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石井輝男監督『黄線地帯(イエローライン)』その3

2017-01-29 10:38:00 | ノンジャンル
 今日の朝日新聞の朝刊に、エマニュエル・エヴァさんとジョン・ハートさんの訃報が掲載されていました。エマニュエル・エヴァさんは何と言っても『二十四時間の情事』(別題『ヒロシマ・モナムール』、『ヒロシマ・わが愛』)と主演として圧倒的な印象を残し、ジョン・ハートさんは名バイプレーヤーとして活躍した人で、すぐに思いつくのは『エイリアン』で最初に犠牲になる役でした。改めて両名のご冥福をお祈りいたします。

 さて、また昨日の続きです。
そこにはムーアという黒人女性がいて、「タイラのマサを知ってるか?」とトシオが尋ねると、「彼が客を世話してくれている。今外に出ると危ない。変な男がうろうろしている。私の部屋へ」と言う。
 「ゆっくりして」と服を脱ぎだすムーア。「そんなつもりはない」とトシオ。「変な男たちは町の女を追っていた」とムーア。「金で君の体を買うようなことは嫌だ」「そんなことを言うのは初めて。今はどん底。パイラに売られた。プランタンは外人向けの売春組織だが、そこからこんなところに売られた」「君のような人を助けたい」。「ムーア、開けろ!」の声。ムーアはトシオを逃がすが、トシオは結局男2人に捕まってしまう。男2人は実は刑事で、トシオがムーアのヒモだと勘違いしたのだった。
 ムーアは阿川の前で殴られ、港へ連れていかれることになる。
 荒々しく働く浚渫船。海底から浮かび上がった箱の中には麻薬が満載されていた。
 トシオは警察にプランタンに踏み込むタイミングと、ムーアの命が危ない件を電話で告げる。
 海岸。「ブツは上がってる」阿川「次に一人眠らせてほしい。バケットで。朝に死体が上がったと届け出ればいい」。ムーアに迫る重機。口をテープでふさがれ、手足の自由を奪われたムーアの悲鳴。
 プランタンに連れて来られた殺し屋は「3号じゃねえ。俺を騙した。税関長を殺して一番得する男だ。まだ弾は残っている」。プランタンに連れていかれるエミ。強気なエミ。ショーが近いのにダンサーが酔ってしまっていると伝えられた阿川は、エミに「あんた踊り子だったね」と言い、エミも「いかすの踊るわ」と答える。
 黒人のバックダンサーの前で半裸で踊るエミ。にやつく阿川。殺し屋が現れ、阿川に「約束の時計だ。報酬の代わりにパトカーだったな」。逃げようとする阿川に「待て。エミの踊りが済んだらエミをここへ。お前のおかげで知り合った女だ。あの女に手を出す奴は俺が殺す。あの税関長みたいにな。なぜこうなった?」「上の命令だ」「ではそろそろ上のところへ案内してもらおうか」。
 プランタン前にトシオが隠れている。車で出かける阿川と殺し屋とエミ。タクシーで追うトシオ。
 夜。車がパンクし、警官2人が通りかかる。殺し屋「殺人依頼者だってことを忘れるな」。やって来た警官に、阿川「社会事業家の高松さんのところに向かうところです」。パンクを直して車が立ち去ると、トシオが警官に事情を話す。
 高松とユミコ。「帰して」「最初は皆そう言う。ここではいくら大声を出しても誰にも聞こえない」。阿川ら、現れる。高松「阿川か? 何でこんな男を私のところへ?」。拳銃を構える殺し屋。「貴様は阿川のボスか?」。啖呵を切る殺し屋。責任転嫁をしあう阿川と高松。「貴様は何人殺してきた?」拳銃で高松を殴る殺し屋。血まみれの顔で命乞いをする阿川と高松。殺し屋は結局2人に弾を撃ち込む。「金ならいくらでも出す」と言う高松に、とどめの一発を発射した後も、何発も銃撃する。エミ「嫌い。あなたのような人殺しは大嫌い」「そうか。お前もか。俺が安全地帯に入るまでお前に自由はない。(ユミコには)ポリ公が来たら、言ってくれ。俺に何かあったら、この女の命はないってな」。警官を振り切り、殺し屋はエミを連れて車で逃げる。追いかけるトシオと警官。パトカーも加わる。車を停め、拳銃を発射させる殺し屋。「抵抗しても無駄だ」と警官。エミを連れて逃げる殺し屋。行く先からもパトカー。「近づくと女の命はないぞ」「トシオさん」「畜生。捕まってたまるか」。撃たれる警官。トシオは殺し屋のいる小屋に一人歩いていく。「それ以上近づいたら撃つ」。トシオは歩みを止めない。「撃つなら私を」「女を放せ。その代わりに警察の盾に俺がなる」。トシオ、腕を撃たれる。「なぜ抵抗できない女を盾にする? 警察に腹が立つなら俺を撃て」「トシオさん、いけない。あなたが死ぬなら私も死ぬ」。トシオはエミと一緒になる。「よし、お前ら2人望み通り撃ってやる……。畜生。俺はなぜ撃たないんだ。あんたたちは俺とは違う人種だ」。殺し屋は警官が包囲する中、小屋から飛び出し、集中砲火を浴び、倒れる。無惨な殺し屋の死体を見つめ、たたずむトシオとエミの姿で映画は終わる。

 文句なしの傑作です。