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ニューヨーク旅その4『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』

2009-02-03 14:42:58 | ノンジャンル
 2日目の夕方。エリズ島からフェリーでマンハッタン島に戻り、夜のマンハッタン島の夜景がきれいだというブルックリン・ハイツ・プロムナードへ行くため、地下鉄でイースト川を渡ったところまでは良かったのですが、何故か道に迷い、ブルックリン・ブリッジに出てしまいました。朝から歩きまわっていて疲れていたので、引き返す元気がなく、とにかく早くホテルに帰りたい一心で橋を渡ることに。ところが、ここにサプライズがありました。まず石造りのブルックリン・ブリッジのでかさにビックリ! そして橋の上から見えた、マンハッタン島に沈む夕日の美しさのまあキレイなこと! 体が震える寒さの中、写真を撮るためにたくさんの人が集まっていました。
 そして何とかホテルに辿り着き、ゆっくり休む間もなく、地下鉄に乗って、ヴィレッジ・ヴァンガードへ。ここはニューヨークのジャズ・クラブ、というか世界のジャズ・クラブの中でも最も有名な場所で、私の好きなビル・エヴァンスも、ここでのパフォーマンスからキャリアを始めています。ところが行って驚いたのは、あまりにも粗末な作り! 入り口はただ扉があるだけで、その両側は違う店になっていて、扉を開け、暗い階段を下っていった先には、地下室を改造したとしか思えない空間が!ステージも赤い厚めのカーテンがバックに下がっているだけで、他は何もなし。両側の壁にはさすがに、今までここで演奏したジャズの巨人たちのポートレートが飾ってあるのですが、その額も実にシンプル。ところがもっと驚いたのは、店のスタッフの人たちの暖かさです。私が初めての客だと分かったのか、私がトイレに行く途中で、くたびれたキャップを被ったマネージャーらしき人が「You're welcome」と声をかけてくれました。私はトイレに行って「You're welcomeって、『あなたを私たちは歓迎していますよ』って意味だよなあ」と考えていたら、なんか涙が出てきてしまいました。一日中一人っきりで歩き倒し、疲れきっていて、心細さも頂点に達していた時だったので、いつになく人情に敏感になっていたのだと思います。「ニューヨーカー」という言葉があるようにニューヨークの人々は心が暖かいと言われていますが、何かその真髄をここで見たような気がしました。そしてこの後、私の頭の中には「Hospitality」(おもてなしの心)という言葉が鳴り響き続けることになります。
 さて、肝心の演奏は、Uri Caine Trio。リーダーのCaineさん(学者然とした白人の人)がピアノ、Kennedy Davisさん(この人も学者然とした黒人の人)がベース、Ben Perowskyさん(エネルギッシュな白人の人)がドラムスでしたが、一つの短いメロディをキーメロディにしてアレンジしていくジャズで、ドラムにはバスドラがあり、リズムは分かりやすく刻まれていて、ノリやすく、とても楽しめました。私が一番好きだったのは、「レミドレ~」というフレーズがキーになっている曲でしたが、他にもオバマ大統領を祝福するとして、ブッシュとチェイニーを揶揄した「Bush & Chaney Are Smelly」(ブッシュとチェイニーは臭い)という、すごい題の、不協和音に満ちた曲を演奏してくれたりもしました。
 ライブが終わったのは夜10時過ぎ。地下鉄で帰りましたが、危険な感じは少しもありませんでした。ニューヨークの治安の良さは東京とほとんど変わらないと思います。ということで、明日は最終日について書きます。

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