まてぃの徒然映画+雑記

中華系アジア映画が好きで、映画の感想メインです。
たまにライヴや本の感想、中小企業診断士活動もアップします。

マルティニークからの祈り

2014-09-21 23:53:42 | 韓国映画(は~わ行)

こんなに厳しい話が本当にあったなんて信じたくないけれど。

小さな自動車整備工場を切り盛りする夫ジョンベ(コ・ス)と娘ヘリンと3人で幸せに暮らしていた平凡な主婦ジョンヨン(チョン・ドヨン)、しかしジョンベが借金の保証人になったことから事態は一変する。自宅も工場も手放し、毎月の家賃にも事欠く日々。ジョンヨンは夫の旧友が紹介した「金の原石」を運ぶ仕事を引き受けるが、運んでいたのは麻薬だった。フランス、パリのオルリー空港で捕まったジョンヨンは言葉が全く通じない中、カリブ海のフランス海外県マルティニーク島の刑務所へ送られる。。。

全く言葉の通じない異国の地で約2年もの間独りで刑務所に収監される、その怖ろしさは想像を遥かに超えるものでしょう。だいたい何のために大使館があるんだっていう話ですが、金がかかるからと通訳すら手配しないくせに涼しい顔してマカロンをお菓子にコーヒーを飲み、韓国の議員が視察旅行に訪れれば三ツ星レストランを手配する。ジョンヨンが事態を説明し救助を懇願する手紙をどんなに書いても封も開けずに積んでおくだけ。ジョンヨンが裁判を受けるのに必要な韓国側の書類さえ手違いで送られず、全く自国民を守る責務を果たさずに何をやっているんだか。きっと大使公邸には高級ワインが山のようにあるのでしょう。

日本で犯罪を犯した外国人もこんな感じなのかな、と思います。警察でも検察でも日本語でまくしたてられて何を言われているか分からず、自分の言いたいことは伝わらない。不安の塊なんだろうけど犯罪者は悪いという先入観があるから手厚くケアするのも抵抗があるし、やっぱりその国の大使館が自国民の保護という責務を果たすことが重要です。

ニューカレドニアが独立国ではなくフランスの海外領土(昔でいう植民地ですね)だということは、以前観た映画『裏切りの戦場』で知りましたが、マルティニーク島もフランス海外県の一つ。パリから飛行機で9時間程のカリブ海に浮かぶ島です。当然ながら刑務所にクーラーなんてものはなく、慣れない暑さと先に入所していた囚人たちからの嫌がらせ、刑務所内で絶大な権力を振りかざし傍若無人に振る舞う看守長からも目をつけられて、どんどんやつれていきます。寝る前に飲まされていた薬が何だったのか気になりますが、海外県ということで白人の黒人やアジア人に対する人種差別意識は抜き難いものがあるのでしょう、看守達の横暴さは目に余ります。

そんな窮状を手紙で知らされて、ジョンベが外交通商部のお偉いさんの前でガソリンをかぶって焼身自殺を図ったことからテレビ局のディレクターの目にとまり、取材を受けて番組が放送され、世論が騒いでようやく官僚機構が重い腰をあげます。やっぱりネットが発達しているとはいえマスメディア、特にテレビの影響力はまだまだ大きなものがあるのだなあ。最後まで後手後手に回っている外交通商部への痛烈な皮肉が感じられます。

社会性のある事件に正面から向き合う韓国映画のパワーを、改めて感じました。

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