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谷崎潤一郎作品集 第一巻 短編集

2010-07-07 15:57:00 | ノンジャンル
 '50年に創元社から刊行された『谷崎潤一郎作品集 第一巻 短編集』を読みました。
『幇間』は、兜町の相場師から幇間に転身した年老いた男の軽妙な生き方の話。
『秘密』は、私が上海に行く船の中で一時恋人だった女性と、たまたま女装して映画館にいた時に出会い、目隠されたまま女性の家に通う日々が続きましたが、結局女性の居所が分かってしまい、それっきり会わなくなってしまったという話。
『ちひさな王國』は、小学校の教師の貝塚が、餓鬼大将の沼倉をうまく取り込んだと思っていたところ、沼倉が子供相手に増々増長していき、最後には彼の作った偽札を使おうとしてしまったという話。
『二人の稚児』は、延暦寺で育った2人の若者のうち、年長の者が女人が何かを知るために半日だけ里に降りると言ってそのまま戻らず、残った者に浮き世は楽しいと手紙を送ったが、年下の者は夢枕に立った老人のお告げで、悩みの原因となっている女人の生まれ変わりの鳥に会いに行くという話。
『馬の糞』は、友人に自分の妻のことを馬の糞と馬鹿にされる話、です。
 『幇間』での屋形船上でのろくろ首に扮した男の踊りの印象的なシーンや、「秘密」の謎めいた雰囲気に惹かれる部分もありましたが、『少年』や『刺青』のように衝撃的な短編はありませんでした。ということで、他にも既読の『私』や『途上』以外にもいくつかの短編が収められていましたが、読まずに終わらせてしまいました。開いた時間に手軽に読むのにはオススメの本です。