まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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湾生回家

2016-12-22 21:57:28 | ドキュメンタリー(は~わ行)

戦前に50年間あった日本の台湾統治時代。戦後の引揚者は軍人軍属を含めて約48万人に上り、そのうち約20万人が台湾生まれの日本人「湾生」だったという。本作は主に花蓮を舞台にそうした湾生の人たちを映すドキュメンタリー。

子供の頃暮らしていた所を訪れた湾生は、当時近所に住んでいた人たちと再会し日本語で会話をする。出会う現地の人が皆日本語を話すのにも驚きだけど、学校で強制的に習っていたらそうなるのか。

台湾人と結婚して日本へは帰らなかった湾生も。幼いころから台湾人の家でその家の許嫁として育てられていたために、日本人の母親に捨てられたものだとずっと思っていたが、彼女の娘や孫が日本へ行き、母親のお墓と戸籍を探し出して日本でも出生届を出していたことを知る。台湾で女学校時代を過ごした湾生は、繰り返し台湾に行き長期滞在もして、ここを故郷だと言う。

湾生の共通しているのは、台湾が好きということ。敗戦時にまだ子供だった彼らにとっては日本といっても異国でしかなく、台湾を離れることは故郷から追われるような心持だったのでしょう。

湾生を歓迎する台湾人も、親日国というイメージ通りのもの。日本統治時代の建物などでまだ使われているものも多くあり、かつて植民地として支配したにも関わらず友好的な国がすぐ隣にあるというのは嬉しいものです。

50年という時代は世代がまるっと入れ替わるぐらいだから、それなりの重さがあるのでしょう。でも敗戦から70年が過ぎ、湾生も皆高齢者。他の戦争を体験した人と同じようにあと十数年もすれば、台湾で生まれ育った生活を肉声で語る人は殆どいなくなってしまいます。日本語を普通に話す台湾人の高齢者も皆無になるでしょう。

時の流れと言ってしまうには少し寂しい気もしますが、こうした過去を踏まえた上でカワイイなどの日本文化が広まればいいな、と思います。

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