宮田珠己さんの ‘13年作品『日本全国もっと津々うりゃうりゃ』を読みました。
本文から引用させていただくと、
・「(ウンスンカルタは)下手は下手なりに妙味があるというような素朴な下手さではなく、真に下手なのだ」
・「(出島では)男どうしでもやったんじゃないですか」
・「軍艦島行きのツアーボートは揺れに揺れた」
・「歴代博物館を鑑賞している間に、いよいよランタンフェスティバル開始の時間の時が近づいてきた。夕方6時、スタッフによる秒読みが始まり、カウントゼロと同時にいっせいにランタンに灯がともる。おおお----、周囲がいっせいに赤く染まった。いいではないか、いいではないか」
・「思えば、私が見てみたい日本の3大祭りは、ねぶたも金魚ちょうちんも、電球そのものでなく、張りぼて全体で光る。張りぼてが重要なのだ」
・「(軍艦島の)炭鉱そのものは島にあるわけではなく、島から3キロ離れた海の底にあったこと。坑内に入る際は、リフトで真っ暗な中を600メートルの地下まで下るため、恐怖でオシッコをチビッた者もあったこと」
・「あまりに建物が密集していたために、下のほうの階にはほとんど日が射さず、昼間でも電灯をつけていたらしい」
・「そのほか、海底水道が敷設されていなかった当初は、貴重な水を節約するため、トイレも風呂も炊事場も階ごとに共同だったそうだ」
・「『デートのときはどうしたんでしょう?』『堤防の上とか、資材置き場でデートしたそうです』」
・「だが、島民の生活は決して暗いものではなかったという。子どもは屋上でも通路でもそこらじゅうで遊んだこと、犯罪がなかったこと、春と夏の祭りは島民総出で盛り上がったことなど、いろんな話を聞くうちに、私はなんともふしぎな気持ちになっていった」
・「大地が球体であっても須弥山の存在とは矛盾しない。なぜなら、須弥山は北極にそびえ立っているからだ」
・「有名な石舞台にしたってそうである。なだらかな斜面の途中にあり、場所としてのオーラというか特徴というか、聖なる感じといったようなものがない」
・「飛鳥資料館に、期待していた須弥山石があった。庭園にレプリカが、内部には本物があって、ダルマ落としのような形だった」
・「天理市は、天理教の聖地『ぢば』を中心に作られた宗教都市である」
・「街の中心は、天理教において世界の中心とされる『ぢば』で、巨大な神殿が建つ」
・「神殿は大寺院のような和風建築で、面白いのは、正面がなく、四方から中に入れることだ」
・「中には畳敷きの大空間になっている」
・「建物の中央には1段低くなった土地があって、その中心、つまり聖地のなかでもっとも聖なる場所に、『かんろ台』と呼ばれる木製の台が置かれている。信者はこの『かんろ台』方向に向かって祈るのである」
・「祈りの方法は、手踊りといって、正座したまま、歌いながら手を独特のリズムで躍らせる」
・「この神殿は、24時間いつでも入って祈りをささげることができるそうだ」
・「『おやさとやかた』というのは、天理教の神殿を取り囲むように建設中の、ビルの総称で、かつてある新聞の取材で一度見に来たことがあるのだが、そのとき最終的に一辺が870メートルの正方形になるよう、増築する予定だと聞き、ビルでぐるっと街を囲むという発想に、いたく驚いたのだった」
・「鉄筋コンクリート製の箱型のビルで、場所によって階数は違うが、だいたい4~8階建て程度、特徴的なのは、屋根が瓦葺きという点だ」
・「『おやさとやかた』の基部がトンネルになっており、それを貫いて川が流れている」
・「上流4キロのところに天理ダムがあるらしい。だ、大丈夫なのか『おやさとやかた』」
・「『(永平寺では)三黙道場といいまして、僧堂と浴室、東司では一切の私語が禁止されております』」
・「僧堂というのは、(中略)なんでもひとり畳一畳があてがわれ、お寺の中で唯一そこだけがプライベートな空間だそうである」
・「『布団は横にはみ出してはいけないので、丸く縛って中にくるまるようにしています』」
・「『病気になったりしたら?』『病人が寝る部屋というのがありまして、そこで休みます』『修行は休んでいいの?』『はい、でもそこに入るとずっと寝ていなければいけないので、かえってきついと聞きます』」
・「修行はだいたい1年から3年、長くて6年ここにいる人がいる、と若い僧は教えてくれた」……
宮田さんの描いた数々の絵も楽しませてくれました。
本文から引用させていただくと、
・「(ウンスンカルタは)下手は下手なりに妙味があるというような素朴な下手さではなく、真に下手なのだ」
・「(出島では)男どうしでもやったんじゃないですか」
・「軍艦島行きのツアーボートは揺れに揺れた」
・「歴代博物館を鑑賞している間に、いよいよランタンフェスティバル開始の時間の時が近づいてきた。夕方6時、スタッフによる秒読みが始まり、カウントゼロと同時にいっせいにランタンに灯がともる。おおお----、周囲がいっせいに赤く染まった。いいではないか、いいではないか」
・「思えば、私が見てみたい日本の3大祭りは、ねぶたも金魚ちょうちんも、電球そのものでなく、張りぼて全体で光る。張りぼてが重要なのだ」
・「(軍艦島の)炭鉱そのものは島にあるわけではなく、島から3キロ離れた海の底にあったこと。坑内に入る際は、リフトで真っ暗な中を600メートルの地下まで下るため、恐怖でオシッコをチビッた者もあったこと」
・「あまりに建物が密集していたために、下のほうの階にはほとんど日が射さず、昼間でも電灯をつけていたらしい」
・「そのほか、海底水道が敷設されていなかった当初は、貴重な水を節約するため、トイレも風呂も炊事場も階ごとに共同だったそうだ」
・「『デートのときはどうしたんでしょう?』『堤防の上とか、資材置き場でデートしたそうです』」
・「だが、島民の生活は決して暗いものではなかったという。子どもは屋上でも通路でもそこらじゅうで遊んだこと、犯罪がなかったこと、春と夏の祭りは島民総出で盛り上がったことなど、いろんな話を聞くうちに、私はなんともふしぎな気持ちになっていった」
・「大地が球体であっても須弥山の存在とは矛盾しない。なぜなら、須弥山は北極にそびえ立っているからだ」
・「有名な石舞台にしたってそうである。なだらかな斜面の途中にあり、場所としてのオーラというか特徴というか、聖なる感じといったようなものがない」
・「飛鳥資料館に、期待していた須弥山石があった。庭園にレプリカが、内部には本物があって、ダルマ落としのような形だった」
・「天理市は、天理教の聖地『ぢば』を中心に作られた宗教都市である」
・「街の中心は、天理教において世界の中心とされる『ぢば』で、巨大な神殿が建つ」
・「神殿は大寺院のような和風建築で、面白いのは、正面がなく、四方から中に入れることだ」
・「中には畳敷きの大空間になっている」
・「建物の中央には1段低くなった土地があって、その中心、つまり聖地のなかでもっとも聖なる場所に、『かんろ台』と呼ばれる木製の台が置かれている。信者はこの『かんろ台』方向に向かって祈るのである」
・「祈りの方法は、手踊りといって、正座したまま、歌いながら手を独特のリズムで躍らせる」
・「この神殿は、24時間いつでも入って祈りをささげることができるそうだ」
・「『おやさとやかた』というのは、天理教の神殿を取り囲むように建設中の、ビルの総称で、かつてある新聞の取材で一度見に来たことがあるのだが、そのとき最終的に一辺が870メートルの正方形になるよう、増築する予定だと聞き、ビルでぐるっと街を囲むという発想に、いたく驚いたのだった」
・「鉄筋コンクリート製の箱型のビルで、場所によって階数は違うが、だいたい4~8階建て程度、特徴的なのは、屋根が瓦葺きという点だ」
・「『おやさとやかた』の基部がトンネルになっており、それを貫いて川が流れている」
・「上流4キロのところに天理ダムがあるらしい。だ、大丈夫なのか『おやさとやかた』」
・「『(永平寺では)三黙道場といいまして、僧堂と浴室、東司では一切の私語が禁止されております』」
・「僧堂というのは、(中略)なんでもひとり畳一畳があてがわれ、お寺の中で唯一そこだけがプライベートな空間だそうである」
・「『布団は横にはみ出してはいけないので、丸く縛って中にくるまるようにしています』」
・「『病気になったりしたら?』『病人が寝る部屋というのがありまして、そこで休みます』『修行は休んでいいの?』『はい、でもそこに入るとずっと寝ていなければいけないので、かえってきついと聞きます』」
・「修行はだいたい1年から3年、長くて6年ここにいる人がいる、と若い僧は教えてくれた」……
宮田さんの描いた数々の絵も楽しませてくれました。
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