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下川裕治編『アジア路地裏紀行』

2009-01-08 17:42:20 | ノンジャンル
 今朝、見事な飛行機雲を見ました。頭上を東から西に向かって3本、空一杯に描かれた飛行機雲は、今まで見たものの中で、断トツで一番でした。

 さて、下川裕治さん編の「アジア路地裏紀行」を読みました。アジア各地の路地裏で生きる人々を描いた短編ノンフィクション集です。
 下川裕治「アジアの路地裏へ」は、ソウルの路地裏に密集する小さなバーの看板を見て、新宿ゴールデン街などで飲んでいたことを回想する話。
 浜なつ子「マニラ、路地裏の子供たち」は、元気で人のぬくもりにあふれた、フィリピン・マニラのスラム街に住む一家の話。
 木村聡「シクロが俺に“撮れ”という」は、ベトナムのサイゴンで、シクロ(自転車付き人力車)の写真を撮る話。
 長谷川まり子「マイティの少女」は、ネパールからインドの売春宿に7才で売られ、地獄のような日々を過ごし、12才で救出された、はかなく、またとても美しい少女についての話。
 森川庚一「少女奉行人・チョビー」は、バングラデシュの貧しい一家の話。
 駒村康孝「切手売りの夏」は、中国から独立した後のモンゴルの話。
 内澤旬子「仁寺洞の古書店魂」は、韓国・仁寺洞の古書店で、古くて美しい本を探す話。
 仲村清司「南国那覇で暮らしてみれば」は、大阪生まれの沖縄ニ世が、那覇での暮らしについて語った話、です。

 面白かったのは、浜なつ子さんの文章と長谷川まり子さんの文章で、両方とも写真も魅力的でした。特に長谷川さんの文章の主人公マイティちゃんは、はにかみながらの笑顔がとてもかわいらしく、7才から12才まで部屋に閉じ込められ、毎日ろくな食事も与えられず、客を取り続けさせられ、HIVに感染してしまったとは思えない美しさでした。インド、そしてネパールは本当に不思議な国だと再認識させられた次第です。
 そして浜なつ子さんの書いた文章に、とても印象的な文を見つけました。ちょっと長いですが、引用してみようと思います。「フィリピンと関わってずい分と長いけれど、最近になってようやく、わたしはあることに気づかされた。それは人間というのは本当に平等にできているんだな、ということである。富や才能や運・不運、容姿などは極めて不平等だが、『幸せ』と『不幸』はまったく平等に与えられている。恐ろしいようなマニラの場末のスクウォーターで生活する家族と、日本のマンションに住む家族と、それぞれ『幸せ』の質も違うし、『不幸』の質もまったく違う。しかし、『幸せ』や『不幸』の重さを計りにかければ大した違いはない。」というものです。
 今までの私の持論は、人間は不平等に生まれてくるということでした。生まれながらに不運な人というのがいて、死ぬまでいい思いもせずに亡くなっていく人もいる、と人にも語ってきました。しかし、この文章はそうした考え方を改める契機になってくれるかもしれません。改めてこのことに関して考え直そうかな、と思いました。

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