいない家に養子を斡旋することが多く、そういう場合、生みの親のところは「不祥」として戸籍に記載されていたことが分かります。
 父の方はというと、父の父の父・高橋準一郎までは辿れましたが、そこでストップ。そこで父の母「阿き」について調べてみると、彼女には二人の母親がいたこと、彼女は著者の父を含め7人の子供を産み、幼少期に二人、戦災で一人を亡くしていたことが分かります。加えて彼女は、父と父との婚姻前には「ハナ」という女子を出産しており、その父親欄は空欄で、手書きの弱々しい線で「ハナ」が死んだことを示す「×」がつけられており、それを見た著者は彼女の人生に思いを寄せます。生前著者が「阿きちゃん」と呼んでいた彼女は、いつも居眠りばかりしていて、「何してたの?」と尋ねると決まって「今日はとろとろしてた」と答えるヘンなおばあさんだったのですが、とろとろするにも理由があったにちがいなく、著者は彼女からちゃんと話を聞いておけばよかったと後悔します。
 一方、母の母の戸籍も取り寄せ、母の父・豊吉の養父の戸籍まで揃えて4代まで遡ると、それだけで直系傍系含めて7家系が79人まで広がり、著者は自分の頭の上に家系の花が開いた気分となります。
 それらの知識に基づいて実際に家系図を書いてみた著者は、家系が限りなく膨張していき、平面上にはとても描ききれないことが分かります。そして多くの家系図が大抵立派な人から始まっていること、なぜなら、おびただしい祖先が存在するために、どんな人にもその祖先にも有名な祖先が一人はいて、その有名な人だけが家系図に残り、名のない人は消えていった結果なのだということが分かるのでした。(明日へ続きます‥‥)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

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