全編空撮で台湾を空から撮ったドキュメンタリー。有人飛行機なら相当お金がかかりそうだけど、最近流行りのドローンを使えばある程度安上がりになるのかな、とも思ったり。
最初は緑あふれる台湾の山で大雨による山崩れが頻発している現場が多い。緑の山肌に痛々しい土砂の色、広島の安佐南区で起きた土砂災害を思い出すが、それよりも遥かに数多く山崩れは発生している様子。大雨の頻度も十数年前と較べると明らかに多くなっているようで、全地球的な異常気象、あるいは地球温暖化の影響が出ているのかも。山崩れは人が作った道路を寸断し、いつ崩落してもおかしくないような危険箇所がたくさんある。自然の脅威の前に無力な人の営み。
平野部はきれいに区画整理された田畑が並び、人がうまく自然の恵みを享受できている様子。ただそうした畑も山肌を切り拓いてさらに農地を広げよう、となってくると途端に醜い姿に変わる。広大な養魚場も似たようなもの。整然とした区割りこそ美しいが、水をくみ上げるパイプは無秩序に増殖し、地盤沈下で生活圏が水没する、という手痛いしっぺ返しをくらっている。
青く濁った水は工業汚水だろうか。1960年代の日本のように何も浄化することなく流しているのだろう、くっきりとした色の違いは無責任さをあぶり出す。
海岸は天然の砂浜や切り立った崖の美しさが際立つが、一方でコンクリートで固めた護岸やテトラポットで浸食を辛うじて食い止めているところなど、人工的なところもたくさん。砂浜に土砂を運ぶべき河川の上流に取水用として作られたダムは、山崩れの土砂でほぼ埋まってしまっている状態。しかし大都市近郊では山の上まで宅地開発が進み、セメント用の砂利や石灰石が掘り出されて山肌はますます不安定になっている。
空からカメラを向けると、下にいる人たちは皆笑顔で手を振ってくれる。痛々しい地表の姿を知ってか知らずか。
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12/29 シネマート六本木
『KANO』
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