マキノ雅弘監督の'58年作品『非常線』をスカパーの東映チャンネルで見ました。
港まつりで賑わう町。密輸業者(千秋実)はホテル「オリオン」にドレスとウィスキーを配け、ホテルの女主人はそのドレスを地下のナイトクラブで働く女給たちに買い取らせようとしますが、女給たちはそれに抵抗してストをすることにします。ホテルの一室に住むテル(藤田進)は、弟・千代太(高倉健)の就職祝いのために、ホテルのオーナー(十朱久雄)からウィスキ-を一本買って、千代太の恋人でありナイトクラブで働く夏子と千代太を部屋で待ちますが、千代太は前科があることを同僚にいびられてケンカをして会社をクビになった上、夏子からもらった帽子までなくして帰ってきます。一方、妊娠中の夏子は同僚から中絶を勧められ、闇の堕ろし屋のオマキ婆さん(吉川満子)を訪ねます。また、失踪中の兄からの手紙を携えて、レズの恋人とともにホテルを訪ねて来たモモコは、ホテルで兄の現れるのを待つことにしますが、別室ではギャングに脅されながら兄は何やら細かい作業をさせられていました。千代太は身投げをした女を助けて、ホテルに住む怪し気な医者・蒲原(岡田英次)に診せると、意識の戻った女・ヨーコは自分の父・牛島が悪いことをしていると医者に告げます。するとホテルに刑事(神田隆)が現れ、銀行の現金輸送車が襲われた現場に千代太の帽子が落ちていたことを理由に、千代太を容疑者として逮捕しに来たと告げますが、千代太はやったのは自分ではないと言って逃げ出します。ホテル周辺に非常線が張られ、警察によって一切の人の出入りが禁止されます。自分の悪事を知り失踪した娘を探しにホテルに来ていた牛島は、ホテルに持ち込んでいた大量の現金が警察に見つかるのを怖れ、千代太とテルの部屋、女給たちの部屋、蒲原の部屋、オマキ婆さんの部屋などに現金を投げ込みます。その金で買い取ったドレスで着飾り、客としてナイトクラブに乗り込む女給たち。ヨーコを探し回る牛島に鉢合わせした千代太は、ヨーコから聞いた悪事をネタに、自分を逃がすよう牛島に迫ります。その直後、自室にいたテルの元に、牛島に撃たれた千代太が転がりこんで来て、夏子の前で警察に捕まりたくなかったので逃げたと言い、匿ってくれという千代太をテルはベッドの下に隠します。現金を部屋に投げ込んだのが強盗を働いた千代太と思い込み、叫びながら彼を探していた夏子は、皆にテルと千代太の部屋に戻され、そこでベッドの下に隠されていた千代太と対面しますが、千代太は既に死んでいました。千代太の無実が証明されるまで泣かずにいようとテルに言われた夏子は、仮面をつけてナイトクラブで踊り狂います。千代太を自分で探し出してやると言って、テルと千代太の部屋に乱入してきた牛島は、テルに殴られると発狂してしまいます。モモコはナイトクラブで兄の持っていたライターを発見し、それが3階の部屋からもたらされたことをバーテンダーから聞き出すと、刑事にそのことを告げます。銀行強盗が捕まり、盗まれた現金も全て戻ったという報告がパトカーによってもたらされると、ヨーコは父が偽札を製造していたことを刑事に告げます。その瞬間銃声が轟き、発狂した牛島は大量の偽札を2階からばらまいて拳銃を乱射し始め、牛島一味と警察との間で銃撃戦が起こり、牛島一味は逮捕され、偽札の製造をさせられていたモモコの兄も救出されます。千代太の遺体を前に彼の死を悼む人々。現れた刑事はテルに謝罪し、一同を警察に連行します。そしてテルは夏子に子供を産んでくれるように頼み、自分が千代太に代わってその子を育てるというのでした。
いわゆる「グランド・ホテル」形式の映画でしたが、夏子の行動など脚本に無理があり、マキノ監督の力をしても何ともしようがなかったという印象でした。しかし、ラスト、発狂した牛島が座り込んで偽札を一枚一枚きれいに伸ばしていくシーンは、まさにラングの『ドクトル・マブゼ』からの引用であり、マキノ監督の映画的教養の深さを見て取れる映画でもありました。
P.S 突然ですが、明日から2泊3日で徳島へ旅行に行くこととなり、その間こちらの更新はお休みさせていただこうと思います。読んでくださっている方がもしいらっしゃいましたら、この点ご了解のほど、よろしくお願いいたします。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
港まつりで賑わう町。密輸業者(千秋実)はホテル「オリオン」にドレスとウィスキーを配け、ホテルの女主人はそのドレスを地下のナイトクラブで働く女給たちに買い取らせようとしますが、女給たちはそれに抵抗してストをすることにします。ホテルの一室に住むテル(藤田進)は、弟・千代太(高倉健)の就職祝いのために、ホテルのオーナー(十朱久雄)からウィスキ-を一本買って、千代太の恋人でありナイトクラブで働く夏子と千代太を部屋で待ちますが、千代太は前科があることを同僚にいびられてケンカをして会社をクビになった上、夏子からもらった帽子までなくして帰ってきます。一方、妊娠中の夏子は同僚から中絶を勧められ、闇の堕ろし屋のオマキ婆さん(吉川満子)を訪ねます。また、失踪中の兄からの手紙を携えて、レズの恋人とともにホテルを訪ねて来たモモコは、ホテルで兄の現れるのを待つことにしますが、別室ではギャングに脅されながら兄は何やら細かい作業をさせられていました。千代太は身投げをした女を助けて、ホテルに住む怪し気な医者・蒲原(岡田英次)に診せると、意識の戻った女・ヨーコは自分の父・牛島が悪いことをしていると医者に告げます。するとホテルに刑事(神田隆)が現れ、銀行の現金輸送車が襲われた現場に千代太の帽子が落ちていたことを理由に、千代太を容疑者として逮捕しに来たと告げますが、千代太はやったのは自分ではないと言って逃げ出します。ホテル周辺に非常線が張られ、警察によって一切の人の出入りが禁止されます。自分の悪事を知り失踪した娘を探しにホテルに来ていた牛島は、ホテルに持ち込んでいた大量の現金が警察に見つかるのを怖れ、千代太とテルの部屋、女給たちの部屋、蒲原の部屋、オマキ婆さんの部屋などに現金を投げ込みます。その金で買い取ったドレスで着飾り、客としてナイトクラブに乗り込む女給たち。ヨーコを探し回る牛島に鉢合わせした千代太は、ヨーコから聞いた悪事をネタに、自分を逃がすよう牛島に迫ります。その直後、自室にいたテルの元に、牛島に撃たれた千代太が転がりこんで来て、夏子の前で警察に捕まりたくなかったので逃げたと言い、匿ってくれという千代太をテルはベッドの下に隠します。現金を部屋に投げ込んだのが強盗を働いた千代太と思い込み、叫びながら彼を探していた夏子は、皆にテルと千代太の部屋に戻され、そこでベッドの下に隠されていた千代太と対面しますが、千代太は既に死んでいました。千代太の無実が証明されるまで泣かずにいようとテルに言われた夏子は、仮面をつけてナイトクラブで踊り狂います。千代太を自分で探し出してやると言って、テルと千代太の部屋に乱入してきた牛島は、テルに殴られると発狂してしまいます。モモコはナイトクラブで兄の持っていたライターを発見し、それが3階の部屋からもたらされたことをバーテンダーから聞き出すと、刑事にそのことを告げます。銀行強盗が捕まり、盗まれた現金も全て戻ったという報告がパトカーによってもたらされると、ヨーコは父が偽札を製造していたことを刑事に告げます。その瞬間銃声が轟き、発狂した牛島は大量の偽札を2階からばらまいて拳銃を乱射し始め、牛島一味と警察との間で銃撃戦が起こり、牛島一味は逮捕され、偽札の製造をさせられていたモモコの兄も救出されます。千代太の遺体を前に彼の死を悼む人々。現れた刑事はテルに謝罪し、一同を警察に連行します。そしてテルは夏子に子供を産んでくれるように頼み、自分が千代太に代わってその子を育てるというのでした。
いわゆる「グランド・ホテル」形式の映画でしたが、夏子の行動など脚本に無理があり、マキノ監督の力をしても何ともしようがなかったという印象でした。しかし、ラスト、発狂した牛島が座り込んで偽札を一枚一枚きれいに伸ばしていくシーンは、まさにラングの『ドクトル・マブゼ』からの引用であり、マキノ監督の映画的教養の深さを見て取れる映画でもありました。
P.S 突然ですが、明日から2泊3日で徳島へ旅行に行くこととなり、その間こちらの更新はお休みさせていただこうと思います。読んでくださっている方がもしいらっしゃいましたら、この点ご了解のほど、よろしくお願いいたします。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)