まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
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プンサンケ 豊山犬

2012-11-02 23:09:28 | 韓国映画(は~わ行)

38度線の北と南を行き来して、離散家族の思い出の品を運ぶ謎の男(ユン・ゲサン)。吸っている北朝鮮の煙草の銘柄、プンサンケという通称で呼ばれている。韓国情報部は、彼の噂を聞きつけてある依頼をする。亡命してきた元北朝鮮高官の愛人イノク(キム・ギュリ)を連れてきてほしい、というもの。プンサンケは、38度線で幾度も危険にあいながらも、何とかイノクを韓国まで連れてくる。

やすやすと38度線を越えたプンサンケを北のスパイではないか?と疑った韓国情報部は、私怨も含めて拷問を行うがプンサンケは何も話さない。元高官とイノクの口添えで拷問から解放されたプンサンケは、北朝鮮側に捕えられた韓国情報部の一人を救い出す。

一方、北朝鮮の工作員たちは亡命した元高官を殺すべく韓国に潜入していた。暗殺の機会を見計らって元高官を襲撃したが、肝心の標的は逃げおおせて一緒にいたイノクだけが捕まってしまう。イノクを救い出すためにプンサンケは北朝鮮工作員のアジトに踏み込むが、イノクは既に河原で無残な姿を晒していた。

プンサンケは、北朝鮮工作員と韓国情報部員を一人ずつ拉致して、一つの部屋に閉じ込める。。

キム・ギドク監督が脚本と製作総指揮を担当し、『プレス』の助監督などを務めたチョン・ジェホンが監督した作品。38度線を越えるときは、高圧電流の流れる金網を切断し、サーモグラフィは全身に泥を塗りたくって目立たなくする。極めつけは高い金網を棒高跳びの要領でひらりと飛び越える。単独行のときは、監視兵に気づかれることなく往復をしていたが、イノクを連れてくるときには、やはり足手まといになり、警戒線に引っかかって北朝鮮の国境警備兵に捜索されるが、間一髪難を逃れる。38度線の全てを蟻の這い出る隙もなく見張っているわけではないだろうけど、こんなに簡単に厳戒の国境越えを許していいものなのかね。

全く喋らないプンサンケとは対照的に、元高官や情報部の男たちはよく喋る。特に亡命してきた元高官の取り乱している醜態といったら、目を覆いたくなるような醜さでした。北朝鮮工作員の暗殺に怯え、韓国側には報告書を出したら用済みになって今の警備や生活が確保されないのではないかと恐れて、身勝手にプンサンケが北朝鮮から連れてきた愛人イノクを弄ぶだけの日々、情けなさに反吐が出るくらいです。

密室に北朝鮮工作員と韓国情報部員が一人ずつ閉じ込められるところでは、対立の様子も含めてなかなか楽しめました。人数が同数で素手同士なら北朝鮮のほうが強いけど、韓国側の人数のほうが多くなったり銃器が投入されたりして、立場がころころと入れ替わるさまが緊迫感の中に笑いを誘います。

38度線を軽々と越えて工作員たちを手玉に取るプンサンケは、いったい何者だったのでしょうか?38度線を目の前に見る韓国側の展望台が、南北分断の現実を突きつけます。

公式サイトはこちら

9/29 シネマート六本木
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