まてぃの徒然映画+雑記

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ハーバード白熱日本史教室 北川智子著

2012-12-22 23:37:53 | 読んだ本

ハーバード大学の日本史の授業で人気を博し、2012年10月の今はケンブリッジ大学に研究員として在籍している北川智子の著書。自分史を振り返りつつ、ハーバード大学の日本史クラス「The Lady Samurai」と「Kyoto」を紙上で再現する。

カナダの大学では数学と生命科学を専攻し、ばりばりの理系だった著者はたまたま日本語ができるから、というだけの理由で日本史の教授のアルバイトをしたのがきっかけで、日本史専攻で大学院に入る。大学院に進学する前の夏休み、ハーバード大学のサマースクールにいった著者は「ザ・サムライ」という日本史クラスを受講する。そこで男性のサムライ文化ばかりを礼賛する講義に違和感を抱いた著者は「レディ・サムライ」というテーマと出会い、研究を進めて博士課程取得後にハーバード大学の教鞭をとることになる。

けっこう「私はこんなに良くできました」という自慢が入っているのが少し鼻につくけれど、実際のところとても頭の切れる人なんだろうなあ。日本史といえども史料の原典を読むことなんて自分はまずできないから、どの程度原典に女性が登場しているのかどうか分からないけれど、これまでと違って女性に焦点をあてた切り口から日本史を見るのは面白い試みですね。日本の歴史学者はあまり彼女の研究を評価していないようだけど、日本史をさらに多面的に研究して海外に発信していくためにも、既成概念の殻を破ることが必要なのではないでしょうか。

「The Lady Samurai」のクラスでは、豊臣秀吉の正妻、ねね(北政所)を主に取り上げて、ペア・ルーラー(夫婦統治者)という新概念を提示します。海外では男のサムライばかりが取り上げられるのも仕方ないかな、と思うのですが、国内でも歴史上の女性の研究というのは、男性に対する研究と比べたらほとんど陽が当たることはないのでしょう。飛鳥・奈良時代の女性天皇や巴御前、北条政子、日野富子など、戦国時代以前にも名をなした女性はいましたし、その後もお市の方や淀君、千姫、江戸時代にはお江の方や春日局、見性院、幕末には天璋院など日本史の中に公明な女性が多士済済です。これからの研究の深化に期待が持てます。

「Kyoto」のクラスは日本史を扱っていますが、京都を題材とした自己表現というか、プレゼンの演習みたいな自由な雰囲気です。日本史といっても日本文化史のようなイメージですな。ある時期の京都を舞台に大きなテーマが与えられ、学生たちは図書館の資料を存分に使って、架空の旅行記を書きラジオのDJになり、ついには映像作品まで製作します。しかも作品はネット上や講義で公開されるから、クラスメイトよりクールなものを作ろうと熱が入るものです。このあたりの学生たちの乗せ方も、人気クラスとなった一因かもしれません。

ぜひ日本でも特別講義で白熱教室を開催してほしいと思います。
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