まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

スラムドッグ$ミリオネア SLUMDOG MILLIONAIRE

2009-06-19 23:18:35 | その他の映画(あ~な行)
さすがオスカー8冠!『トレインスポッティング』のダニー・ボイル監督がボリウッドと組んで放ったエンターテインメント大作。

コールセンターのアシスタント・オペレーター(といいつつ実はお茶汲み)のジャマールが、優勝賞金2000万ルピーのクイズ番組に出演して、次々に正解を当てていく。1000万ルピーまで獲得してあと1問となったところで時間切れ、翌日再開となり、テレビ局を出た途端に拘束される。何か不正を働いていたのではないかと疑われたのだ。

そして警察署で拷問まがいの尋問を受けるが、ジャマールは何一つ不正を働いていない。そしてクイズに正解していく自分のビデオを見ながら、ジャマールは彼をそこまで導いた自分の半生を語り始める。
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ムンバイのスラムで兄のサリムと母と暮らしていた子供の頃、母の死と初恋の人ラティカとの出会い、ママンの下での集団生活とそこからの脱走、タージマハルで兄サリムと二人で置き引きやスリ、ニセ観光ガイドで生計を立てていた日々。

そしてラティカを捜しにムンバイに戻り、ママンとの対決、兄サリムとの決別と再会、ラティカとの再会と別れ、そして。。。
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インド映画特有のリズムにのった音楽が心地いい。クイズのシーンと警察署のシーン、そしてメインともいえる回想シーンがタイミングよく切り替わる。クイズの答をいつのまにか知ることになった壮絶ともいえるジャマールの過去、それはきっとスラムで育つたくさんの子供たちの多くに共通するものなのだろう。
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赤ん坊をおとりに集団で物乞いをしたり、タージマハルで観光客が脱いだ靴を勝手に履いていって街で売ったり、ショーに夢中な観客のハンドバッグを盗んだり、観光客のハイヤーのタイヤから何からもっていってしまったり。貧しい中で必死に生きていく彼らの姿が躍動感溢れる映像で描かれている。

スラムで遊んでいたり、インドのスーパースターのサインを貰ったりしていたときは一番無垢で純粋な頃。この頃から兄サリムが集団のリーダーとなって弟のジャマールがついて行くっていう図式で、その関係は母親が目の前で殺されてママンに拾われてからも、そこから逃げ出してタージマハルでスリや置き引きをしてたときも続いていく。
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ただラティカのこととなると、ジャマールが自分の道を行きサリムがその後を仕方がない、というふうについて行く。土砂降りのなか同じテントに誘うところ、タージマハルからラティカを捜しにムンバイに戻るところ、そして最後にサリムがラティカに車のキーと携帯電話を渡すところ。
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初恋の人を想い続けたジャマールと、そんな弟にいつもいい顔をしていたい兄サリム、ムンバイに戻ってからはそんな図式が際立ってくる。ママンを殺した後にジャマールと決別し、さらにラティカを攫っていって頬に傷までつけた負い目を感じていたのか、最後にバスタブの中を札束で満たして死んでいくサリムは満足そうな顔をしていたなあ。

そして心をうつエピソードは100ドル札のベンジャミン・フランクリン。ムンバイに戻ってきて聞きなれた歌がする。歌声のするほうに言ってみると、盲目になった昔の仲間が歌っている、このときのやるせなさ。サリムの勇気であの時逃げださなければ自分も同じようになっていたはずだ、と知るジャマールはタージマハルで貰った100ドル札を渡すんですよ。これがまたクイズの正解への伏線となっているのだな。
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ボリウッドの名物、ストーリーがいい調子でのってきたときに必ずといっていいほど始まる集団ダンス、今回は一番最後にありました。やっぱりこのダンスがなくっちゃインド映画は始まらないってことで、駅のホームを効果的に使ってダンスの中心はジャマールとラティカ、最後はダンサーたちは列車に乗り込み、残った二人が歩いて去っていく魅力あるシーンでした。

音楽やダンスは『ムトゥ 踊るマハラジャ』を思い出したりして、イギリス人の監督がインドを舞台にした映画がアメリカのアカデミー賞を獲得するって、結構すごいことじゃない?この映画も素晴らしい映画なら、そういう映画がアカデミー賞をとるアメリカっていう国も素晴らしいですよ。

公式サイトはこちら

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トレインスポッティング
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ムトゥ 踊るマハラジャ


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