全身マヒでも車を運転？

　9月３日の朝日新聞の朝刊に「念ずれば通ず？」と題した記事が載っていました。
　簡単に内容を言ってしまうと、脳の中の電気の動きを機械に伝え、機械をその人の思うように動かす研究が進んでいる、という記事でした。脳の中の電気というのは、具体的にはあるイメージを思い浮かべることによって生じる電気であったり、ある色に反応する電気パターンを脳に学習させたり、といろいろですが、どちらにしろ、全身マヒでも頭で思うだけで、機械が物を動かすようになる可能性が生まれつつある、という記事でした。
　これは身体障害者にとっては朗報でしょう。特に体のかなりの部分をマヒで動かせない人。具体的にはホーキング博士とか、ジェフリー・ディーヴァーの小説に登場する全身マヒの犯罪学者リンカーン・ライムのような人も、将来自分で食べる事が出来、移動もでき、車の運転もでき、愛の行為もできるようになるかもしれない、ということです。たしかホーキング博士はわずかに動かすことのできる体の部分を使ってワープロで文章を書いていると聞いたような気がしますし、リンカーン・ライムは左手の薬指だけがわずかに動くので、それと音声認識システムを使って様々な作業をし、車椅子の移動は息の吹き方によって制御していました。音声認識システムを発達させれば、自分の思うことを義手や義足にさせることもできるでしょう。しかし、声が出せない人には音声認識システムは無力ですし、今回の研究はそういう人たちにも希望を与えるという意味でも画期的な研究だと思いました。
　以前にいった工芸大学のシンポジウムで、ソニーでロボットを開発した人はもうすぐ現実にアトムができるところまで技術が進んで来ていると言っていましたが、全身マヒの人が思うように物を動かせるようになるのはいつ頃になるのでしょうか？ 一日も早く実現してもらいたいものです。