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阪本順治監督『団地』その7

2018-03-01 06:16:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。
 正三「強行突入しろよ」警官「噂だけで強行突入なんか」「遺体を運び出すかもしれないんだぞ」「想像で物言われても」「強行がダメなら突入しろよ」「突入したら強行でしょ」「じゃあピザをお届けに来ました、とかいくらでも手があるだろう」「他に責任者はいないんですか?」君子「初めてのことで動揺してるんです。それに心臓にヘルスメーター入ってるんです」吉住「ペースメーカーやろ」。
 薬を鞄に詰める真城らと清治。「これで全部です」「そこ置いといて」。ヒナ子、赤ん坊を抱く女に「抱かせて」「顔みない方がいいです」「お願い」。赤ん坊の顔を見たヒナ子、眼を見開き、倒れる。真城「すみません。鼻だけ大人の大きさのまま生まれてくるものですから。大丈夫ですか?」「形がナオヤにそっくり。あんな鼻してた」。
 警官、ブザーを押す。「そこの交番の者ですが」。コンコンコンコン。「山下さーん」。ヒナ子、ドアを開け「一歩でも入ったら何が起こるか知らんから」君子「白状しなさい。裏切り者」「君子さんまで」「一部始終全部洗いざらい何もかも」「いつか分かってもらいます」「いつかじゃダメなんよ。みーんな、おかしくなりそうなんよ。あたしらに何か恨みがあんの?」「そのお二人さんだけ入ってください。明日、協力者が必要です。ほな行徳さんも」。正三、警官に「ピストル貸して」「アホか」。行徳夫妻、入っていく。
 清治を見て驚く2人。「会えなくて淋しかったです」。真城を見て倒れる君子。正三「君子、しっかりしろ」。清治「不思議な力を持っているんです、彼ら」宅配便「いえ、ただのおまじないです」正三「おまじないはいいから水を飲ませてくれ。水、水」「はい」と女性。
「まじないはいいって」。水をコップに汲み、自分で飲む女性。「君じゃないだろ」真城「妻はここの生活に慣れていませんから」正三「おっ、今プチっと頭がいった」。君子、起き上がり「あー、お花畑がきれいやった」「え?」。
 「清治君、これは新手の詐欺じゃないのか?」「裸になって証拠を見せたでしょ?」「俺はこう見えても科目で一番得意なのは物理だった。就職したのはひな人形の会社だけど、いいじゃないか」「そんなこと、こっちから聞いてませんけど」「物理的にありえない。俺はこう見えても科目で一番得意なのは物理だった。就職したのはひな人形の会社だけど、いいじゃないか」「行徳さん、大丈夫ですか?」「漢方薬詐欺だよ。これは。お前ら知らんだろうけど、な、科目で」「もうよろし。休んで。明日になったら分かりますよって。僕も最初信じられへんだったのですから」。
 “真城の来た、あの日”の字幕。「私たちにはそれができるんです。信じてください」「ナオヤに会えるやなんて。そんなこと、ありえへん」「じゃあ、なぜあなたは漢方薬が効くのか説明できますか? 心臓がなぜ電力もないのに動くのか説明できますか? ただ生存している。その神秘に身を任せれば、何の動揺もないんです。争い事も起きません」「ほな、死んだら、その神秘とやらも、なくなるんですか?」「はい、肉体を持って生きていること。それこそが最大の神秘です」「死んだナオヤより僕らの方が非科学的やと?」「はい、だからナオヤ君は誰かに会いたくても会えない。こっちの世界こそが非現実の世界ですから」「その~すべをあんたらが?」「はい、とてつもなく簡単な」「とてつもなく簡単って?」「へその緒があれば、ナオヤ君の」「へその緒?」「床下の収納にこもっていては、ナオヤ君には会えません」「その収納で不思議なことがあったんや。生薬に囲まれて、その匂いに包まれているとな。体が消えていくような気がしたんや。ほんの一瞬やけど。ナオヤがそばにいるような」「よく行かれるは林の中はどうです?」「その時も、そんな気に」「肉体を意識しない時間は誰にでもあります。自分が歩いていることにさえ気づかない。そんな瞬間が本来の私たちの姿です。つまり生きているのは私たちの肉体ではなく意識です」「あんたらもか?」「はい」。青年、裸の胸を山下夫婦に見せる。「こうやって貧相な皮膚をまとっています。進化しすぎて免疫力が衰えたのに、まだ肉体を捨てきれずにいます。すべては欲のせいです。誰かから何かを奪いたいという」清治「ちょっと頭を整理していいか? 林の中に行ってくる」「もう死んだふり、できへんで」「もうええ」。
 林へ向かう清治。(また明日へ続きます……)

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