今回の計画発表で注目されていたのが,函館市内における道立高校の再編・・・具体的には函館西高校と函館稜北高校の統合再編問題である。
大方の予想では,すでに適正間口の4間口を切っている函館稜北高校が函館西高校に吸収合併されることであった。これが,発表されなかったことに対しては,私は次の点が考えられると思う。
1 そもそも適正規模が「4間口以上」には,現実的に無理がある。
2 函館稜北高校を,「急増期に作られた学校」として切り捨てるには,保護者の理解が得られなかったこと。
3 過疎化が進む函館西部地区の学校を残し,人口移入が際立っている石川方面の学校を潰す合理性が見いだせないこと。
4 統合再編は,両校の名前が残るわけではない。仮に函館西高校の位置に統合校ができるとしても新しい高校の名前になることが道立校ではスタンダード,函館西の名前をなくすことが困難とみた。
5 8間口という規模を決して崩さない市立函館高校へのアンチテーゼではないかということである。
1については,お隣の檜山学区では全てが3間口以下の学校であり,誰がみても4間口を維持せよとは無理難題であることから,適正規模を3間口としてもしょうがないという考えが,道教委においても惹起したのかもしれない。
2については,事情が少し深刻である。函館市内の公立普通科高校の学力レベルは,私が考えるには,トップが函館中部,続いて市立函館,函館稜北,函館西の順であると思うし,実際各校の上位レベルを比較するとそうなるであろう。しかしながら近年函館稜北は、人口急増期の昭和58年に創立した学校ではあるものの、函館西高校よりは偏差値レベルが高く、学力向上に積極的に取り組み、文部科学省・国立教育政策研究所教育課程研究指定校に指定されるなど、実績をあげている学校であり、卒業生やPTAとしても、伝統だけを重視し,函館西高校残すような行為は許し難いと思われる。
3については,説明を要しないであろう。人口が減ることはあっても増えない地域とこれからも増える可能性がある地域とどっちをとるかということだ。
4については,西高OBの批判を未然に交わすためだろう。
5については,市立函館高校の間口が大きくても,直接道教委が減らせと言えるわけでもないし,依頼することも難しいが,少しでも函館市教委が(市立函館の間口を減らすなどの)協力をしてくれたら,西・稜北の問題を和らげることができるのにという恨み節も聞こえてこようというものだ。
結果的に,函館市内では3間口の普通科高校が2校にもなってしまうということになり,考えようによっては,市立函館の間口をなぜ減らさないという世論がおこってくることを期待しての措置なのだろうか。