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佐藤多佳子『ごきげんな裏階段』

2009-07-20 14:48:00 | ノンジャンル
 佐藤多佳子さんの'09年作品「ごきげんな裏階段」を読みました。三つの短編が収められている本です。
 「タマネギねこ」では、三階建てのマンション「みつばコーポラス」の裏階段にいた子猫のノラがタマネギを食べるのが大好きで、ある日裏階段に生えていたタマネギを食べて頭がタマネギ形になり人間の言葉を話すようになってしまいます。ノラを隠した小村家はノラを洗ってやると、ノラは洗う度ごとに小さくなり、最後にはオニオンスープに溶けてなくなってしまいました。翌朝ノラは裏階段に元の姿となって現れ、小村家では改めてノラを飼ってやることにするという話。
 「ラッキー・メロディ」では、両親の旅行中に「みつばコーポラス」に住む叔父の家に預けられた一樹が裏階段で数日後のテストに向けてリコーダーの練習をしていると、人間の言葉を話すクモに出会います。クモは聞いた人に不幸を呼ぶ不幸の笛と幸運を呼ぶ幸運の笛を吹きますが、一樹は数日間クモを守ってやる代わりにテストの時に自分に代わって幸運の笛を吹いてもらいます。しかし多くの生徒が聞いたため一人当たりの御利益は少なく、一樹は今後は自分の力でリコーダーをうまく吹けるように練習しようとするという話。
 「モクーのひっこし」では、「みつばコーポラス」に引越して来たナナが裏階段のダストシュートに住む、煙を食べるお化け・モクーを見つけ、パパの知合いが経営するスナックにエアクリーナーとして引越させてあげ、様々な形の煙になる芸を見せて人気者になりますが、人の指図で動く生活が嫌になり、ナナの家で引き取るという話です。
 小学校高学年以上を対象にした児童書ですが、楽しく読めました。皆架空の生き物がでてきますが、ユーモラスでほのぼのとしていて、たまにはこういう世界に浸るのもいいなと思いました。オススメです。