まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

海洋天堂

2011-07-13 18:08:34 | 中国映画(あ~な行)

久しぶりに映画館で涙を流しました。

ジェット・リー李連杰が脚本を一読してノーギャラでの出演を即答したという本作、しゅうさんのブログでの呼びかけが配給会社に届き、7/9から日本公開が始まっています。

自閉症の息子大福(ウェン・ジャン文章)と2人暮らしの父、王心誠(李連杰)は、大福が養護学校を卒業してから、彼が1人で日々の世話をしてきました。水族館で機械技師として働く父はいつも大福を連れてきていて、営業時間外に大福は大水槽で魚や海亀と一緒にのびのびと泳いでいます。自宅の隣人、柴さん(ジュー・ユアンユアン朱媛媛)もいい人で、心誠に想いを寄せながら穏やかに大福を見守っています。

しかし心誠は末期の肝臓がんと診断されて、一旦は大福と無理心中を試みるが、失敗してからは自分が死んでからも大福が1人で生きていけるように、できる限りのことを教えていく。。。

李連杰演じる父親が見せる愛情の深さがたまりません。自分が死んだ後の大福の受入先を一生懸命探しながら、万が一受入先が見つからなかったときのことを考えて大福が1人でも生活できるように、玄関の鍵の開け方から卵の割り方、お札の種類などを教えます。何とか養護学校時代の校長先生のつてで大福を受入れる施設が見つかってからは、自分も同じ部屋に引っ越して、服の脱ぎ方やゆでる時間を一緒に数えてゆで卵の作り方を教えたり、自分が車掌の役をしてバスの降り方を練習したりと、本当に忍耐強く教えていきます。

水族館では床掃除を教えて、自分が死んだ後も大福が寂しくなったりしないように、海亀の格好をして一緒に泳いだりします。李連杰が末期がんの辛さを薬で紛らせながら、なかなか教えたことが覚えられない大福を相手に丁寧に教える姿は、全身で親の愛を表現していました。

大福が泳ぐシーンは水の青さが透明な青さで、カメラが水中から水面を映すシーンでは、水面の波が光を反射して幻想的な光景になっていました。そして水槽の中を自由に泳ぎまわっている姿は、大福が「自分が本当に生きている場所はここだよ」と言っているような感じでした。

大福が秘かに惹かれるサーカス団のピエロ鈴鈴(桂綸[金美])は、大福親子の生きる狭い世界に舞い降りてきた天使のように新鮮な風となって、映画にアクセントを与えてくれました。鈴鈴も天涯孤独で、安住の地を持たず流浪するサーカス団の一員として、大福の純粋で真っ直ぐな心に救いというか、安らぎを感じたのかもしれません。人を笑わせるピエロこそ実は寂しさを人一倍感じているのかも。

この物語は中国のものだけれど、日本では障碍を抱えたまま成人した人の受入体制はどうなっているのだろうか。少子高齢化の進む今、日本でもきっと多くの自閉症の親たちが同じような問題に直面していることだろう。

得意のアクションとはまったく関係のない、演技派としての新境地を魅せてくれた李連杰、そして自分の経験を元に、多くの人の心を動かす素晴らしい脚本を書いたシュエ・シャオルー薛暁路監督、李連杰の呼びかけで、製作にはビル・コン江志強、撮影にクリストファー・ドイル杜可風、音楽に日本の久石譲と世界的なスタッフが集まり、実力どおりの仕事をして、心を震わせる傑作となりました。

日本公開を呼びかけて下さったしゅうさんに改めて大感謝です。

公式サイトはこちら

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