まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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小さき声のカノン

2015-05-04 22:12:47 | ドキュメンタリー(あ~な行)

『六ヶ所村ラプソディ―』や『ミツバチの羽音と地球の回転』などの鎌仲ひとみ監督が、福島原発事故の「被曝後」に焦点を当てたドキュメンタリー。

あの原発事故で大量の放射性物質がまき散らされ、福島県を中心に東北や関東の広い地域が放射能に汚染された。二本松でお寺と幼稚園を運営する佐々木さんは、少しでも子供の危険を減らしたい、と同じ浄土真宗の門派たちが送ってくれる西日本などの「放射能に汚染されていない」食材を、園児の親たちに無料で配布している。

二本松に住み続ける、と決めたからには家の周囲や幼稚園の庭は徹底した除染を行い、子供たちが外で遊べるくらい線量が出ないようにしている。通学路沿いの空き地で高線量のところがあれば、行政の対応を待っていられないとばかりに自分たち「ハハレンジャー」で表土を剥がして除染して、ロープを張る行動力。すごいなあ、と感心すると同時に、線量計を普通の一個人が持って生活圏内で測定している、という行為自体に異常さを覚えます。

3.11以前の基準値では年間1mSV以下だったのが、事故後緊急避難的に20mSVまで引き上げられて、生活圏だけ20mSVまで除染したら避難指定を解除する、という基準のでたらめさは、数十万人もの移住をさせたくない政府の小賢しい手段なんだろう。チェルノブイリ原発事故の影響が色濃く残るベラルーシは、5mSV以上の地域は強制移住させている。国が国民の安全と健康に正面から向き合わないなら個人で防衛するしか仕方のないこと。福島県民に被爆者手帳すら交付していない、被曝の実態を調査しようともしないのは国の狡猾な悪意さえ感じます。

チェルノブイリの被曝者は、子供を中心に放射能を身体から抜く「保養」が国の施策として取り入れられていて、日本にもチェルノブイリ被曝者の保養を受け容れているNPOがある。そして今、福島の被曝した子供たちが自主的に保養を行っている。内部被曝の数値は明らかに低下し保養の効果は実証されているものの、そもそも低線量被曝の影響を認めていない国も県も市町村も、保養など知らんぷりをして個人に全て責任を押し付けているのだ。自分の命を守るためには国など頼っていられない、1960年代の公害列島の頃から構図が全く変わっていないのが情けないなあ。

上映後には鎌仲監督のトークショーがあり、これまでの原発反対だけではなく福島の被曝者も見ていかなくては、と言っていたのが印象に残りました。

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