ラピュタ阿佐ヶ谷へ鈴木清順監督の1959年作品の『らぶれたあ』を観に行きました。本『鈴木清順 全映画』を参考にあらすじを書いてみると、
梢は、クラブ・ファミリーでピアノを弾いている。このクラブの支配人で歌手でもある福井(フランク永井)は、楓に想いを寄せているが、梢には、身体をこわして、山小屋で療養している恋人の村上正男(待田京介)がいる。梢と正男はラブレターを交わしているが、正男の希望で梢は彼に会いに行くことができない。そして、二年の歳月がたち、正男の手紙がだんだん間遠になり、文も短くなって来る。
梢は心配で、ピアノの調子もよくない。毎晩車で送ってくれる福井が、「この二、三日唄いにくい。君のピアノ」と注意し、梢を好きだと打ち明ける。
アパートの前で彼女を降ろした福井は、手紙の魔法に囚われていてはいけない、と忠告する。キッと見返す梢。この部分、福井の姿は画面に映っておらず、外から声が聞こえ、やがて、福井が画面に入って来る。
すると、梢の部屋の郵便受けに、正男からの手紙が入っている。そこで、福井は、梢に一度、正男と会って来るようにすすめる。そして、梢がもう一度、福井のところに帰って来たら、梢が自分のところに帰って来たと思うと伝え、車を発進させて去る。
正男の手紙には、これ以上手紙を書き続けることはできないと書かれていた。
汽車に乗り、療養所に向かう梢。目に映る全ての風景が、不安気で暗い。山道で銃声がして、前方に男が一人立っている。正男だ。それまで暗かった風景が、一転明るくなる。
正男はびっくりして、なぜかよそよそしい。二人の想い出の丘の麓に来ても、なぜか梢を想い出の場所から遠ざけようとする。
二人の想い出の山小屋も、内部の様子は一変していた。絵の掛けてあった場所には、正男が嫌いだったはずの写真が掛けられている。二人がよく連弾をしたピアノも隅でほこりをかぶっていた。梢の疑念がつのる。
そこへやってきた山男の周吉が着ているのは、なんと、正男が梢にやさしく着せてくれた想い出のジャンパーだ。正男は、周吉をあわてて帰してしまう。
夜、仲々眠れない二人。突然、正男が「是非、話さなければならないことが」と言いかける。やがて、二人は、見つめ合い、激しく唇を合わせる。
翌日、銃を撃っている正男を見て梢はびっくりする。正男は左利きだったのに、目の前の男は、右利きなのだ。
男は言った。自分は弟の隆次だと。二人は双子なのだ。隆次は、梢に兄の死を言い出しかねて、代わりにラブレターを書いているうちに、手紙の中の梢を愛してしまったのだ。
クラブに帰って来た梢を見て、福井はよろこぶ。「貴方のところへ来た」と梢も言った。福井が梢のアパートに送って行くと、しかし、玄関に隆次が立っていた。駆け寄る梢を見て、福井は「あの人が正男さんだね。おめでとう」と言い残して、車で去る。二人は激しく抱き合って、お互いの愛を確かめ合うのだった。
清順監督は「だいたい俳優が四人ぐらいしか出ていないんですよ。四人で雪の中で、ってそんなに話があるわけがないですよ。(最近の上映で若い観客の大爆笑を呼んだと聞いて)いいですね。馬鹿馬鹿しいと思って笑ったわけだから」と述べています。
さらさらと散る手紙にモミジの葉があったりして、清順監督ならではの画面がいくつかありました。40分程度の中編でしたが、結構楽しめました。
→サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
→FACEBOOK(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135)
梢は、クラブ・ファミリーでピアノを弾いている。このクラブの支配人で歌手でもある福井(フランク永井)は、楓に想いを寄せているが、梢には、身体をこわして、山小屋で療養している恋人の村上正男(待田京介)がいる。梢と正男はラブレターを交わしているが、正男の希望で梢は彼に会いに行くことができない。そして、二年の歳月がたち、正男の手紙がだんだん間遠になり、文も短くなって来る。
梢は心配で、ピアノの調子もよくない。毎晩車で送ってくれる福井が、「この二、三日唄いにくい。君のピアノ」と注意し、梢を好きだと打ち明ける。
アパートの前で彼女を降ろした福井は、手紙の魔法に囚われていてはいけない、と忠告する。キッと見返す梢。この部分、福井の姿は画面に映っておらず、外から声が聞こえ、やがて、福井が画面に入って来る。
すると、梢の部屋の郵便受けに、正男からの手紙が入っている。そこで、福井は、梢に一度、正男と会って来るようにすすめる。そして、梢がもう一度、福井のところに帰って来たら、梢が自分のところに帰って来たと思うと伝え、車を発進させて去る。
正男の手紙には、これ以上手紙を書き続けることはできないと書かれていた。
汽車に乗り、療養所に向かう梢。目に映る全ての風景が、不安気で暗い。山道で銃声がして、前方に男が一人立っている。正男だ。それまで暗かった風景が、一転明るくなる。
正男はびっくりして、なぜかよそよそしい。二人の想い出の丘の麓に来ても、なぜか梢を想い出の場所から遠ざけようとする。
二人の想い出の山小屋も、内部の様子は一変していた。絵の掛けてあった場所には、正男が嫌いだったはずの写真が掛けられている。二人がよく連弾をしたピアノも隅でほこりをかぶっていた。梢の疑念がつのる。
そこへやってきた山男の周吉が着ているのは、なんと、正男が梢にやさしく着せてくれた想い出のジャンパーだ。正男は、周吉をあわてて帰してしまう。
夜、仲々眠れない二人。突然、正男が「是非、話さなければならないことが」と言いかける。やがて、二人は、見つめ合い、激しく唇を合わせる。
翌日、銃を撃っている正男を見て梢はびっくりする。正男は左利きだったのに、目の前の男は、右利きなのだ。
男は言った。自分は弟の隆次だと。二人は双子なのだ。隆次は、梢に兄の死を言い出しかねて、代わりにラブレターを書いているうちに、手紙の中の梢を愛してしまったのだ。
クラブに帰って来た梢を見て、福井はよろこぶ。「貴方のところへ来た」と梢も言った。福井が梢のアパートに送って行くと、しかし、玄関に隆次が立っていた。駆け寄る梢を見て、福井は「あの人が正男さんだね。おめでとう」と言い残して、車で去る。二人は激しく抱き合って、お互いの愛を確かめ合うのだった。
清順監督は「だいたい俳優が四人ぐらいしか出ていないんですよ。四人で雪の中で、ってそんなに話があるわけがないですよ。(最近の上映で若い観客の大爆笑を呼んだと聞いて)いいですね。馬鹿馬鹿しいと思って笑ったわけだから」と述べています。
さらさらと散る手紙にモミジの葉があったりして、清順監督ならではの画面がいくつかありました。40分程度の中編でしたが、結構楽しめました。
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