第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件から100周年、サラエボでは1984年のオリンピック以来、激しいユーゴ内戦を経た後の一大イベントの準備が進んでいた。
由緒あるホテルヨーロッパの屋上では、大学教授やサラエボ事件関係者の子孫へのインタビューが収録され、レストランでは大勢の賓客を迎える準備で大忙し。しかしホテルの従業員は未払い賃金の支払いを求めてストライキを計画中。そして警察はテロリストと思しき人物を隠しカメラや張り込みで監視下に置く。
ホテルで支配人の右腕として働くラミヤは、クリーニング室で働く母親がストライキのリーダーに推されたことからトラブルに巻き込まれる。ホテルの地下には闇カジノがあり、支配人は仕切り役のギャングにストライキを封じ込めるよう依頼する。ギャングは母親を監禁し、ラミヤは母親を救おうとしてホテルをクビになる。
屋上でインタビューを受けていたサラエボ事件の暗殺者、プリンツィプの子孫が護身用の銃を構えたままホテルの階段を降りていく。VIPが宿泊するフロアで張り込んでいた刑事とばったり鉢合わせ、銃声が響き渡りホテル内はパニックになる。。。
激しいユーゴ内戦があったバルカン半島、しかしそのはるか昔から複雑な民族構成や宗教の対立などで紛争は絶えなかったみたい。インタビュアーの口からはチュトニクやスレブレニツィアといった単語が飛び出し、第二次世界大戦当時から最近のボスニア紛争まで連続的に人々の記憶に残っているんだなあ、とはっとさせられました。チトー大統領の時代はなぜ平穏に治まっていたのだろう、と不思議なくらいです。
ホテルヨーロッパのレストランで、オリンピックの時に使われたナイフやフォークがレストランの自慢となってまだ使われているのを見て、町の誇りの一つなんだなあ、と改めて感心します。東京オリンピックはそうした純粋な想いがどのくらい感じられるのでしょうか。
2014年は第一次世界大戦の開戦から100周年ということで、ヨーロッパを中心に作られたドキュメンタリー番組をよく見ました。戦争の仕方ががらっと変わった初めての総力戦、世界に与えた影響も非常に大きいけれど日本ではあまりメジャーじゃないなあ。第二次世界大戦が重すぎて霞んでしまうのかも。
サラエボでは警察が監視中にクスリをやったり由緒ある高級ホテルの地下に闇カジノがあったりと、あまり治安が良さそうではありません。内戦の傷跡が完全に癒えたわけではなく賃金未払いであまり景気も良くなさそうで厳しいなあ。ホテルのVIPルームで演説の練習をしていた男性は、何だったんでしょう?100周年を記念するお芝居の役者だったのかな?
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4/16 新宿シネマカリテ
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